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2013年06月01日

【AQUA254号】千葉BM技術協会・白州郷牧場視察研修会を実施

環境・食・健康の密接な関係を視察研修で再確認

 千葉BM技術協会は、去る四月一二日〜一三日、山梨県北杜市・白州郷牧場の視察研修会を行ないました。同研修会は、二〇一一年の福島第一原発事故以降、千葉BM技術協会で検討してきた『解抗免力』※注1等を高めるための農畜産物生産及び生活スタイル構築の取組みを進めるため、BMW技術を活用した生産や生活、発酵食品づくり等の現場を学ぶことを目的に実施されたものです。視察研修会には、生活協同組合パルシステム千葉、㈱パル・ミート、(農)和郷園、北見畜産㈲、NPO支援センターちば、㈲千葉自然学研究所ら、当協会の法人会員やプラント会員、個人会員合計一五人が参加しました。
 視察研修では、白州郷牧場の畜産・耕作現場の視察をはじめ、発酵食品づくりや、発酵飼料づくりを参加者が体験するプログラムが実施されたほか、同牧場で飼育される平飼いの採卵鶏と、一般業者が飼育する採卵鶏とは、何が違うのかをテーマに、内臓等の解剖比較を行なう鶏の解体検証を同牧場スタッフとの合同研修として、実施しました。

 一二日、白州郷牧場に到着した一行は、同牧場の販売部門を担当する「白州森と水の里センター」が運営する直売所兼レストランの「おっぽに亭こっこ」で、牧場の平飼い卵を賞味できる「卵かけご飯」で先ずは腹ごしらえ。食事後、木内克則千葉BM技術協会会長から挨拶の後、同牧場の椎名盛男代表と見田由布子氏から、牧場や生産の概要、子ども達の教育活動や、BMW技術等の取組みについて、ブリーフィングを受けました。
 続いて、牧場スタッフの内藤光氏の案内で、BMWプラントや、繁殖牛、平飼い養鶏、野菜ハウスや、育苗・栽培実験ハウス、パックセンター等を視察しました。内藤氏からは、同牧場の環境や有畜複合の資源循環型の生産方法について、詳しく解説がありました。また、同牧場で通年行なわれている子ども達の自然・農業体験学校(キララの学校)に活用されている図書館や宿泊施設(古民家)、今日のBMW技術運動の基礎を築かれた故兼重正次氏の生前の言葉が刻まれた石碑等について、説明を受けました。

麹づくり、菌体飼料づくりを体験
 その後、参加者は二班に分かれ、一班は、麹や味噌、漬物を生産する同牧場加工所で、見田氏らの指導により、麹づくりの種付け作業を体験しました。もう一班は、椎名代表、牧場スタッフの若杉俊明氏の指導により、発酵飼料(BM菌体)づくりを原材料や使用方法等の解説を受けながら、体験しました。夜は、当協会参加者と牧場メンバーとの意見交換会を兼ねた懇親会を行い、牧場で生産された鶏肉や野菜を利用した料理を充分に堪能させていただきました。

