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2013年02月01日

【AQUA250号】2012年第22回BMW技術全国交流会参加者レポート

 一日目は BMW技術への理解を深める上で大変貴重な内容の講演を聞くことができました。自分たちの地域でも伝えたいと印象に残った事柄を、三氏それぞれの講演の中から述べたいと思います。
 技術の基礎知識から始まった伊藤理事長の講演では、後世への課題について考えさせられました。BMW技術は地球が本来備えている自然浄化作用を少しだけ速める技術、と言い換えることができます。それ故、一定の時間が必要であり、地域性も影響するため、普遍的な科学的評価が難しいことが現状です。そこで、生物活性水の成分数値化を広く実施し、会員間で共有する提案がされました。BMW技術は自分の目的に合わせ、岩石などの資材を改良していく必要があります。そのためには、完成した生物活性水の状況を知り、指標となる数値を参照できる体制が求められます。基本の設備や使用方法を導入しても、他のプラントでみられる効果がすぐに再現できるとは限りません。それでもあきらめず、本人が技術を信じ、試行錯誤を重ねることでその土地固有のBMW技術の力が発揮される、まさに「人」についてくる技術と言えます。長い時間をかけて取り組むために、本当に大切なものは何か、なぜBMW技術を選び、何を達成したいのか、と最後に問いかけられました。技術も、理念も未熟な若い世代にとっては特に難しい問いかけですがしっかりと考えること、この交流会を通して、各地の報告や先人の知恵を積極的に集め、挑戦を続ける大切さを熱く語られました。
 続いて奥地先生の講演では、『mineral(ミネラル)』をキーワードにBMW技術を日本列島の成り立ちと関連づけた大きなスケールで解説されました。『mineral』とう単語に、二つの意味を日本語は与えます。それは『栄養素』と『鉱物』。一見すると、生命に必要な栄養素と、無機質な物体と似つかないイメージを抱きます。一つの単語に二つの意味をもたせた意義はなぜなのでしょう。海で誕生した一番はじめの生命は、海底から噴出する地球内部のミネラル(=『栄養素』)を利用していたと言われます。やがて陸上に進出した生命は、海中では豊富にあったミネラルを自分で手にいれなくてはなりません。そこでコケや地衣類は、自身の根から酸を分泌し、陸地の『鉱物』からのミネラルを解かしだすことで、自身の栄養素に利用するようになりました。コケや地衣類が枯死すると、ミネラルを含んだ有機物となり、そこに草木が生え、それらが枯死し、風化、分解を重ねた鉱物とともに土が作られ、やがて多くの植物、動物が誕生してきました。『mineral』の訳語は、太古の昔、生命が海から得ていたミネラルの記憶が、陸上に進出した後も『鉱物』から得ることに始まり、いまも私たち動物や植物の『栄養素』としても息づいていることに所以すると言えましょう。BMW技術は自然の岩石を利用し、そのミネラルを土から生きものへ、生きものから土へ循環させる小さな循環システムです。その背景には、海から陸へ、陸から川へ、川から土への大きな循環システムがあることにもイメージをふくらませ、地域独自の農業を展開して欲しい、と呼びかけられました。
 最後に、遺伝子組換え(GM)に関する河田先生からの講演は、とても考えさせられる内容でした。キャノーラ油の原材料として輸入される主にカナダ産のナタネ。その殆どがGMナタネであり、港から搾油工場までの輸送中にこぼれ落ちた種は、着実に国内で自生・繁殖していることが二〇〇四年からの継続調査で明らかになっています。近年、国内産のアブラナ科作物や雑草ともGMナタネが交配していたことも突き止めました。さらに注意すべきことは、今は顕在化していないGMの影響です。GM作物が作られる上で、目印となる遺伝子(マーカー遺伝子)も耐性遺伝子と一緒に組み込まれます。このマーカー遺伝子による動物への影響は科学的に未解明な部分があり、安全性には懸念が残っています。また動物の次世代毒性に関する安全性試験にも追試の余地が残されたまま販売認可がおりてしまう現状も指摘されました。しかし、GM作物の影響を再評価する研究を行うのは非常に厳しく、研究目的によってGM開発企業が種の取引を制限するため、河田先生は種を入手することが困難と言います。本来、十二分に裏付けられるべき安全性、周知すべき消費者への情報開示が不十分なまま、GMナタネはビジネスとして私たちの知らぬ間に普及していたのです。GMナタネが国内に広まることは、農業には種の特許問題として、自然生態系へは後戻りできない大きな影響を与える可能性をはらんでいます。また、GM普及の背景には輸入依存への農業政策や、加工品へのGM表示義務を設けない国内制度等、私たちの生活に繋がる要因もあります。国内でGMナタネの影響に関心を持つ人はまだまだ多いとは言えないでしょう。身の回りですでに起きている、自然では起こりえない現状を知り、一人ひとりが考える必要性がでてきていると訴えられました。
 本大会の開催地、高知県は多くの河川とその源流を抱き、古くから農林水産業を営む人々は、水と土づくりを大切にしてきました。河川を汚してはならないという考えは、特に源流地域の山間部の人々に根付き、地域を守り、活かす技術としてBMW技術が早くから取り組まれます。自分たちの地域を改めて見つめ直し、その土地に適した作物、BMW技術の活かし方もまだまだあるのではないか。今回学んだことを自分たちの地域にわかりやすく伝え、多くの人と意識を共有し、自分たちで責任の持てる未来につなげたい、と強く思いました。
(報告:宮城BM技術協会 あいコープみやぎ 千葉ゆか)

