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2012年12月01日

【AQUA248号】フィリピン北部ルソン生物活性水プラント導入

フィリピン・北部ルソン生物活性水プラント導入 〜BMW技術が地域資源利用の循環型農業へのあしがかりに〜

 八月二四日から二八日の間、フィリピン・北部ルソン地方・ヌエバビスカヤ州マラビンバレーで生物活性水設置工事が行われました。
 現地でサツマと呼ばれる温州みかんとポンカンを中心に、約六種類の柑橘類を生産しているギルバート氏の農場内に設置されたプラントは、土木槽で一槽が約五・五t(日生産量五五〇リットル)が四槽と、約八tの貯留槽があります。原料はギルバート氏本人が代表を務める「CORDEV(コルデヴ:野菜や果物とそれらの加工品などの生産者組合組織)」で生産している堆肥を使用。この堆肥は約三年前に設置された同じく北部ルソン・カワヤン農業センターの生物活性水プラントの生物活性水を使って製造されているものです。
 また、すでに工事中の豚舎とバイオガスプラントが完成し、肥育豚(一二頭)が入り次第、ネグロスのカネシゲファームのように豚糞尿排水でバイオガスを抽出し、活性水の原料をスラッジ(抽出液)にする予定です。
 ギルバート氏とBMW技術が出会ったきっかけは、二〇一〇年の北部ルソン・カワヤン農業技術センターに生物活性水プラントが導入されたことでした。「CORDEV」の堆肥を作るためにプラントは導入され、メンバーである生産者をはじめギルバート氏はその堆肥を使用しています。これまでは正直なところ、あまりBMW技術を理解しておらず「なんとなくいいかもしれない…」程度の認識で使用していたとのこと。
 その後、ネグロス島のカネシゲファームを訪れた際に、同農場のBMW技術を軸とした農場の循環システムを実際に目のあたりにしたことにより、BMW技術への認識が変わり、同ファームのアルフレッド・ボディオス氏のアドバイスや勧めもあって、システム自体を自分達の地域に取り入れたいと考えたそうです。カネシゲファームの実践は昨年の全国交流会での報告もありましたが、スラッジを大量に畑へ撒くことにより土壌改良が進み、以前に比べると野菜の収量が上がっているだけではなく、品質も向上しています。生物活性水は豚や鶏の飲水への希釈、畜舎の洗浄、野菜作りとフルに活用しています。
 ギルバート氏の圃場は約七ha、生物活性水は圃場潅水、葉面散布、接ぎ木などに利用、もちろん豚舎洗浄や豚の飲水にも利用していきます。その他にも米や野菜(ほぼ自家消費)も多く作っているので、これらにも利用することを検討しています。堆肥もスラッジを利用することにより、長い時間をかけて山を降りて買いに行かなくてすむようにもなります。
 地域への拡散については、まずは自分と家族(兄と従兄)で実践し、地域の農民たち(ほとんどが柑橘農家)に実際に見てもらうことからはじめるとのこと。自分達の目で確かめてもらうことが、一番効果があると考えているようです。この地域は花崗岩、石灰岩が豊富な山々に囲まれています。銅やモリブデンなどを採取する外国資本の鉱山開発会社もありますが、搾りとるだけで環境には負荷をかけ続けています。豊かなマラビンバレー地域全体の環境を守ることにBMW技術導入の意味があり、その実践が農村地域をより豊かにしてくことを願っています。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2012年12月01日 16:12

 
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