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2014年10月01日

【AQUA270号】清村養豚場の新しい簡易尿処理プラント

 清村養豚場は熊本県のおよそ真ん中の御船町にあります。母豚は六〇頭ですので農場としては六五〇頭前後の規模です。BMW技術を使った簡易尿処理施設は二〇〇一年に作られ、一三年経ちますが、今回新たに個液分離の機器を設置、また七五トンの曝気槽を新たに設置し尿処理がスムースになるようにしました。
 五月の中旬にフル稼働に入り、六月には尿処理水の分析もされたということなので、今回訪問しました。
 また、当日はこの尿処理水を使っている熊本県愛農会野菜部の渡辺洋一さんもこられていましたので、野菜に使った様子などもお聞きしました。(以下、「清村」となっているのはお父さんの清村善一さん(六一歳)と息子さんの徹さん(三〇歳)に答えていただきました)

――以前に比べて、本当に臭いも改善しましたね。また処理水も良い色をしていますね。
清村:今年の二月に個液分離の機器を設置したのですが、その時点で状態がとても良くなりました。フル稼働してからは更に良くなりました。
――個液分離の機器と、曝気槽を設置したそうですね。
清村:一三年前にBMW技術で尿処理するために、以前からある六四トンの曝気槽(第一槽)に沈殿槽や自然石槽、精製槽などを追加していました。その時点では母豚五〇頭の予定でしたが、現在六〇頭になっていること、固形物(糞)も一部が流入していましたのでどうしても処理に無理があったようです。それで個液分離の機器と七五トンの曝気槽(第二槽)を追加して組み込みました。リアクター塔は新しい第二曝気槽に移設しました。
――曝気槽としては二倍以上になりますね。最初に水を張ってスタートしたのですか。
清村:匠集団そらの指導では、水を張って従来の曝気第一槽から順次流入させるということでした。でもせっかくなのでそれまでの最終槽(精製第三槽)から状態の良い時期を選びながら、三月の終わりごろから尿処理水を新しい曝気第二槽に流しました。およそ三分の一の二〇トンくらい入ったところで、曝気第一槽から流入するようにしました。
――今の状態はどうですか。
清村:とてもよくなっていますが、汚泥が増えすぎているので困っています。この汚泥は活性汚泥で、汚水を浄化するし、沈降性の優れた微生物の塊、フロックですので、ある程度は必要ですが、ポンプアップの際などに目詰まりするし、全体が重い感じがします。汚泥は三〇分後に三〇%の線に来るのが良く、六月頃はそんな状態だったのですが、現在は八〇%くらいになっています。
――汚泥が増えすぎていることへの対応・対策はどうするのですか。
清村:抜き取るしかないようです。抜き取った汚泥は畑の元肥に使ったり、堆肥の水分調整に使う予定です。
――処理水の検査・分析をされたそうですね。
清村:金属イオンなども分析したのですが、窒素分と電気伝導率はこのようになっています。

状態がすごく良いので、アンモニア性窒素がもう少し少なくなっていると思ったのですが、意外とあるなあという感じです。
――でも全窒素の中でアンモニア性窒素が四二%から一六%に落ちていますよ。それから電気伝導率ですが、尿処理の場合は生物活性水プラントでも五〜七程度ですから、七.六八ですので、立派なものです。
――ところで愛農会の渡辺さんが、耕種農家の都合で一度に大量に抜き取るということになっているようですが、大丈夫なのでしょうか。
清村:先日は三日間で一四トン持っていきました。でも最終槽(第三精製槽)は一六トンで流入が上からですので、全体の水位が下がりませんので大丈夫です。
――渡辺さん、プラントが新しくなって変わったことがありますか。
渡辺:自分はまだこれからですが、竹崎幸雄さんが八月のはじめにオクラが元気がなくなったので、原液を土中潅注と葉面散布したところ樹もとても元気になり、実にツヤが出てきたということです。だからとても楽しみにしています。
――清村さん、これからプラントの管理でこうしてみたいということがありますか。
清村:実は第一曝気槽から第二曝気槽に動かすのにタイマーセットしているのですが、二四時間で八回のセットしか出来ません。これをエアリフトポンプで常時移動するようにするとずいぶん状態が良くなるのではないかと考えています。
――まだまだこれからの楽しみがありますね。
清村:尿処理がうまく行くことにより、養豚をする楽しみも増えました。愛農会の生産者にも活用いただけるような尿処理水や堆肥作りにがんばります。地域のみんなと一緒に農業が出来ると良いと思っています。
――今日はどうもありがとうございました。
清村養豚場のプラント概要
※流入前に個液分離機(新設)
曝気第一槽(六四トン)
曝気第二槽(七五トン:新設)
沈殿槽四トン
沈殿槽上澄液貯留槽六トン
自然石槽四トン
第一精製槽一六トン
第二精製槽一六トン
第三精製槽一六トン
(取材:西日本BMW技術協会事務局長 宮﨑利明)

Author 事務局 : 2014年10月01日 11:44

 
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