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2015年08月01日

【AQUA280号】西日本BMW技術協会会員のBMプラント巡回・会員訪問

報告:西日本BMW技術協会事務局 宮﨑利明

 西日本BMW技術協会では三年ほど前からBMプラント巡回を行ってきました。ところが一昨年秋以降のPED(豚流行性下痢)の蔓延と従来からの鳥インフルエンザにより、昨年一年間は思うようにプラント巡回が出来ませんでした。
 そこで今年度は、畜産生産者のプラント訪問に関しては、生産者の意向を確認しながら、可能な範囲で巡回することにしました。方針は以下の通りです。
・畜産関係以外の耕種農家や南阿蘇村のような立地のプラントは巡回対象とする。
・飲水改善だけの畜産関係会員のプラントは巡回対象としない。会員からの希望があれば巡回する。
・畜産関係は、生物活性水プラントと尿処理プラントを巡回対象として、生産者がBMプラントのそばまで行って良いということであれば、直接点検する。そうでない場合は、近くに出向いて「プラントの水」を持参いただき必要な計測を行ない、状況を確認する。
 以下のBMプラント巡回と会員訪問は、BMW技術協会の秋山澄兄事務局長と西日本BMW技術協会事務局の宮﨑と秦の三名で訪問しました。

六月一三日…佐賀県武雄市の紅会川口養豚場を訪問しました。
 川口養豚場は母豚三七〇頭の農場です。通常の飲水改善のBMプラントが導入されており、尿はラグーンで処理されています。このラグーンの処理水を原料に生物活性水プラントを作るということで準備されていました。ホウロウの五トンタンク四基は川口尚幸さんが繋いだということで、システムとしては良く出来ていました。私たちが訪問したときは全体に通水して数日しか経っていなかったので、生物活性水の出来上がりの完成度は今ひとつという感じでしたが、一ヶ月くらい経過するとうまく行くのではないかということで相談しました。
 岩石をもう少し入れるということで様子を見た上で、一ヵ月後くらいの生物活性水を西日本BMW技術協会事務局に送っていただいて必要な計測などを行うことにしました。

六月一八日…熊本県の四つの会員のBMプラントを巡回しました。
●南阿蘇村有機肥料生産センター
 堆肥センターでは、生物活性水プラントで作った生物活性水を使って堆肥を作っています。生物活性水プラントはホウロウの五トンタンクを六基です。堆肥は、あか牛の肥育農場の敷き料を受け入れて作っています。年間二〇〇〇トンくらいの敷き料を受け入れ、堆肥としては約一〇〇〇トンくらい生産しているそうです。受け入れた敷き料に出来上がった堆肥を戻し堆肥として混合し、約一ヶ月間切返しで発酵させ、それから下からエアを送れるエリアで約一週間発酵、そして攪拌発酵槽のラインに流して約一ヶ月、合わせて最低二ヶ月発酵させるということです。時期によってはもう少し時間をかけて発酵させるということです。
 いつものように、プラント巡回に合わせて、半年に一度のリアクター塔の岩石とペレットの交換ということで準備されていました。みんなが見守る中で岩石とペレットを交換し、一槽目のタンクに沈めました。それから堆肥の交換ということで新しい堆肥五kg×二〇個の袋も交換しました。いつもどおり手馴れたものです。
 この時期、春先に生産者が堆肥を搬出したので、堆肥場のラインは半分くらいしか残っていませんでした。秋に向けて順次増えていくそうです。
 生物活性水の測定値や様子もとてもよく、堆肥の出来上がりもとても良い状態でした。研修会に使う堆肥の見本を少しいただきました。
●大矢野原農場
 大矢野原農場では、敷き料を堆積発酵するということで、現在堆肥場にあるBMプラントを移設する相談をする予定で訪問しました。
 最初に事務所で、「実は」ということで以下のような話をいただきました。
・敷き料の堆積発酵はとてもうまく行っていた。
・でも、段々とチップが発酵して鶏の糞の比率が高くなって、敷き料が硬くなっていくということで困ってきた。
・また、休舎期間が二五日しかないので、鶏の羽の芯の部分が完全に発酵しないことがあり、マレック病を根絶できない。
・堆肥場で一括して処理した方が物理的に対応しやすい。
 ということで敷き料の発酵をさせて再度敷き料として使うために、従来使っていた堆肥場を活用することにした。ついてはBMプラント(生物活性水プラント)は移設せずそのままとしたい、ということでした。
 事情がよく分かりましたので、そのことを前提に必要な点検を行うことにしました。
 堆肥場の敷き料は実に良く発酵しており、そのまま使える堆肥そのものでした。従来の堆肥場が活用できるということ、生物活性水プラントも運用方法について改めて相談しました。敷き料がうまく発酵しているので生物活性水プラントの状態もとても良いものでした。プラントは八槽あるので、そのうち二〜三槽を区切って堆肥場に散布する生物活性水を希釈する槽として使う相談をしました。
 また、リアクター塔の使い方を確認したところ、少し誤解がありましたので改めて適正になるように確認しました。
●清村養豚場
 清村養豚場は、雨上がりで前回訪問した時よりも状態が若干悪いようでした。それでもばっ気槽を増やして固液分離器を設置する前よりもとてもよい状態で、臭いも気になりません。
 前回までの巡回で、沈殿槽が小さいことが気になっていましたので、沈殿槽の次のばっ気槽のブロアを止めて沈殿槽を補助できないかを試してもらうことにしました。巡回中にブロアを止めてある程度の効果があるのではないかという推定は出来ましたが、汚泥が配管の目詰まりを起こさないかが気になるので、注意深く見守ってもらうことにしました。
 翌日、総会でお会いした時に曝気槽の様子を聞いたところ、配管が詰まらないよう定期的にブロアを動かしているが、ブロアを止めたことで汚泥の戻しが順調になっているとの事でした。

