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2016年04月01日

【AQUA288号】第12回BMW技術基礎セミナーが開催されました

 二月一九〜二〇日に第一二回BMW技術基礎セミナーが開催されました。一日目は四五名、二日目は三八名が参加されました。今回の基調講演は西尾道徳氏による「環境・品質重視のEU農業から考えた日本の農業のあり方〜有機農業を事例」と題し、ヨーロッパの農業の現状を学び、私たち日本の農業について考える良い機会となりました。また、二日目には山梨大学の御園生先生による「生物活性水を使用した実験について、今年の取り組みと実験方法」についてのワークショップも開催されました。

一日目(二月一九日)
 はじめに、BMW技術基礎セミナーの開催・運営を担っているBMW技術協会若手幹事会の新座長である謙信の郷の金谷氏の開催挨拶でスタートしました。
 まず、秋山事務局長から、BMW技術の基礎と実際の活用事例についてです。BMW技術の基本的な考え方からBMプラントの種類、そしてこれまでの実験報告からBMW技術の活用方法についての説明がありました。
 次に西尾道徳氏による講演です。西尾氏は農林水産省に入省後、各機関の農業部門を歴任されており、有機栽培や土壌微生物、環境汚染など日本だけでなく海外の農業事情に精通されており、農業関係の著書も多数執筆されています。講演のテーマはヨーロッパ(EU)と日本の農業の違いから見る今後の日本の農業についてです。ヨーロッパ(EU)では、生産物の高い価格保証などの制度で農業を振興したため、過剰施肥による水系の硝酸汚染が深刻化し、その影響は作物の生育阻害や地球温暖化による異常気象などにも繋がるそうです。また、この過剰施肥は私たち日本においては世界のワースト三位に入るほど多肥農業国であること、EU(ヨーロッパ)では施肥制限を設けて対策しているのに対して日本では施肥制限がなく、それは慣行栽培物だけでなく特別栽培農産物や有機JAS農産物も同様であるなど環境保全に対する考え方、また有機農業そのものの考え方にも違いがあることなど、今まで知らなかった国内外の情勢や情報を知ることができました。
 基調講演後は、五つのグループ(果樹・茶、米、畜産、野菜、生活)に分かれて、「日本の農業のこれから」というテーマで話し合いました。同じグループ内でも栽培・生産している種類が異なるのでなかなか意見がまとまりにくい中、環境保全とこれからの有機農業など基調講演を受けた意見が多く出されました。
 最後に伊藤理事長による一日目の総括があり、その後別会場で懇親会が開かれ、親睦を深めて一日目が終了しました。

二日目(二月二〇日)
 二日目は昨年の全国交流会の発表事例を参考に、山梨大学の御園生先生による今年の実験に向けての計画やデータの採取・処理方法などについてのワークショップでした。
 これまで、御園生先生によるデータの採取・処理方法などの説明は何度かありましたが、今までの実験報告では結果の測定数(検体の数)や実験結果を平均値で表現したりと、実験する方それぞれのやり方で報告されていました。それを、実験結果の測定数は多い方がよいが最低でも三例以上実施する、データの表し方は統計手法に則って意味のある比較ができるようにするなど、実際に昨年の全国交流会での発表事例を基に具体的な説明がありました。
 その後は、一日目と同様に各グループに分かれて、今年の実験についてのグループディスカッションが行われ、各グループからは今までの実験を引き続き行いつつ、今回のワークショップで学んだことを反映させるというまとめになりました。
 最後に米沢郷牧場グループの横山氏による閉会挨拶で、二日間の基礎セミナーが終わりました。今年の全国交流会は仙台で開催されます。セミナー終了後には実験を継続している方を中心に、実際の実験データを使い、パソコンでの入力、データグラフの作成などの実践講座が実施されました。

(報告: 生活協同組合連合会グリーンコープ連合 農産本部農産部 秦 武士)

今年の「生物活性水を使用した実験」について

 第一二回基礎セミナーの二日目に話し合われた実験については、米・野菜・果樹・畜産・生活の各部門にわかれて毎年おこなわれています。例年は、この場で課題などを話し合いながらテーマを決め、その後に実験内容を組んでいくことをしてきましたが、今年は少しやり方を変えました。
 今年は前もって実験する人と実験内容について決めておき、その目的や方法などについてお互いに意見を交換し、実験方法やデータの出し方についてこだわることにしました。これまで様々な実験を皆さんにおこなってきてもらいましたが、全国交流会の発表が可能な限り科学的な実験方法を取れているかどうかが課題となっていました。
 そこでこの日に学んだ、御園生先生の実験方法とデータ処理方法を基に、
・実験の目的〜何を調べたいか
・仮説〜どうなっていればよいか
・方法〜どのようにやるか
    対照区をどう選択するか
・結果〜どのようなデータで表すのか
 これらを明確にして実験に入っていくことにしました。実験する人が直接、御園生先生と連絡を取り合いながら実験を進めることにもなっています。このようにして実験の内容、発表の精度が上がっていけば良いかと思います。
(報告:BMW技術協会事務局 秋山澄兄)

Author 事務局 : 2016年04月01日 17:27

 
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