第二二回BMW技術全国交流会参加報告
       
 今年の全国交流会は「食の安全と安定を求めて、生産者と消費者をつなぐBMW技術」と題して十一月十六日から十八日の三日間、高知市で開催されました。パルシステム千葉からは千葉BM技術協会の事務局を担っている中根運営本部長と、BMW技術を取り入れた実践の場、パルシステム千葉の直営農場である(株)パルグリーンファーム(PGF)の椎名常務、そして理事の川井さんと私の四人で参加させて頂きました。
【一日目】
 朝早い便で羽田を発って昼前には高知に到着。旧土佐藩主山内家下屋敷跡に建てらた三翠園ホテルに入ると、会場入り口ではBMW技術協会の秋山事務局長がにこやかに皆さんを迎えて下さっています。既に各地の生産者や、生協をはじめとする消費者など多彩な人々が、広いホールを埋める中、全国交流会は開会しました。来賓として尾﨑高知県知事や、岡﨑高知市長からご挨拶いただくなど、BMW技術と地元高知の産地がこの地域で存在感を示していることを感じさせました。
 セレモニーの後は伊藤理事長による基調報告。そもそもBMW技術とはなんなのかという丁寧な説明と一年間のBMW技術協会の活動報告があり、BMW技術の今日的な意義と今後の目指すところについて話されました。
 基調講演は岡山大学の奥地拓生准教授が、BMW技術のMに当たる岩石(ミネラル)調査の報告をされ、日本列島の生成と海陸川土というMとW(水)の循環、地質学的なアプローチに地球規模の壮大な時空についてワクワクするような思いで聞きました。また、特別講演として今年の九月に開催されたBMW技術基礎セミナーでも取り上げられた「遺伝子組み換えの問題について」、チェルノブイリ救援中部の理事の河田昌東先生から貴重なお話しをお聞きしました。パルシステムでも十年以上前から遺伝子組み換えの問題について、飼料のNonーGMO化に他の生協と連携して取り組むなどの活動をしてきました。現状どれほど遺伝子組み換えの作物が私たちのくらしに侵入してきているのか、TPPが話題になるいま、まさにタイムリーな企画であったと思います。時間に限りがある中、また関東に住む私たちと少し空気感が違うのか、もう一つの大きな「食の安全」の課題になっている放射能についても話題に取り上げて欲しかったと思いました。
 休憩時のドリンクとして、BMW技術を実践する産地からのジンジャーエールやお茶、フェアトレードの珈琲が用意され、夜の懇親会でも、殆どの食材が各産地からお持ちより頂いたものであるなど、BMW技術全国交流会を特徴づける行き届いた取り組みであると感じました。
【二日目】
 朝から昼食を挟んで一日事例発表が続きます。高知県大川村や土佐市、四万十川源流の津野町からの報告、北海道のファーマーズクラブ雪月花など各地の多様な先進的事例が報告されました。BMW技術が、農業分野では勿論、水の浄化や水源涵養林の再生、ひいては流域のくらしとの関わりにおいて評価され、行政を巻き込んで地域丸ごと、地域おこしのつながりが出来ていることに深く感銘を受けました。この日の夜は、雨上りの庭に出て土佐名物鰹たたきのパフォーマンスや皿鉢料理などご当地を堪能させていただきました。
【三日目】
 最終日はいくつかのコースに分かれてフィールドワークに出かけました。私は、室戸ジオパークのコースに参加。一日目の奥地拓生先生の講演で学んだ事をもとに、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込み、押し上げられた海底が付帯物として陸地になっていく、新しい大地が誕生する最前線を目の当たりにして、生きて動いている地球プレートテクトニクスを実感してきました。
【まとめ】
 今回の交流会は、全国的に見ても非常に先進的にBMW技術に取り組まれている高知県の事例を学び、単に農法としてだけでなく地域のくらしを繋ぐものとして、むしろ生き方のモデルとして提示されていると受け止めました。さらに例年の如く韓国BM協会からの参加と事例報告もあり、国を挙げて親環境農業に取り組んでいる中でBMW技術がきちんと位置付けられている事を嬉しく思うとともに、韓国の現場を見せて頂く機会を望みます。
 次回の新潟にもぜひ参加させて頂き、千葉での実践を報告させて頂けるよう日々取り組んでまいりたいと思います。
 最期に、長い期間をかけてご準備頂き、心を砕いて運営して下さった実行委員会の皆様、BMW技術協会の皆様に厚く御礼申し上げます。
(報告:パルシステム千葉 理事長 平野都代子)