●サンファーム
 サンファームは、農場外で生物活性水プラントの水を持参いただいて測定し、意見交換をすることを希望されましたので、事務所で測定・協議しました。
 生物活性水プラントは五槽ですので、一・三・五(最終)槽の三つを用意していただきました。計測数値に特に問題もなく、また生物活性水の状態もとても良いものでした。
 前述の大矢野原農場でのやり取りがありましたので、リアクター塔の使い方を確認したところ、少し誤解がありましたので改めて適正になるように確認しました。

六月二〇日…佐賀県唐津市の農援隊を訪問しました。
 農援隊代表の浦田親さんのミニトマトのハウスに、浦田さんと出 雅仁さん、吉田賢二さんに集まっていただきました。農援隊でグリーンコープに出荷しているのはミニトマト・アスパラガス・いちご・青シソだそうです。皆さん紅会の中村さん・野口さんの堆肥や生物活性水・尿処理水を使っているということでした。
 浦田さんは野口さんの堆肥と中村さんの生物活性水を使っているということです。定植前の圃場に尿処理水を原液で使い、定植後は潅水におよそ五〇〇倍程度に希釈して使っているということです。ハウスでは昨年の八月〜九月定植のミニトマトがまだ元気に実を成らせていました。面白い使い方としては、途中で挿し木にする必要がある場合には尿処理水に漬けて挿すと活着率が高くなるということでした。
 出さんはいちごを作っています。品種は「さがほのか」でシーズンを通して花が七回ほど付くそうです。堆肥は使わず、中村さんの生物活性水を一〇倍に希釈して使っているということです。出さんは「上手な人は一〇回くらい花を付ける人がいるが、自分のような素人が七回も出来るのはBMW技術のおかげである」ということでした。また、生物活性水を使うことにより、うどん粉病も防げるし、糖度も上がるということでした。
 吉田さんは紅会の野口さんの堆肥と尿処理水を使っており、アスパラガスには一棟に堆肥を二〇トン、尿処理水の原液を土壌潅注しているということでした。現在は栽培しているのは、グリーンアスパラガスのみですが、空いている単棟ハウスが二棟あるので、ミニトマトを栽培する予定で、具体的なやり方について浦田さんと話が盛り上がりました。
 皆さん、BMW技術について自信を持っているという感じでした。

Author 事務局 : 2015年08月01日 12:17

 
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