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2014年05月01日

【AQUA265号】BMプラント動向

鹿児島県西之表市(種子島)にて
BMW技術基礎学習会を開催

 三月一日に鹿児島県西之表市(種子島)のJA西之表・会議室(三階)にて、「西之表市の明るい農業を目指す会」の主催で土づくりと地域循環・環境保全型農業を考える学習会が開催されました。学習会の主な目的は「BMW技術の基礎から土づくりと地域循環を考える」ということで、BMW技術協会・事務局の秋山と西日本BMW技術協会事務局・グリーンコープ連合の宮﨑利明氏が講師として参加しました。
 西之表市の明るい農業を目指す会からの主な参加者は沖ヶ浜田黒糖生産者、種子島茶生産者のメンバーや、安納イモの生産者など耕種農家、畜産農家、JA職員等、合せて約三〇名となりました。学習会の目的は有機農業を実践されている方やこれから実践していこうという人達が中心で、とても熱心に各講師の話に耳を傾けていました。
 はじめに、鹿児島県熊毛支場(農業普及センター)・場長の西岡稔彦氏による、「種子島の堆肥作りの重要性」として、種子島では化学肥料に頼り過ぎていて畑がどんどん劣化している危機的な状況にあると提議し、畜産も多いので畜産資源を使った堆肥を畑に活用するなどして、一から土作りを一緒に勉強していこうということでした。
 次にBMW技術協会・事務局の秋山から「BMW技術の基礎と生物活性水の活用」として、技術の基礎、協会の概要と各産地での取り組み等の話をしました。
 最後にグリーンコープ連合の宮﨑氏は「BMW技術と消費者の関り・生活協同組合について」として、BMW技術とグリーンコープの関りの話と、グリーンコープ自体の取り組みの説明がありました。
 質疑応答では、三人の講師と参加者が一緒になって、意見を交換しました。農家からの活発な意見もあり、BMW技術に関する関心もかなり高く、こんな風に使ってみることができるかとか、プラント導入コストや工程日数などへの質問も多く出ました。
  (報告:BMW技術協会 秋山澄兄)

匠集団そら 定期点検
  埼玉県内の中水利用プラント
  北海道根釧地区の飲水改善プラント

 二月の大雪をひきずるように、三月に入ってもなかなか暖かくなりませんが、ようやく関東では桜が咲き、関東では若干遅い春がやってきたのではないかと思います。二月の大雪で甚大なる被害に遭った方々へは心からお見舞い申し上げます。山梨や埼玉のBMWプラントへの直接的被害はありませんでしたが、ご周知の通り、ハウスや鶏舎への被害は大きく、通勤、出張等での通り道では未だ倒壊したままのハウスを多く目にすることがあります。
 さて、匠集団そらでは三月に埼玉県内の中水利用プラントの定期点検をおこないました。パルシステム連合会岩槻センターにはじまり、パルシステム埼玉の蕨、三芳、白岡の各センター、そして老人ホームのオリーブです。蕨センター以外の各施設にプラントが導入されてから約一七年が経ち始めています。(※パルシステム埼玉・蕨センターは二〇一二年にセンター建て替えに合わせてリニューアル)
 各プラントの設備は時期的に、機械や配管に補修や交換が必要となってきています。定期点検は三ヶ月に一度おこなっていますが、ここのところ毎回どこかのプラントで配管や散気管の補修やエアーを送るブロアの交換をおこなっています。BMプラントの歴史を感じながらこの作業をしていますが、プラントは現在も元気に稼働を続けており、トイレの流し水として中水を再利用しています。その中水ですが、トイレへの再利用以外にも活用方法はあります。センター内の花壇や樹木への水やり、外回りの散水にも利用できるかと思います。是非、活用をしてもらいたいと願っています。協会と連携して活用促進に続けられるようなことを考えていきたいと思います。