一、「大川村における BMW 技術の活用について」
 日本で一番小さな自治体、大川村。高知県の山奥で力強く、逞しく生きている人達が取り組むBMW技術は、「はちきん地鶏」という高知県特定品種の地鶏。四国山脈の谷水をBMW技術飲水改善プラントで磨きをかけ、百倍希釈で生物活性水を添加しているとのこと。まだまだ試行錯誤の生産と取り組みのようであったが、後世に村を託すという先人達の願いと必死にくらいつこうとしている若い世代が村の活気を生み、吉野川源流を含む、地域環境を守るという想いを共有しながら村を作っている。

二、「BMW 技術・ピーマン栽培における実践報告」
 土佐市のハウスでのピーマン栽培の事例報告。耳を澄まして良く聞いてみると、生物活性水をどのように使うかなど、よく研究されているなと感じる。ただ収量アップを狙うためだけに使い失敗してしまったこと、その経験を活かして実験を繰り返し、生物活性水の使いどころをよく理解されていた。

三、「ファーマーズクラブ雪月花の取り組み」
 一年のうち約五カ月は雪に閉ざされる地域と聞いて、まず想像がつかない。それは北海道の中でも有数の米どころということ、耕作面積の大きさ(一枚の田んぼが四ヘクタール)、GPSを使ってトラクターの位置を確認しながら田植えを行うなど、北海道ならではのスケール感で営む農業と雪月花のメンバーの明るさと力強さに「閉ざされる」という言葉がとても似つかわしくないように思えたからだ。BMW技術の取り組みは稲作と花卉栽培にて実践、まだはじめてまだまもないということで結果もはっきりとわからないと話していたが、今後の目標に地域畜産農家との耕畜連携など、BMW技術そのものへのアプローチも視野に入れているとのことで今後が楽しみ。きっと結果はついてくると思った。

