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2015年11月01日

【AQUA283号】プラント巡回報告

高知県内五か所のプラント巡回

○四万十川中流域の四万十町(旧十和村)十和地区の生物活性水プラントの定期点検を実施しました。十和地域振興課の冨田さんに案内していただきました。プラントはコンクリートの一〇トン槽が四つと間に五トンの自然石槽が三つあります。原料は牛糞堆肥です。生物活性水は、牛糞堆肥の製造に利用するほか、十和地域の耕作農家が施設まで取りにきて、おもにシシトウ、ピーマン、菜バナの栽培に利用しています。
 以前は堆肥センターのそばに養豚場があり、四万十川に環境負荷をかけないBMWシステムを利用した豚尿の処理施設があり、その処理水も原料にしていました。現在は養豚場は廃業しており堆肥センターの原料も牛糞に変わっています。

○高知県内に二校ある農業高校の一つ、南国市の県立高知農業高校にて生物活性水プラントの定期点検を実施しました。FRPの受水槽タンクを四つ並べています。原料は畜産総合科で飼育している家畜の牛糞、豚糞です。
 今回は(財)夢産地とさやま開発公社の山崎さんが見学も兼ねて同行してくれました。生物活性水は、堆肥づくりや搾乳牛の飲水に添加したり、鶏舎の中に原液を散布したりしています。使い出してから臭気が収まってきたと先生が話してくれました。

○愛媛県との県境で四万十川の源流がある津野町の堆肥センターに設置してある生物活性水プラントの稼働状況を見てきました。津野町建設産業課の西川さんと堆肥センターの植田さんに案内していただきました。
 五トンのホーロータンクを五本並べ、原料は堆肥センターの牛糞堆肥を使用しています。生物活性水は、一次発酵槽のロータリー撹拌機に取り付けたノズルから直接堆肥へ散布できるようになっています。堆肥は篩ったものとペレット状にして袋詰めしたものを作っています。
 生物活性水は町内の耕作農家も利用しており、ハウスの米ナス栽培で灌水時に希釈添加して活用しています。

○高知市の飲料水を供給している鏡川の源流域にある高知市土佐山(旧土佐山村)にあるとさやま土づくりセンターで生物活性水施設の稼働状況を確認しました。
 このプラントは、平成二四年に今まであったプラントに堆肥センターの撹拌機の更新と堆肥場の増設に併せて増設したものです。容量五トンのホーロータンクを併せて一〇本使っています。旧土佐山村の時に、鏡川を汚さないためにBMW技術の導入がされています。
 出来上がった生物活性水は堆肥づくりに、また一般財団法人夢産地とさやま開発公社が栽培管理する有機栽培のショウガ、地区内にある卵肉兼用の土佐ジローの養鶏場で利用されています。

○四国三郎と異名を持つ吉野川の上流域にある高知県大川村で、地鶏ブランドの「土佐はちきん地鶏」の農場に設置した生物活性水と飲水改善プラントの稼働状況を、事業課の関さんに案内していただき確認してきました。この農場は㈱むらびと本舗が経営する養鶏場です。生物活性水プラントは五tのホーロータンクが五つです。原料は鶏糞と牛糞の完熟堆肥です。飲水改善プラントは、今は閉鎖している白滝鉱山があったときに使われていた巨大な貯水槽を利用しています。生物活性水は鶏舎への飲水に希釈添加されています。
 また和牛の繁殖、肥育牧場も近くにあり牧場内にある堆肥センター脇にも生物活性水プラントがあります。
 毎年一一月三日に行われる大川村謝肉祭では、土佐はちきん地鶏と大川黒牛のバーベキューが提供され、毎年すごい人気で今年の前売り券も発売してすぐに定員一五〇〇名分が完売となっています。

埼玉県内四か所の
    中水利用処理施設の定期点検

○埼玉県さいたま市のパルシステム岩槻センターでのプラント定期点検を実施しました。
 ここはパルシステムの組合員へ配達する商品の仕分けセンターです。またパン工場も併設されています。このセンターから出てくる雑排水(トイレ、食堂などからの排水)を合併浄化槽で一次処理し、その処理水を中水利用処理プラントで高次処理してトイレの流し水に再利用しています。

○パルシステム埼玉の三センター
白岡市の白岡センターの中水利用プラントの定期点検です。状態はとても良かったです。こちらもトイレの流し水に再利用されます。

○蕨市の蕨センターのBMプラントは、駐車と洗車用のスペースの地下にFRPタンクを埋設してあります。
 一次処理施設として合併浄化槽がありその処理水が中水利用処理施設へ流入するようになっています。
 稼働状態は良好でした。処理水はトイレの流し水に再利用されます

○三芳町の三芳センターの中水利用プラントでも定期点検を行いました。
 ここのプラントは、配送センターになる前は倉庫だったので、合併浄化槽の処理水を原水とするプラントは、センター開設時にあわせてステンレスの水槽を製作して設置してあります。
 稼働状況は良好です。やはり処理水はトイレの流し水に利用します。
(報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

