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2014年03月01日

【AQUA263号】第23回BMW技術全国交流会 第二日目前半

[発表①:稲作]
「生物活性水の利用による稲の生育への影響の調査」
大郷グリーンファーマーズ(宮城BMW技術協会/宮城県) 西塚忠樹
 大郷グリーンファーマーズでは、全体で四〇ヘクタールの稲作をやっています。昨年は高温障害による米の等級落ちがあり、それを生物活性水で減らすことができないかどうかという思いで実験しました。育苗(プール育苗)期間中の葉面散布から始まり、定植時、栽培中に生物活性水の利用を行ってきました。今回実験した品種は、ひとめぼれという品種です。田植えから六月中のみ一部分だけ原液の掛け流しを行ったところ、差が出ないのかなと思ったが根の成長が葉面散布を行ったところよりだいぶ大きく出ていました。収量は対照区のほうが八俵/一〇アール、実験区のほうは八.三俵/一〇アールと若干多かったのですが、今年は昨年と入れ替わり低温が続き、日照も少ないものでした。来年はイモチの対策等にも活用できるような実験をしていきたいです。

[発表②:稲作]
「謙信の郷 実験事例報告」
謙信の郷(新潟県)  富永 暁
 生物活性水のプラントは、謙信の郷の代表である井沢代表の牛舎に隣接しています。謙信の郷ではメンバー一〇人が代表の井沢牧場の生物活性水を利用しています。原料は牛の尿です。実験は育苗の時点で生物活性水をどのように使用するかによって、例えば細菌由来の立ち枯れ病だとか、そうした病気にも高温障害にも負けず、白未熟、着色米ですとかそういった被害に負けない稲を作るために、生物活性水の効果がどうでるかという実験を皆でやりました。
 まず峯村さんですが、四月二九日に播種をし五月九日から希釈倍率三〇〇倍で流し込み、五日おきに潅水。試験区と対照区を設けて草丈、根の長さを計測していきました。五月二〇日頃になって、約一cm近くの長さの変化が出てきました。根の長さも試験区で生物活性水に浸けているほうが発育が早いという結果です。さらに経過を追うと葉色が濃くなってきたところが見えてきました。生物活性水を流し込んでいるところは非常に青々として、少し生物活性水の効果が出てきたのではないかと、三〇日、田植え当日には生物活性水のほうは一二cm、それから対照区のほうは一一cmという結果でした。今回は根の長さは計測をしてなかったんですが、明らかに試験区の方が根の張りが良くなっています。
 また、私は四月二七日に播種をして三〇日には育苗シートを外した状態でしたが、五月八日から育苗で葉面散布を始めました。生物活性水は五〇〇倍液、試験区と対照区と設けた上で、育苗の一回に二〇ℓを苗箱五〇枚ずつ対照区と試験区を設けまして、一箱あたり育苗が五〇〇mℓの葉面散布で二日おきに育苗を観察しました。五月二二日に試験区の草丈が一五㎝くらいになり、対照区が約一㎝ほど短く、やはり草丈の成長は非常に良いなと感じました。根の方は生物活性水を入れてるほうに発根促進がはっきりとあらわれています。対照区を設けて、育苗で使用する生物活性水の希釈倍率や葉面散布や本田へのプールへの流し込みの効果実績、生物活性水の活用、栽培における方法をまだまだ探っていきたいと思っています。またデータを取って私たちのグループの中でも、情報を共有して、今後それぞれに合った活用法を選んでいきたいと思います。

[発表③:野菜]
「生姜連作圃場でのBMとさやま生物活性水の使用実験」
夢産地とさやま開発公社(高知県)鈴木弘毅
 僕がした実験というのは一番幼稚なレベルの実験なのでちょっと恥ずかしい位ですが、頑張って発表します。生姜には根茎腐敗病というのがあります、高知県はそもそも生姜生産量日本一ということですが、この根茎腐敗病が発生すると収量はゼロ、全滅するというレベルのすごく怖い病気です。当然、ずっとこの病気を抑える研究を何十年も続けていますが、ちゃんとした対策というのができていない病気です。今は廃止になっているはずですが、唯一臭化メチルというガスを打つという土壌消毒のみが、連作でこの病気を抑える技術ということです。有機JAS認証をとった畑で生姜を作っているので、当然、土壌消毒はできません。とさやまは畑の面積が一番大きくて二〇a、これを寄せ集めていろんな作物を作っています。四年ぐらいで転作すればなんとかこの病気にあわずにすむのかもしれませんが、連作せざるを得ないという条件のもとで生姜を作っているので、なんとかして病気を抑える技術を作りたいなと思っています。ただ高知県でこの根茎腐敗病対策で発表しようとすると、できるわけないだろうと言われる実験です。
 生物活性水だったら土壌の生物性を改善できるという一番基本的な効果に期待して実験に入りました。実験の方法は、生姜連作は七年の一番ひどい畑で三本の畝を一区画として、それを計四区画、原液、五〇〇倍、水、何もかけないとわけました。本来、とさやまで生姜を作っている時は、自然任せで水もあげませんが、この四通りで実験しました。原液と五〇〇倍のところは、一番最初に芽が出ました。一次茎伸長、原液区はもうびっくりする位、一次茎の太さも長さも色もこの段階ではすごく良かったです。でもこれが今年の生姜のピークとなりました。その二週間後の梅雨明け、原液区、五〇〇倍区が一番早かったのですが、あっという間に様子が変わって、ほとんどの生姜が茶色くなって、出てた茎の半分位が倒れだして、それから一ヵ月も経たないうちに五〇〇倍区ではほとんど茎がなくなっています。原液区が辛うじて何本か。なぜか何もしていない区というのは、背丈こそ低い、そんなにすごく健康ではないのですが、まだたくさん立っています。最後の土寄せと最後の草よけで堆肥をかけた段階です。あからさまに五〇〇倍区と原液区は何もないです。やはりここでも何もしなかった区は、まだ最初に伸びた茎が残ってくれていました。
 収穫結果は原液区、五〇〇倍区、水区の生姜はほぼ全滅、何もしない区はこれ本当に病気になっているのかなという位、収穫できました。結論は当然です。ほぼ無理だろうと言われていることをやっているので、ちっとも悔しくはないですけれども、完敗です。ただ本当に最初の芽出しの段階では、原液区の色艶とか太さとかでいうと、もうあからさまに差が出ていました。最初の段階、芽を出すまでの生姜の生育には生物活性水、しかも濃い生物活性水に効果があるんだなということがちょっと分かりました。当然、土の準備は一切していなかったことに等しいということと、水で伝染する、梅雨明けに一気に広がったというのもあって、全然高畝にしていなかったのが反省点。最後に、本当に何もしていなかった区というのが、まぁ何とか家庭菜園レベルの生姜にはなっていたので、この原因というか、これをどう読み解けばいいのかというのが、今まだ僕には全然分かりません。