〜石澤元協会理事長による鶏の解体・比較〜
白州郷牧場と一般飼育の採卵鶏の
内臓の違いに一堂驚嘆!
 翌一三日は、昨日の麹づくりの発酵状況を確認の後、見田氏の指導により、BMW技術を活用した家庭でできる「水づくり」の具体的方法について、説明を受けました。
 続いて、石澤直士元BM技術協会理事長(現・株式会社ゼンケイ代表取締役)を講師に、白州郷牧場との合同研修※注2として、鶏の解体(解剖)を見学しました。この研修は、白州郷牧場の採卵鶏と一般養鶏業者のウインドレス飼育の採卵鶏を解体(解剖)し、その内臓等を比較検討するプログラムです。石澤元理事長からは、鶏を解体しながら、一つ一つの臓器について、環境や飼育方法によってどう変わるのか懇切丁寧な解説が行なわれました。解体された鶏の脂、肝臓の大きさ、肺の色、砂肝の大きさや臭い、腸の長さ等、両者は大きく異なりました。同牧場の鶏は、砂肝の臭いが全く生臭くなく、肺も綺麗な色で、腸の長さは、ウインドレス飼育鶏の二倍以上はあり、非常に健康に育っていることが確認されました。参加者一堂「飼育環境や、飼育方法でこんなにも違うものなのか」と、驚嘆の声が上がりました。また、「生協でも実際に目や臭いで確認できるこうした取組みをもっと実施するべき」との意見も上がっていました。
 鶏の解体見学後は、再び「おっぽに亭こっこ」で、新メニューの鶏カレーを賞味し、下地通太千葉BM協会副会長から、白州郷牧場へのお礼とまとめの挨拶で、視察研修会を締めくくりました。
 今回の視察研修会では、鶏の解体比較、『解抗免力』の具体的食材である麹のつくり方、菌体飼料のつくり方等を体験して、自分達のおかれている現状を知り、見直す機会を持つことができました。特に参加者全体で経験した鶏の解体(解剖)比較では、白州郷牧場の鶏と、ウインドレス鶏舎で飼育されている鶏とは、内臓に明確な違いが見られ、この違いこそ「健康」とは何か、鶏を通して知る機会となりました。現代社会における「食」を考えるとき、環境・食・健康は、密接に結びついており、今後、千葉BM技術協会においても、追求していくべき課題であることを再確認することができました。
(報告:千葉BM技術協会 副会長 礒田有治)

※注2:白州郷牧場では、牧場スタッフを対象に、今年二月から、毎月、石澤元協会理事長を講師に、鶏の学習会を開催している。第一回は「鶏の生理」、第二回は「養鶏を巡る国際情勢」、今回は、「飼育環境、飼育方法による鶏の違い」を実際に解体して学んだ。次回は「鶏の飼料」をテーマに開催予定。

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 視察研修会実施の背景

 千葉BM技術協会は、二〇一一年の福島第一原発事故発生により、大量の放射性物質が環境中に放出され、千葉県内にもホットスポットが現れるという事態に対応し、以降、放射能と内部被ばく、その危険性と予防法等についての学習会や講演会を企画・実施してきました。
 昨年六月には、生活クラブ生活協同組合、生活協同組合パルシステム千葉との共催、BMW技術協会の協力により、「くらしと放射能を考えるフォーラム」を開催しました。同フォーラムでは、内科医・土井里紗先生から、「放射能に負けない体づくり」について、講演をいただき、放射能リスクを低減する方法は、①いち早く有害物質を体内から排泄するための「解毒力」②放射性物質などにより発生した活性酸素による酸化ストレスを防ぐための「抗酸化力」③ガン細胞や病原体を撃退し、細胞を修復するための「免疫力」――を総称して『解抗免力』(注1解説)と呼び、各個人のこれら能力を高めることが非常に重要であるとの指摘をいただきました。これは、放射能リスクを低減するだけではなく、多くの病気や老化対策にも通じ、現代人が健康を保つためには不可欠との提案をいただきました。
 フォーラムでは、現在生産されている農産物は、それらの『解抗免力』、とりわけ抗酸化力等は、はたして高いのか、低いのか、疑問であることが提起されました。例えば、ホウレンソウでは、一九五一年と二〇〇一年での食品成分分析比較では、ビタミンAの成分量は、二〇〇一年では、一九五一年の十分の一となっていること等が提示されました。
 また、「免疫力」向上に効果があるとされている発酵食品の具体例として、白州郷牧場の発酵食品づくりの取組み等も同フォーラムでは発表されました。
 フォーラム後、千葉BM協会幹事会では、土井先生から提起された『解抗免力』を高めるための農産物生産や、食生活・生活スタイル等をどう構築していくか、議論され、生きものに良い農産物づくりの環境づくりや、発酵食品づくり等に取組んでいる白州郷牧場の視察研修を実施し、今後の検討を進めていくこととしています。

Author 事務局 : 2013年06月01日 20:15

 
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