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2015年03月01日

【AQUA275号】西日本BMW技術協会会員プラント、堆肥場巡回報告

 前号に続いてBMプラントや堆肥場の巡回点検の報告です。
 一月一六日に熊本県南阿蘇村の南阿蘇村有機肥料生産センター、一七日に長崎県南島原市の産直南島原の生産者の堆肥場を、BMW技術協会の秋山澄兄さん、西日本BMW技術協会事務局の宮﨑と秦の三名で巡回しました。

南阿蘇村有機肥料生産センターにて
(一月一六日)
 堆肥センターでは、生物活性水プラントで作った生物活性水を使って堆肥を作っています。
 生物活性水プラントはホウロウの五トンタンクが六槽です。堆肥は、あか牛の肥育農場の敷き料を受け入れて作っています。受け入れた敷き料に出来上がった堆肥を戻し堆肥として混合し、約一ヶ月間切返しで発酵させ、それから下からエアを送れるエリアで約一ヶ月間発酵、そしてラインに流して最低三ヶ月発酵させるということです。時期によってはもう少し時間をかけて発酵させるということでした。
 この日は半年に一度のリアクター塔の軽石とペレットの交換ということで準備されていました。みんなが見守る中で軽石とペレットを封入し、一槽目のタンクに沈めました。それから堆肥の交換ということで新しい堆肥五kg×二〇個の袋も交換しました。
 EC(電気伝導度)も〇・五前後(ms/cm)で、出来上がりもとてもよい状態であることを確認しました。
 堆肥場の周辺や施設の樋には火山灰がびっしりです。

宮田鉄雄センター長にお聞きしました
――最近の様子はどうですか。
宮田:生物活性水を積極的に使ってもらおうということで、村内の農家には無料で提供していますが、最近使う人が増えてきました。現在は職員が対応していますが、量が増えてきたので、自分で汲んで行けるようにしようかと思っています。それからバイオガス発電の計画があります。これは生ごみや畦の草など、活用されていなかったもの、廃棄されていたものなども受け入れてメタン発酵させて発電し、九州電力に売電する計画です。この施設の廃液などもここの堆肥場で受け入れる計画です。
――阿蘇山の灰がこんなに降るのですか。
宮田:ここは噴煙の南側です。今日は西風なので青空が見えていますが、北風の時は相当灰が降ります。建物の樋も詰まりますので、すくい取り捨てるしか方法がありません。ハウスに降った灰は流さないと日光を遮断しますし、特に連棟ハウスは棟の間にたまる灰を人手で除去するしかありません。また、露地野菜の被害は相当なものです。ちょっと困っています。
――この堆肥場を作る際は、いろいろ視察されたそうですね。
宮田:何ヶ所か見て回りました。高知県の土佐山村のBMW技術を使った堆肥場を見て、全く臭いがしないので、「この方法しかない」ということでBMW技術での堆肥場を作りました。もう一三年も前のことですが、この方法にして良かったと思っています。

産直南島原にて (一月一七日)
 産直南島原は六名の生産者グループです。このうち四名の生産者が生物活性水を活用して堆肥作りをしています。佐賀県唐津市の中村養豚場の尿から作った生物活性水を四トン単位で購入して使っています。四名の生産者は、林田康一さん、竹下浩二さん、山田始さん、林田裕一さんです。
 四名の生産者は、主にバレイショ・玉ねぎを作っています。レタスやキャベツを作っている生産者もいます。耕作面積は概ね四ha〜六haですが、バレイショを年に二回作付けするので延べ耕作面積は七ha〜一〇haです。個人の作付面積としてはかなり広いので、それぞれが堆肥場を持っています。
 堆肥は近隣のブロイラー農場の鶏糞を原料に、別に用意した稲藁を刻んだものを混ぜて発酵させています。今回、熊本県の大矢野原農場で活用している「小規模(青果)生産者の堆肥作りには、家庭用トイレの煙突換気扇を使う」(AQUA二七二号記事)ということを参考に、自分たちの堆肥場でも煙突換気扇を使うという取り組みを行うことにしたということでしたので、巡回視察をさせていただきました。
 山田始さんと林田康一さんは煙突換気扇を使い始めて三〜四日目です。あとの二名の生産者はこれから準備するということでした。四名とも一m位の長さの温度計は準備されていました。

代表の林田康一さんにお聞きしました。
――いつごろから、堆肥の発酵に生物活性水を使っていますか。
林田:二年ほど前から使い始めました。使い始めて、堆肥からのいやな臭いはなくなり、随分と楽になりました。
――煙突換気扇の具合はどうですか。林田さんの堆肥場の換気扇の周辺は温度も高く、出ている湯気の様子からも発酵がうまく行っているようですね。
林田:うまく発酵した堆肥を圃場にも使いたくて煙突換気扇を付けました。始まったばかりですので分かりませんが、うまく行きそうです。あんな小さな器具ですが意外に活躍してくれそうです。
――堆肥はどれくらい使うのですか。
林田:反当り二トン前後ですね。以前は追肥はしていなかったのですが、最近追肥をするようにしています。玉ねぎなどはマルチの上から追肥することになるのですが、穴や畝間から肥料分が効くようでうまく行きます。
――煙突換気扇を使った堆肥の発酵がうまく行くことを願っています。産直南島原の生産者の皆さんには、西日本BMW技術協会総会に合わせて視察の受け入れもお願いしたいと思っていますので、受け入れをよろしくお願いします。
(取材:西日本BMW技術協会
  事務局 宮﨑利明)

Author 事務局 : 2015年03月01日 13:47

 
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