[発表④:野菜]
「山崎農場の有機肥料栽培における生物活性水の活用」
謙信の郷(新潟県) 山崎 雄大
山崎 龍幸
 今年までの生物活性水を利用しての栽培方法、活用事例の発表をさせていただきたいと思います。上越市という場所で私たちは菱ガ岳と妙高三山に囲まれた場所で生産を行っています。ここの土壌は二千万年前から三千万年前に海底が隆起してできた地層と考えられています。奥地先生からの解説もありました通り、火山灰が積もってミネラルが豊富な地形、山々の噴火による火山灰や火山岩からの豊富なミネラルが供給されているようです。
 豊かな土壌ですが中山間地ということで、路地野菜の圃場が二三区画に分散し約三〇種類ほどの野菜を育てています。全ての野菜は有機肥料のみで栽培、牛糞、豚糞、醤油の絞りかす、米糠、一部購入有機肥料など、あと井沢牧場の生物活性水です。
 生物活性水の利用に移る訳ですが、生物活性水の利用は一〇年ぐらい前から一部の野菜で使用を始めまして、今年はほぼ全ての野菜に使用しました。また、忌避剤やニーム液などを使う際には稀釈液として使っています。約三〇〇倍程度の稀釈が主な基準になっています。水稲では二〇アールで原液を六〇〇ℓを田植え後と出穂三〇日前と出穂期にそれぞれ流し込みをやってみました。実際収量でいいますと反当り一五キログラムほど試験区が増えて、くず米の割合も一〜二%ほど減った結果が得られました。
 生物活性水を利用するようになって作物の生長が安定してきたように感じます。

[発表⑤:果樹]
「有機果樹栽培の高機能化」
山梨大学大学院医学工学総合研究部生命環境学部 教授 御園生 拓
 今回は作ったクロレラをどうしようというところに手を出し始めまして、そこの話をしたいと思います。今度山梨大に新しく生命環境学部という農学系の学部をつくり、そちらへ移りまして今環境科学科というところにいるんですけれども、やまなし自然塾と「有機果樹栽培の高機能化」の共同研究を始めました。果樹については有機栽培ができないという話ですが、なかなかそういうデータはないので、有機肥料とかマルチとかは栽培果樹にどのように効くんだろうかちゃんと調べてみようということではじめました。目標としては完全有機栽培なので、山梨ですからモモとブドウ、高機能化も一緒に見るために栽培方法も開発しようと予定しています。
 研究期間は三年間で、今年の二月からスタートしています。四二〇㎡の実験圃場を作りましたが、ここは粘土質でなかなか水はけが悪く、ずっと慣行農法でやってきた所です。農薬とか化成肥料とかを撒かれているとのことで、二ヵ月位前にまずは土作りということで、黒富士農場の鶏糞堆肥を入れて植栽しました。モモとブドウを植えて、その周りにコンパニオンプランツというものを植え、植物の相互作用で病虫害防除に関しても研究します。
 二週間に一回、一株当たり一〇ℓ、一〇〇倍希釈の藻類バイオマス(クロレラ)と生物活性水とをそれぞれに与えました。一〇〇倍に決めたのはあまり根拠はなくて、皆さんは五〇〇倍とか三〇〇倍とかおっしゃってますけど、そこは何か根拠をもって倍率を決めれるようになるといいと思います。別にポット栽培もやってみようというので、モモとブドウと各六本、モモの場合は畑潅と生物活性水ということでスタートしました。苗の時には全て藻類バイオマスつまりクロレラの入ったものを潅水して植えつけました。今年の二月に高畝切って排水溝作って、三月一日に堆肥を漉き込んでモモを定植、三月八日に水やり開始、三月終わりにチップを敷いてブドウとハーブを定植して、以後、月二回二週間おきに一株あたり一〇ℓを灌水してデータを取ったというふうにしてやってきました。実は統計的に有意な差というのは今回は得られてないんです。最初だから仕様がないというのもありますが、傾向としては、おおきなとか長いなとかはありますが、有意差はない。生物活性水と藻類バイオマスによって何が起こったかというと、桃の第一枝の数が増えたが、バイオマスの効果かどうか。ポットのブドウの新梢長もちょっと長くなったかどうか。最大の収穫は、枯れない。これ素晴らしいです。枯れたら意味ないです。来年も続けます。

Author 事務局 : 2014年03月01日 12:23

 
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