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2013年06月01日

【AQUA254号】インドネシアにBMW技術 排水処理と生物活性水プラントが導入

 二月二二日より三月六日までインドネシア・シドアルジョのATINA社の新工場(エビ冷凍加工)にて排水処理と生物活性水のプラント設備工事を行いました。昨年より同社にて新工場建設が始まっており、工場敷地内の一番奥にプラントは建設されました。工場からでる排水(主にエビの加工排水と加工設備の洗浄水)を処理します。またその処理水の一部を生物活性水の製造に利用します。
 排水処理プラントの規模は流量調整槽、第一曝気槽、沈殿槽、第二曝気槽、自然石槽など五つの槽にわかれています。総容積は約五二〇t、ATINA社の日平均排水量が六〇トンなので、約八日間滞留させて処理を行う設計となっています。処理水の一部は生物活性水のプラントへ、残りはビオトープを経由してインディカトル(注釈)という調整池に流れ、そこから敷地外の河川に放流されます。工場から出る排水のBODは三〇〇〜五〇〇mg/リットルで、処理水はこれから検査をしますが、インドネシアの排水基準値以下(五〇〜一〇〇)まで処理される予定です。
 設備工事はATINA社の技術部門のスタッフと共同で行い(土木槽から屋根までプラントはすべてスタッフが建設)、辞書を片手に片言のインドネシア語と下手な英語を駆使(苦使)しながらのやり取りで、通常より時間が必要となりました。一緒に工事を行うことで、技術スタッフにもBMWプラントの仕組みや処理工程、BMW技術に対する理解が深まったのではないかと思います。今後、技術スタッフがプラントの日常管理をすると言う意味でも有効的な手段でありました。
 曝気用散気管のエア配管にもひとつひとつにサポートを取りつけて行くのですが、そういった部材も鋼材を切断し溶接するなどしての「手作り」でした。
 工事中、インドネシアは雨季で一日にスコールが数時間訪れます。このスコールは並大抵のものではなく、大嵐が吹き荒れるという感じで屋根があっても雨が吹き込み作業は中断します。スコールが来ないと今度は暑さとの戦いです。
 また、日本から送った設備資材がなかなか現地に届かないというアクシデントもあり、あらためて外国でのプラント工事は難しいものだと実感しました。現地スタッフとのやり取りや気候や現地事情により、なかなかはかどらない工事に気が急く場面もありましたが、なんとか無事に設備工事を終え、試運転調整を開始するところまで漕ぎつけました。試運転を開始したのは帰国する一日前でした。

 また、同社の工場は環境保全型の都市型工場を目指す目的にあります。インドネシアでは、多国籍企業が多くの工場を建設しています。雇用も増えるため都市部に人が集まってきています。その結果、工場排水、家庭排水等による都市河川の汚染が深刻な問題となっていて、これが下流域にあるエビの養殖池へも影響を及ぼしているとのこと。近隣の小さな河川は見るだけで汚染されているのがわかります。
 今後の予定は、処理水を利用したビオトープをこれからどういう方向で利用して行くか検討を進めていくこと。インディカトルでの魚の養殖(テラピアなどの稚魚を放流)、そして生物活性水をはじめ、BMW技術をどう現地で活かしていくかです。工事終了から約2週間後には新工場の竣工式が行われ、本格的に新工場の稼働が始まります。竣工式にはBMW技術協会からも理事長、常任理事など数名が参加し、現地のエビ養殖池や稚エビの養殖場などを視察し、BMW技術を現地でどう役立て行くかを検討していきます。
      (報告:㈱匠集団そら 星加浩二)
※インディカトル:工場の河川排水口前に大きな貯水池(調整池)を作ることが義務づけられているとのこと。この池は現地ではインディカトルと呼ばれているとのこと。

Author 事務局 : 2013年06月01日 20:17

 
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