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2014年10月01日

【AQUA270号】訃報 秋田忠彦さんを悼む

茨城BM自然塾   清水 澄

 元BM技術協会理事長であられた秋田忠彦さんの訃報の知らせを受けた時は、驚きの一心で言葉も出なかった。謹んでご家族を始め親交があった関係者の方々に、お悔みを申し上げます。
 私と秋田さんとの出会いは、茨城県鉾田市大和田の市村一衛さん宅でした。この農民道場の市村館長は終戦直後に農地開放運動を日本で最初に大規模におこなった方であり、毎日全国や世界からも来客があった。政治、経済、芸術、作家や学者先生との交流やマスコミ関係者も多く訪れ、農家の若者と職業がことなる異業種間の勉強の場であった。特に公害問題が話題になっていた頃で、講師に招いた内水護博士の秘書として秋田さんも同行していて、畜産公害の浄化に微生物を利用した技術の講演会を三回くらい開催した。
 講演の中で香川県高松市の三好牧場で実際に微生物を利用して良い成果を挙げていると説明があり,現地へ技術指導に行くとの事で私も同行して視察となった。住宅地にある牧場で成牛が三〇頭ほどいたが、悪臭も無くハエもいないし、しかも屋敷内で醗酵堆肥を生産していた。この様な牛飼いもいるのかと、驚きと感動でその夜は眠れない程のショックを受けた。
 翌日高知県奈波利町の養豚場を見学したが、秋田さんもはじめてのようで、豚舎に入るには消毒をと、今でいう生物活性水を頭から噴霧され長靴に履き替えて急な坂道を上って豚舎に入った。秋田さんが手招きするので行くと、五〇〇〜六〇〇頭の豚がピンク色の綺麗な肌で、鼻グラで寝ている姿は壮観で、動物飼育の原点を見た思いだった。動物飼いは最適な環境とストレス解消、あとは栄養バランスだ。その飼育方法の説明に強烈なカルチャーショックを受けた。
 直ぐに自分の牧場にも、この技術を取り入れる事を内水先生と秋田さんにお願いした。六トンタンク×一基で乳牛の尿と地下水で醗酵液づくりに成功した。しかし微生物であの臭い糞尿がどうして浄化されるのかが解らないので、自分でプラントを再現実験し、発酵液肥が農作物生産に有効に使えること、また家畜の飲水改善に効果があることも分かり、年々成果があがり、視察者にも説明が出来るようになった。
 この技術で汚水や生ごみ発酵処理のやり方をパネルにまとめ、日本土木学会と大阪工大主催の環境パネル展に出展し、日本土木学会の優勝賞で副賞三〇万円を頂いた。その時の秋田さんの「やったー」 と発した笑顔は、いまだに忘れられない。
 また、茨城県霞ケ浦で開催された世界湖沼会議で水田稲作での水質浄化と生き物生息について発表した時も、原稿の作成に秋田さんから技術的アドバイスを受けた。これがマスコミに報道され、特にNHKで放映した時は、視察や問合わせが毎日あって仕事が出来ないと話をした事をきっかけに、BM技術協会が中心になって普及活動を全国に広める為、人脈づくりやプラントの普及を積極的に取り組まれた事が、今日の協会の礎になっていることは間違いない。
 秋田さんは人生で一番の働き盛りに、BMW技術の普及と技術開発に全力で取り組んでいた。この功績を絶やすことなく更なる発展を目指して、一般社団法人BMW技術協会が若手後継者に引き継がれ安泰であることをご報告します。
 秋田さんとの最後の会話は一昨年の春頃だったと思うが、突然、「タケノコは出たかな?」と電話があり車で堀りに行くよと約束をしたが、来られなかった。会っていれば多くの語らいがあったかと思うと残念だった。
 BMW技術の普及活動に専念し、全国各地に人脈とBMW技術の拠点づくりに貢献した功績は多大のものがあったことを感謝し、故人の安らかな旅立ちとご冥福をお祈り申し上げ、お別れの言葉と致します。

Author 事務局 : 2014年10月01日 11:47

 
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