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2016年03月01日

【AQUA287号】中国・常熟市と上海市にて、BMWプラントが新設

 匠集団そらでは二〇一五年一一月二一日から二八日まで、中国にてBMWプラントの設置工事を行いました。
 中国ではこれまでに、日本からの輸入食材または加工品などが、富裕層を中心に安心安全を求めて高値で売れるということがありましたが、最近では中国国内産の有機農産物などへの需要が急速に高まっているとのことでした。実際には二〇一一年の福島第一原子力発電所事故による放射能汚染の影響で中国側が輸入制限をしていることもありますが、生産物ではなく生産技術を輸入し、国内での生産に活かしていく方向であるとの見方が強いようです。このような背景の中で、中国からのBMW技術協会への問い合わせも少なくはありません。
 今回のBMWプラント設置工事は二箇所で行われました。
 一箇所目は中国江蘇省常熟市にある、株式会社華和の「みどり農場」です。みどり農場は中国の自然循環型モデル農場として二〇〇九年に設立されました、一昨年おこなわれた第四回アジアBMW技術交流会で代表の戴海燕さんの報告でもあったように、この農場ではBMW技術が有畜複合循環型の軸となっています。みどり農場では現在卵肉兼用の鶏と有機野菜の二本を柱に経営されています。畜舎は七棟あり、採卵鶏が約六〇〇羽ほど飼育されています。卵は主に上海市内にある大型高級量販店に出荷されています。農場内には他にもアイガモ、ガチョウ、キジ、ヤギなど多くの家畜と、日本にも馴染み深いキャベツやブロッコリーを始めとして中国特有の野菜も栽培されています。すでに農場開始と同時に飲水改善と生物活性水プラントが設置されています。
 今回は新たに肥育養豚を導入するということで、簡易尿処理プラントの設置を行いました。豚舎の尿を含めた洗浄水を簡易尿処理プラントで前処理した処理水を、既存の生物活性水プラントへポンプアップし生物活性水の精製まで行う予定です。農場長の徐建農(ジョ・ケンノウ)さんは生物活性水の原料としての利用の他に、処理水を液肥として畑での利用も考えているそうです。
 簡易尿処理プラントは豚舎のハウスの中に設置されています。ハウスの中の両サイドに約四㎡ほどのゲージが五個連り合計一〇個のゲージで豚の飼育を行います。最初は生後六〇日ほどの子豚を一〇頭程度から始めて、最終的には二〇頭ほどの飼育頭数を目指すとのことです。簡易尿処理プラントは豚舎内に土木槽で設置されています。
 尿排水は最初に原水槽に入り、スクリーンを何度か通して、液体と固体に分離させます。そして、分離された液体を曝気槽にポンプアップし、処理をはじめます。曝気槽にはリアクターシステムが設置されています。二槽目は沈殿槽で汚泥を沈殿させ、微生物がプラント内で循環するように曝気槽と原水槽に返送されます。上澄水は三、四槽目の曝気槽でさらに処理を続け、最後に自然石槽を通って処理水貯留槽に送られます。貯留槽からはそのまま畑に散布するほかに、既設の生物活性水プラントへポンプアップされる仕組みになっています。子豚は早ければ三月に導入されるようです。生物活性水や畜舎の環境、堆肥製造の改善など様々な効果が期待出来ます。次回の訪問は豚が導入されるのに合わせて三月を予定し、最終調整をおこない完成の予定です。
 二箇所目は上海市浦河区にある上海特選青果専門販売社(日本語訳名)で生物活性水プラントを設置しました。上海特選青果専門販売社は草頭といわれる葉菜や苺、独自のブランドを展開している桃などをメインに生産しています。この農場は上海市民の農業体験型の農場も兼ねていて、生産物などを使ったレストランやBBQ会場、子供たちに有機農業を教えるための学習会場などを併設した複合施設もあり、農産物の生産だけではなく有機農業などへの理解を広げる運動にも力を注いでいくとのことです。また新規で堆肥場を建設し生物活性水を添加したBM堆肥や新たに稲作の圃場も設けて事業を拡大していくそうです。しかし、上海近郊にあるという理由から免疫の関係上、政府から家畜の飼育を禁止されているため、生物活性水の原料でもある堆肥とこれから作る堆肥場で使う家畜糞は外部から調達しなければなりません。
 ここの生物活性水プラントは堆肥の浸み出し液を原料にしています、原水は井戸水です。浸み出し槽と一槽五tのFRPタンクが六つ、一槽目にリアクターシステムと軽石を入れ曝気、二〜六槽にそれぞれ花崗岩や軽石を吊るしています。浸み出し槽から一槽目への原料投入はポンプアップします。今回は設置済みのタンクの清掃と散気管、リアクターシステムの設置、培養調整をおこないました。調整作業は一槽一週間で行い全六槽、生物活性水の完成は一二月下旬ですでに完成しています。完成した生物活性水は作物への潅水、堆肥製造の水分調整と悪臭防止等に利用し、品質の向上を目指すそうです。また、今後は生物活性水を他の生産者にも伝えていき、一緒に使ってもらえるよう呼びかけていくそうです。
(報告:BMW技術協会事務局 永合 耀)

Author 事務局 : 2016年03月01日 18:50

 
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