四、「四万十川源流の町・津野町の農業とBMW技術の活用」
 四万十川源流の町ということで、大川村と同じく「源流」を守る地域。米茄子と生姜の栽培でのBMW技術。生物活性水の利用に関してはほぼシステム的に決まっているような感じだった。堆肥センターで製造される堆肥はとても良質な堆肥で、ここにもBMW技術の効果が表れていた。

五、「夢産地とさやま・20 年の歩みとこれから」
 高知県でのBMW技術の要、土佐山での取り組み。過疎が進み、若い世代に何を伝え、地域をどう守っていくかを真剣に考えて提唱された「土佐山一〇〇年構想」をベースに、様々な取り組みがなされていた。土佐山アカデミーという教育文化活動では、村に人がとどまることも大切だが、村に人が常に流留することを考え、短期から中期の体験セミナーなどが行われている。農を中心に広がる文化、人、暮らしを見つめ直し、地域を作り、守っていく。

六、「ポークランドにおけるBMW技術の活用」  秋田県小坂町での大規模養豚農場の新規立ち上げからBMW技術との出会い、その後の導入方法、そして新たなアイディア、試みと実践方法等を発表していただきました。
 全農出資のSPF(抗菌、殺菌)農場にBMW技術(活菌)という相反する理念を合体させ、消費者にとって安全な食品を作りながら、家畜にも幸福(アニマルウェルフェアの導入)に育ってもらい、資源循環環境保全しながらの農業、耕作放棄地の活用、雇用の産出、さらにはバイオディーゼル等、次世代エネルギーへの取り組み等、「先進的原点回帰」した新たな畜産の形を作り出し、さらに進化させていこうという取り組みとその理念に感銘を受けました。特にビデオの中のバイオベッドの豚舎で本当にうれしそうに走り回っている豚達の可愛らしさにはノックアウトされました。水を得た魚ならぬバイオベッドを得た豚。
 若者が仕事をしたいと思える農業を作り出し、これからの日本の農業が進むべき道を先陣を切って走っている、そんな印象を受けました。

七、「二〇一二 年米沢郷牧場青果(さくらんぼ、ラ ・ フランス、りんご)の取り組み」
 各作物ごとのBMW生物活性水での栽培実験の報告をしていただきました。
生物活性水の性質上、使用マニュアルを作れない中、貴重な実験報告だと思います。個人農家が生物活性水を導入する際に、本当に知りたい情報であると思います。
 面白かったのは、アルギンゴールドというミネラル資材を混入した自家製生物活性水との比較実験。残念ながら期待していたほどの違いは見られなかったようですが、正に個人農家が自分の畑でやっているのがこういうことだと思いますし、一つ一つの結果を積み重ねていく事が技術の進歩確立につながると思います。今回の実験は短期間だったという事なので、その後の成果の報告も楽しみです。

八、「涸沼生態系再生プロジェクト」
 BMW技術の理念と正に合致したプロジェクトだと思います。汽水湖という、日本だけではなく、地球全体の生態系において重要な役割を担っている湖が死にかけている。
 生態系が壊されている事に気づいた地元農民の運動が、こういうプロジェクトを生み出せたということ。約二十年にもおよぶ地道な努力が花芽を付かせたこと、自分の子供たち、次の世代に何を残していくのかを、真剣に考えている先輩たちがいること、心から尊敬します。
花芽が花に、そして花が実に。長い年月がかかるとは思われますが、成功を心から祈ります。

九、「畜産農業と耕種農業の連携」
 報告の冒頭で仰っていました「人前で話すより畑にいた方が落ち着く」。そういう方が遠く熊本県から発表のためにきていただき、とてもありがたく思います。
 BMW技術に出会うまでは、積み上げた豚糞等の臭いに苦情が来ていたが今では無くなったこと。簡易尿処理水の使用方法とその成果など、貴重な報告をありがとうございました。自家製散布機や散布風景の写真等は我々土佐山の作業風景とも似ていて共感を覚えます。
 BMW技術を着実に自らの農法に取り入れ、一つの技術として確立していることに尊敬の念を抱きます。
 最後の写真「杭が一メートル以上も畑に刺さっている」なんてBMW技術協会の一員ではありますが、カルチャーショックです。あの写真を確かめるためだけにでも見に行きたいと思いました。

