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2012年12月01日
【AQUA248号】フィリピンにてプラント定期点検
フィリピン・ネグロス島
〜フィリピンにてプラントの定期点検を実施
一〇月七日から一三日までの七日間、フィリピンのBMWプラント定期点検を行いました。この点検は匠集団そらとNPO法人APLAとの間でのメンテナンス契約によるものです。
また、八月にプラント設置工事が行われた北部ルソンのギルバート農園の生物活性水プラントの培養調整も合わせて行いました。点検と培養調整は、匠集団そら・星加と秋山事務局長、カネシゲファーム総責任者のアルフレッド・ボディオス氏の三名で行いました。
プラントは順調に稼働、生物活性水も順調に仕上がっていました。若干、色が薄いのですが引き続き、最終槽から第一槽目に少しずつ戻しているので、この記事が出る頃には完全に仕上がっていると思われます。豚舎の方もほぼ完成されており、一〇月末には肥育用の豚が入ったとの連絡をもらいました。これから糞尿排水が溜まって行けば、バイオガスの抽出とスラッジ(抽出液=液肥になる)の確保、そして生物活性水の原料になっていきます。ギルバート氏はすでに収穫を終えた圃場(柑橘類)に堆肥と活性水の散布を始めているとのことでした。
後半の四日間はネグロス島へ移動し、カネシゲファームの点検を行いました。ここにはバイオガスプラントと連結された生物活性水プラン(五〇t×三槽と一〇t×二槽(自然石槽)、日生産量五t)と、飲水改善(五〇t×二槽)のプラントがあります。生物活性水は原料にスラッジを使用している影響で、特に一槽目のSS(浮遊固形物)が多く見られました。しかし第三槽を採水してしばらく置いておくとSSはすぐに沈殿し、艶のある綺麗な生物活性水です。EC値(電気伝導率)は一・四三mS/cm、亜硝酸態窒素は陰性、日本に持ち帰って検査をした結果、大腸菌、サルモネラ菌も出ていませんでした。生物活性水は飲水改善プラントへ約五〇倍稀釈で投入され、豚や鶏をはじめとする動物達の飲水と豚舎の洗浄に使用しています。プラント全体としては問題なく稼働していたのですが、SSの量が多いことが気になるので、思い切って土木槽の掃除を提案しました。
稼働開始から約二年、通常の生物活性水プラントより早いスパンかもしれませんがカネシゲファームでは土木槽の掃除にとりかかることになりました。まず一槽目はすべて畑に液肥として使用し、すべて土木槽下部のドレンバルブから抜きます。沈殿物はかなり多いものでした。一槽目を掃除したあと、二槽目の上澄みを一槽目に移動させてから今度は二槽目の掃除です。沈殿物は同じようにドレンバルブから抜き、二槽目を掃除したら三槽目も同じように繰り返します。その後は一〇日間の培養を経てから活性水を再度、完成させる予定です。
また、今回は一二月に行われるバイオガス発電の実験に向けて、ガスのメタン濃度を計測しました。計測方法は二酸化炭素と硫化水素の量をガス検知管で測定し、メタン濃度を算出する方法です。二酸化炭素の測定値が三二%、メタン濃度は発生したバイオガスから二酸化炭素濃度(三二%)を除いた残り六八%と考えられます。六八%のメタン濃度であればエンジンを回すことができるとのこと。硫化水素の量は〇・一%で、これは脱硫装置を作る際のスケール等を決める目安となります。(山梨大学 御園生教授の指導による)この測定を基にエンジンの最終調整に入るとのことでした。
(報告:匠集団そら 星加 浩二)
Author 事務局 : 2012年12月01日 16:10