山梨県北杜市 増冨の湯〜
増冨BASE(ベース)ファーム
 二〇一〇年に導入された生物活性水プラントは一トンのローリータンクが五槽で日量・一〇〇リットルの生産が可能です。原水はラジウム温泉の源泉、原料は黒富士農場で製造されているBM活性堆肥(鶏糞)です。生物活性水は温泉施設の「上がり湯」に保温効果目的で生物活性水を投入しているほか、山梨大学の御園生研究室と共同で藻類バイオマスプラント(生物活性水を使用してクロレラの培養をしている)も設置され、藻類バイオマス入りの生物活性水を畑作や稲作に利用しています。
 プラントを管理している一般社団法人護持の里たまゆらは「増冨の湯」という日帰り温泉施設の運営を軸に、自然の恵みを生かした健康プログラムとして、施設周囲に遊歩道を整備し、これを運動・作業療法の場所とし、遊歩道沿いの遊休農地を借り受け、畑作と稲作をおこない、収穫した作物を施設内の食堂で利用しています。食堂から出る生ゴミを堆肥化し、作物を収穫し、食材として利用し、再び生ゴミを土に戻す循環方式を実現しています。凍み大根作り、キノコ採り、味噌作りなど、地域の生活文化や里山の暮らし体験を取り入れています。世界でも有数のラジウム含有量を誇る増富温泉郷は、増富の人々が古くから守り続けてきた冷泉で、信玄公の隠し湯とも呼ばれ、以前は多くの湯治客で賑わっていましたが現在は湯治客も減りました。五〇年前は二六〇〇人以上の人口が、現在は六〇〇人と急激に過疎化が進み、集落にあった中学校や小学校はすでに廃校となり、人口の七〇%が六五歳以上のいわゆる限界集落です。さらに農地の六三%は耕作放棄農地、かつては、米の他に小麦や蕎麦も作っていましたが、高齢化が進む中で農業は衰退し、鳥獣被害も増えてきました。それでもこの厳しい状況の中ですが、地域に住む人々はとても元気で、人々はこの里山の文化と暮らしを大切にし、自然と共存しています。
 畑作を担っているのは、そんな増冨に魅了された山田さんと西川さん。二人は、平日は東京で働き、毎週末増冨に通う「二拠点生活」を始め、二年前の二〇一四年に増冨BASEというグループを立ち上げました。増冨BASEはこの地域の固定種野菜の無農薬栽培、伝統野菜の栽培、伝統的な加工食品づくり、文化の継承を目的とした活動をはじめ、護持の里たまゆらの取り組みをサポートしながら、地域の活性化をおこなっていて、いずれはNPO法人を設立する予定です。
 今年から花豆や増冨きゅうり、大根などの栽培に藻類バイオマス入りの生物活性水を使い始めています。主な用途は潅水や葉面散布とのことでした。この日は御園生先生も一緒に訪問し、現状の悩みやこれからについて話し合いました。大きな悩みのひとつは、芽が出たばかりの大根がカメムシの被害に遭い枯れていくこと。これはアブラナ科全体に見られるとのことでした。コンパニオンプランツや土の改良など、対策について色々な意見を交換しました。来期の栽培に向けて、より具体的な生物活性水の使い方についても相談があり、冬になって落ち着いたら、再度相談することとなりました。
   (報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)


プラント点検
新潟県胎内市 ナカショク中条離乳農場

 今年の三月より稼働を開始した生物活性水プラントの定期点検を実施。生物活性水プラントは一トンのバルクタンクが一〇槽で日量・二〇〇リットルの生産が可能です。原水は井戸水、原料は農場で製造されている豚糞堆肥です。生物活性水は豚舎の日々の通路洗浄、オールアウト後の洗浄水に稀釈して使われています。稼働当初は二五〇倍、それから徐々に濃度をあげ、現在は一〇〇倍希釈で添加しています。半年が経ち、まだ大きな効果を見ることができていませんが、農場長の大矢さんは手ごたえを感じています。
 ナカショクグループでは豚の育成を三段階にわけるスリーサイト方式を取り入れています。ここでは二段階目となる生後二一日ほどの離乳した仔豚を、七〇〜七五日にまで育てる重要な段階を担っています。日本全国の畜産農場は臭いの問題に神経を使っていますが、ナカショクグループも同じく、中条離乳農場だけでなく、グループ全体で臭気問題には特に神経を使っています。年に数回、地域自治体による臭気検査などもあり、地域住民の理解を得るために、様々な対策を取るなどの努力を続けてきています。BMW技術導入もそのひとつですが、BMW技術は頓服のような速効性の効果はありません。遅効性として徐々に農場全体に効いてくるようにと考えています。今後は豚舎内での散布だけでなく、農場内にある堆肥舎や浄化槽(尿処理施設)の周辺などへ原液の散布を始めることにしました。農場全体で臭気抑制をしていくように努めて行きます。
    (報告:㈱匠集団そら 星加浩二)

Author 事務局 : 2015年11月01日 14:55

 
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