一〇、「生物活性水を使った小松菜の発芽実験報告」
 熊本県南阿蘇村役場という行政が運営している堆肥センターであるということ、名水百選に選ばれた白川水源を守るという役割を担っていること等、我々、「夢産地とさやま開発公社」と、とても共通していると思いました。
 今回の発表では、堆肥の普及は順調だが生物活性水の普及に向けての材料としての実験をとても分かりやすく発表していただきました。地元の農家への普及には、こういう見てわかる、わかりやすい実験報告はとても有効な手段だと思います。
 発表の最後のところ、有機培土での試験では、まだ大きな違いが表れていないということにBMW技術の難しさと奥の深さを感じました。

一一、「韓国BM協会が歩む道」
 「現在、韓国ではしっかりとその根を下ろし、BMW技術の普及に成功しました。」ということと、さらに一般社会、生活へのBMW技術普及に向けての計画等の発表をいただきました。
 「BMが生きる方法だ」という言葉には、とても力強い信念を感じます。
 環境破壊の問題は世界の問題であり、その対応策としてのBMW技術に確信を持っている姿に、日本で生まれたBMW技術が、地球全体の環境保全活動の一本の柱になり得る可能性を感じました。

一二、「生物活性水の活用事例」
 韓国モンタン黄金韓牛における生物活性水の導入背景、その後の活用事例と、今後の計画を発表していただきました。最初の楊平(ヤンピョン)での視察ではあまりにも進んでいて実感できず、改めて飼育環境の近い農場へ行き、導入に至ったこと、写真にもありましたが、楊平での視察の際に、牛舎の中に普通の靴で入っている農場主の足下を見て、唖然としている姿には、思わず笑ってしまいました。代々続けていたやり方ではあり得ない光景に半信半疑、いや無信全疑だったように思います。それでも視察し直してまで導入に至ったことには、韓国BM技術協会の強い想いを感じます。「BMWは待つことができ、信頼があってこそ効果がある」多くの成功事例がないと、中々「待つ」ということはできません。「牛を飼う仕事も、若手が選択する良い職業にしよう」と、ここでもやはり、次の世代に何かを残していくかを真剣に考えている人たちに尊敬の念を抱きます。

一三、「BMW技術の普及状況について」
 二〇一二年の新規導入プラントと今後のアジアでの展開の説明をいただきました。インドネシア、フィリピン、中国等、外国での展開状況も重要なことですが、僕が注目しているのは別のところにあります。それは高知県農業高校での導入事例です。将来の農業を担う学生達が、あって当たり前のこととしてBMW技術と触れ、使える。これ以上の普及活動は無いと思います。

最後に
 今回、多くの方に高知県へ来ていただき、ありがとうございました。基調報告に始まり、地質学、遺伝子組み換えの問題、個人組織農家の実践報告、生態系再生プロジェクト、海外での事例等、多岐にわたる発表で現在の僕らのいる環境のこと、これから進むべき農業の形等、少しは理解できた気がします。
 僕個人は新規就農を目指しているペーペーの雇われ農業従事者でしかありませんが、こういうカッコイイ農業の先輩方に出会えたことは、大きな糧になると思います。(いや、します!)BMW技術はかっこいい。
 この言葉を最後に僕の感想を締めくくらせていただきます。みなさん、本当にありがとうございました。(報告:夢産地とさやま開発公社 鈴木弘毅)

