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2015年03月01日

【AQUA275号】千葉BM技術協会 公開講座開催

千葉BM技術協会 公開講座開催
  生活協同組合パルシステム千葉・生活クラブ生活協同組合(虹の街)共催
「原発のウソ・ホント/再生可能エネルギーの可能性」

 千葉BM技術協会は、生活協同組合パルシステム千葉と生活クラブ生活協同組合(虹の街)との共催により、去る一月二四日、公開講座「原発のウソ・ホント/再生エネルギーの可能性」を、千葉県船橋市のパルシステム千葉の会議室で開催しました。講師には、物理学者の槌田敦氏、富士通総研経済研究所主任研究員の高橋洋氏をお迎えし、両生協の組合員、BM技術協会関係者等、約六〇名余の方々が講座に参加しました。

 千葉BM技術協会では、福島原発事故により、県内でも広域に放射能物質が拡散し、特に柏、流山、松戸市等には、福島、郡山市並のホットスポット地区が現出したこともあり、「福島原発事故」に関わる問題点について、学習活動に取組んできました。二〇一一年七月には、「放射能と内部被ばく、その危険性と予防法」(講師・高木学校/瀬川嘉之氏)の学習会を開催し、八月には、BMW技術協会との共催で「内部被ばくによる晩発性障害とフクシマのこれから」(講師・医学博士/肥田舜太郎氏)と題した公開講座を開催しました。肥田先生からは、「原発事故で東日本の多くの人々は内部被ばくしてしまっており、これからは個々の免疫力を高めるよりほかない」との指摘を受けました。二〇一二年六月には、くらしと放射能フォーラムを開催し、「放射能に負けない体づくり」について具体的に提案されている内科医の土井里紗先生に予防医学の立場から講演いただき、会員生産者による放射能対策、並びに農業生産法人白州郷牧場による免疫力向上の一つとして「発酵力と食品」等について発表が行われました。今回の講座「原発のウソ・ホント/再生可能エネルギーの可能性」は、こうした原発事故問題に対する学習活動の一環として、企画しました。

講演「福島原発事故と原発再稼働」 
槌田 敦 氏
 公開講座は、木内克則・千葉BM技術協会会長の挨拶に続き、槌田敦先生から「福島原発事故と原発再稼働」と題し、講演が行われました。
 槌田先生は、①お粗末な福島原発事故での東電の対応、②東電による放射能の放出、③放射能による被害と学者たちの無理解、④事故直後の呼吸被曝は強烈、⑤食品のセシウム汚染、⑥トリチウムによる遺伝子被曝、⑦原子力科学は技術ではなかった、⑧事故を教訓とせずに原発再稼働は犯罪という内容で、お話されました。
 槌田先生は、原発事故原因は、人為的なものであり、津波以前に地震による鉄塔の倒壊で電源を喪失し、水位、圧力、温度すべての計測不能となり、その後の処置が悪く事故が深刻化し、結局一号機、三号機とも数時間後水位が計測できた時には、すでに原子炉燃料は空焚きとなっていて事故は最終段階だったこと、津波はこれには関係ないと主張されました。
 放射能の拡散についても、事故翌日の三月一二日、一号機のベントにより放出された放射能が太平洋を北上し、宮城県に再上陸したこと、一五日は、二号機格納容器の圧力増によりベントし、南東の風(陸向き)で風下の住民を被曝させたこと、一六日以後一、三号機の破損配管から大量漏れが発生し、多くは福島県浜通りを汚染し太平洋に流れたものの、二一日には放射能が浜通りから太平洋を南下して千葉県に再上陸、その情報は隠されたまま(成田空港の閉鎖の可能性があった?)、千葉県東葛地域にホットスポットができたと指摘されました。
 また、その頃、テレビに登場した科学者や関係者の発言はどうだったのか検証されました。人体の被曝について、ガンマ線による外部または内部被曝とベータ線による内部被曝は本質的に異なり、ベータ線の被曝について注意喚起されました。「ベータ線は、電子線であって生体内を数センチ程度しか飛ばず、その結果生体組織は各所で電子を失い活性酸素化し、その化学的毒性が生体組織を破壊することになる。ベータ線被曝は、ベクレルで表現するのはそのためであり、シーベルトにはなじまない」と指摘、さらに事故直後の呼吸被曝は、「ヨウ素による半減期が短いとは言え、ベータ線被曝であり原爆病として知られ、まず呼吸により鼻腔に沈着、鼻血が止まらず、隣接する脳を攻撃し、頭痛、ぶらぶら病を起こし、内臓さらには血液で運ばれ全身被曝となる」。食品汚染では、「食品に混入するセシウムが問題になり、カリウムと周期律表一族元素で同じような作用を引き起こし、追加されるセシウムでガン死が何割か増える可能性があるということ、原発事故で大量に放出されたトリチウムも遺伝子機能に関わりがある」と指摘されました。
 こうした指摘の上で、原子力は科学技術ではかったとスリーマイル島事故、福島事故等は、科学技術の失敗(設計ミス、人為ミス)と糾弾し、『事故を教訓とせずに原発再稼働は犯罪』との立場から、川内原発民間規制委員会・かごしまを立ち上げ、民間規制一六項目の勧告を突き付け、川内原発の廃炉を迫る運動を立ち上げて活動していると、お話しいただきました。

講演「再生可能エネルギーの回答保留問題
と今後の展望」〜ドイツからの教訓〜
       高橋 洋 氏
 富士通総研経済研究所の高橋先生からは、「再生可能エネルギーの回答保留問題と今後の展望」と題して講演が行われました。再生可能エネルギーの日本での可能性について、先ず欧州での取り組みの状況やドイツでの実施例を、具体的数字を上げて、解説されました。
 続いて、日本でも①発送電分離、②揚水発電などシステムの見直し、③出力調整の仕方、④国の再生可能エネルギー取り組みの姿勢によって、再生エネルギー導入の拡大は可能であり、何と言っても市民による意識のあり方が、今後の課題であると展望されました。
 今回の公開講座では、原発事故に対する槌田先生の視点による分析と、廃炉への道筋、そして、再生可能エネルギーの活用法と広め方について検証することができました。
(報告:NPO支援センターちば 岡田哲郎)

Author 事務局 : 2015年03月01日 13:49

 
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