 同じく定期点検で北海道・根釧地区の五農場、根釧みどりの会のメンバーですが、各農場の飲水改善プラントの点検をおこないました。別海町の岩崎牧場、標茶町の渡辺牧場、中標津町の三友牧場、別海町の川畑牧場、そして厚岸町の石澤牧場です。この五つの飲水改善プラントのうち石澤牧場以外は、三tのステンレスタンク×三基で構成されています。一槽目はカルキ抜きのため、ニ槽目にリアクター塔を投入しています。牛の飲水量は一日五〇Lで計算、×頭数×二日滞留(二倍以上の量)で容量を計算します。ほとんどの農場が四〇頭〜五〇頭なので、五〇L×五〇頭×二=五tとなっています。石澤牧場は一槽が二t×二槽の土木槽です。
 本紙AQUAではこれまでにも根釧みどりの会のメンバーが関っている「マイペース酪農」について、記事に取り上げてきました。マイペース酪農は三友牧場の三友盛行さんが提唱し、基本は放牧、化学肥料や濃厚飼料などの外部資源の投入を抑え、土、草、牛の関係・循環を整えることを重視しています。マイペースとは、のんびり酪農をするという意味ではありません。規模拡大、濃厚飼料多給による高泌乳路線への反省に基づいているとのこと。一頭当たりの年間平均乳量は少ないが、飼料費、肥料費など、経営コストが低く、牛も平均五産と長生きするため、所得率は高くなります。労働時間も一日六時間程度と少なく抑え、小さくてもゆとりのある経営を実現している。糞尿処理などの問題で環境を汚染していくアメリカ型のメガ酪農に対抗する形でもあります。牛一頭につき草地一ヘクタールのバランスが良いとして、牛が増えすぎると、粗飼料が足りなくなって濃厚飼料に依存する酪農に陥り、飼料費がかさむうえに牛が病気になりやすい。規模は経産牛四〇〜五〇頭、牧草地四〇〜五〇ヘクタールが理想。これを超えると労働過剰になり、飼養管理がおろそかになってしまう。糞用処理などの問題で環境を汚染していくアメリカ型のメガ酪農に対抗する形になるが、頭数を無理やり増やすと、糞尿処理施設等への過大投資が不可欠となり、それらの経営が規模拡大により苦しくなっていく現状がほとんどとのこと。
     (報告:㈱匠集団そら 星加浩二)
※参考図書「マイペース酪農〜風土に生かされた適正規模の実現」三友盛行著(農文協)

「根釧みどりの会」訪問 追記

 昨年の九月に根釧みどりの会の総会に参加させてもらいました。一通りの議事の後に、メンバーの方々が国やホクレンの酪農に関る政策や動向、酪農の技術そのもの、仲間の状況、そして環境問題に関して意見や情報を交換されており、とても勉強になりました。三友牧場の三友さんは「ずっとマイペースを貫きながら仲間でやってきた。変人扱いされることも多々あったけど、いまでは周りから見直されている部分もあるが、まだまだ地域ではメガ酪農が主流。畜舎と付帯設備や尿処理施設、そして餌など、ほぼ大企業の独占で、大がかりなものには補助金をたっぷりつけて推奨している。環境のことを本当に考えているのだろうか、とてもそうは思えない。」
 また二年前に三友農場を訪問した際に、BMW技術を導入してからどうですか、と尋ねたことがあり、三友さんは「もちろん乳量が増えること、乳母炎などへの効果に期待もある。でもBMの考え方や環境へのアプローチを聞いて、自分達の目指すところにBMW技術を入れて当然だろうと思っている。」と浅草出身のベランメイ調交じりで答えられていたのがとても印象的でした。知らない方がまだまだ多いと思いますが、根釧地区の環境問題は深刻と言っても過言ではないかと思います。大きな力に対抗して、マイペース酪農の信念を貫くメンバーの方々に感服しています。三友農場の放牧地で落ちている糞をひとつひとつ割って見せてもらいました。これで牛の健康状態がわかると言いながら、糞が土に還る過程において、微生物はもちろんですが、ハエや糞ころがしなどの様々な虫が順を追って関っていることを教えてもらいました。
(報告:BMW技術協会 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2014年05月01日 19:46

 
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