視察
 A土佐山コースは、参加者三五名で、高知市北部に広がる険しい中山間地域にある土佐山地区に向かいました。
 まず訪れたのは、土佐山夢産地パーク交流館で、ここで開講されている「土佐山アカデミー」についての説明を、コーディネーターをされている林篤志さんから伺いました。林さんは、愛知県出身で、もともとは東京で企画の仕事をフリーランスでされていた方です。その仕事の中で、地方や農業の面白さに気づいたそうです。それと同時に、地方には素材がたくさん有るのに活かされていないし、活かす人材が少ないと感じたそうです。「活かされていない素材」として挙げておられたのが、①耕作放棄地、②資源、③智恵、④技術の四点です。「人材が少ない」事については、高知県に限らない日本の地方共通の問題であり、若者の都会への流出を指摘されていました。しかし、三・一一の東日本大震災以降、都会の若者の中に価値観の変化が生じ、農と地方への興味が高まっていると言います。ですが、彼らは地方へのとっかかりがつかめないのだそうです。そこで林さんは、お互いのニーズのミスマッチを解消するため、「土佐山アカデミー」を構想され、発起人となられたそうです。「土佐山アカデミー」では、実際どのような活動をされているのかというと、三ヶ月間ルームシェアで共同生活をしながら、①土佐山の人から地域の智恵を教えてもらう②山中でのフィールドワーク、ビジネスの事・自然の事・アカデミックな事の学習③地方の素材をどう活かすのか考える④アイディアを実践するプログラムが行われています。林さんは、地方の人が地域を活性化させてくれる人材を受け入れてくれて、たとえ定着せずに二〜三年で去ってしまったとしても構わないような、人材が流動化された社会を目指しているそうです。
 次に、夢産地とさやま開発公社の堆肥センターへ向かいました。土佐山夢産地パーク交流館から、険しく細い山道を車で登っていき一〇分程で到着しました。ここにはBMW技術が取り入れられており、この地域における資源循環の重要な施設です。堆肥製造施設と生物活性水施設は、視察時年間生産量二五〇tから五〇〇tへと増強工事中とのことで残念ながら稼働状況などを見学することができませんでした。夢産地とさやま開発公社の門田さんより、原料として、牛糞、馬糞、柚子の残渣、高知生協の生ゴミが使われているとの説明を受け、地域で資源循環がしっかり回っていることが理解できました。また、製造されている堆肥は、きちんと発酵がされているように感じられました。堆肥センターを車で後にしながら、この険しい山道をダンプカーなどで原料を運び込んだり、製品を搬出する事は大変なことだろうなと思いました。
 最後に、有機JAS認定圃場のショウガ畑を視察しました。土佐山は急峻な中山間地域のため平坦地が少なく、夢産地とさやま開発公社のショウガ畑の中で一番大きな畑が二反歩の広さとのことです。移動時のバスからの眺めでもそれは実感できました。視察した畑は、有機JASの立て看板に記載されていた面積は、八九二㎡でした。山間地のためイノシシの食害に悩まされているとの事でした。収穫されたショウガは、生協等への出荷の他にジンジャエールに加工され、年間二万本販売されているそうです。(報告:茨城BM技術協会 多多納勝行)

B大川村コース(生物活性水プラント・はちきん地鶏の鶏舎を視察)

 視察前日、高知市は朝から雨が降り会場の外は寒い一日となりましたが、視察当日はとても良い天気に恵まれました。高知市は日中二〇℃近くまで気温が上がり、夜には四、五℃まで下がり、寒暖の差が大きく場所によってはマイナスまで下がるのには驚きました。
 大川村コースには大川村役場の長瀬さんの案内のもと一四名が参加し、朝八時一〇分にホテルを出発して視察地を目指しました。途中西日本一の貯水量を誇る早目浦ダムで休息をとりながら着いた大川村役場では、和田和士村長から歓迎のご挨拶をいただきました。役場からは、交流会実行委員長を務めた村議会議長の朝倉さんがバスに同乗し、大川村の歴史などを伺いながら視察地である「はちきん地鶏」を飼育している朝谷鶏舎に向かいました。
 大川村は四国のほぼ中央に位置し、北は四国山脈の険しい山々を境に愛媛県に接しており、村の約九割が険しい山地となっています。朝倉議長さんのお話によると、以前は白滝鉱山がありとても賑わっていて、当時は四、五〇〇人ほどの人口があったそうですが鉱山の閉山、早目浦ダムの建設で村の大部分が水没し、現在では四〇〇人程度まで人口が激減、日本の離島以外の市町村で最も人口が少ない村となったそうです。
 現在、大川村では大川黒牛やはちきん地鶏などの畜産に力を入れており、今回視察した朝谷鶏舎では種鶏の飼育も行われていました。この朝谷鶏舎でBMW技術を活用している様子を視察させていただきました。最初に見たのは生物活性水プラントです。ここでは五tタンク五槽、日量五〇〇ℓの生物活性水が生産できるプラントが導入されており、出来上がった生物活性水を少し飲んでみましたが、無味・無臭で色合いを見ても良く出来ていると感じました。また、飲水改善プラントも導入されており、四国山脈から流れ出る谷水を飲水改善し、これに生物活性水を約一〇〇倍になるように添加してはちきん地鶏に与えていました。朝谷鶏舎は、以前トマトの水耕栽培に利用されていたハウスを活用してはちきん地鶏を飼育している為、温度管理等で苦労することがあり様々な工夫を凝らして飼育されていました。そして鶏舎の敷料には牛糞と鶏糞から出来た堆肥が使用されていました。この堆肥は大川村の堆肥センターで生物活性水を活用して堆肥化したものです。最後に、種鶏の鶏舎を視察しました。土佐九斤と大軍鶏をかけあわせたクキンシャモを父親に、白色プリマスロックを母親にして、はちきん地鶏が生まれたそうです。ここでは現在一、四六〇羽飼育されており、プリマスロックのメス一〇羽に対してクキンシャモのオス一羽の割合で飼育されておりました。ここでは一日当り四〇〇〜五〇〇個ほどの卵が産卵されるそうです。
 現在、はちきん地鶏は年間七万羽出荷されており、今後一〇万羽を目標に日々頑張っておられました。
 視察終了後の昼食では、はちきん地鶏と大川黒牛のバーベキューをいただきとても美味しかったです。ごちそうさまでした。
(報告:米沢郷牧場 諸橋伸忠)

 C津野町コースは、高知県津野町方面を、全国交流会でも発表してくださった津野町の豊田庄二さんに案内していただき、参加者約二〇名で見学しました。
 まず、津野町で建設したBMプラントおよび堆肥センターを訪れ、津野町役場の方に説明していただきました。生物活性水を使ってつくった堆肥をペレット状にしたものが好評でよく売れているそうです。
 また津野町の地産地消・外商の取り組みとして津野町のアンテナショップ「満天の星」や大福をはじめとした菓子製造などについても解説いただきました。ほうじ茶を使った「満天の星」大福は高知空港などでも販売され、好評だそうです。
 続いて豊田庄二さんの圃場に移動して、米ナスを見学しました。十一月中旬でしたがまだつややかな米ナスがハウスで栽培されていました。豊田庄二さんの圃場のすぐそばにある、土佐藩出身の幕末志士、吉村虎太郎の生家と、津野町で地域として受け継がれ毎年十一月に奉納される津野山古式神楽などで有名な諏訪神社への一本橋などを紹介していただきました。一本橋も地域住民で管理し、四国の沈下橋の原型になるものだそうです。
 昼食は、津野町にある四万十源流センター「せいらんの里」でいただきました。せいらんとは、ごく限られた清流でしか採れない幻の川海苔(岩のり)だそうです。地元の方が料理した、地元で取れた新鮮な野菜やアメゴなどの川魚料理をいただきました。昼食後は、「せいらんの里」の隣にある鍾乳洞「稲葉洞」も見学しました。
(報告:BMW技術協会事務局 井上忠彦)

Author 事務局 : 2013年02月01日 19:16

 
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