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2003年07月11日

■SARS特別報告:終焉を祝うにはまだ早すぎる

■SARS特別報告:終焉を祝うにはまだ早すぎる

New Scientist
The World's No.1 Science & Technology News Service

SARS special report: Too soon to celebrate

19:00 02 July 03


北京、紫禁城の都市、は、もう立入禁止がなくなった。観光客が香港の忙しく賑わっているスタンレ市場にも見られるようになった。SARSでひどく攻撃された都市の生活は、はやく正常に戻りつつある。しかし、研究所ドアの後ろでは、それは違った話になる。北京の世界保健機構のダニエル・チンは、こう述べている:「誰も、私達が地球上からあのウイルスを根絶したと思ってはいない。再出現しないという保証は全くない。まして中国ではなおさらである。」

チン氏のような医師たちは、多くの根本的な疑問がまだ答えられていないので、心穏やかではない。先ず第一にあのウイルス何処からきたのか。そして、まだそこにいるのだろうか。

この病菌は分離と隔離手段により克服できるのか。または季節のようなファクターがその終焉に鍵をなす役割をになっているのだろうか。またカムバックをしてくるのだろうか。そして、その前に私達は効果的な治療法またはワクチンを開発するする事ができるのか?SARSに対する戦いは主に伝統的な方法に依存してきた。即ち、疑わわしい患者を分離し、その患者に接触を持ったものは誰でも隔離する。この病気の伝染がコントロールできなさそうに一時みえたが、これらの方法は、SARSに罹った都市での一斉体温計測の容赦のないキャンペーンも含んでいて、数ヶ月で突発を抑えたかのように見えている。

中国は、最初の隠蔽工作があったのだが、その後には、病気を撲滅するのに必要な動員体制を組むのに卓越した仕事をした。北京は1週で1000ベッド数の病院を建てた、これは毛沢東主義時代をよく代表する偉業の部類である。チン氏は言う。「それは並みはずれた事でした。 誰もが駆り集められました。体温を測られないで、どこにも行くことはができませんでした。もし人が、北京または広東から来ていたら、追い出されてしまい、例えば、ホテルにも泊まることができなかった。車の中で眠るしかしょうがありませんでした。ある意味では、それはやりすぎでしたが、一方では、それは非常に効果的だったんです。」

人権侵害

この過剰反応は、人権保護の組織を心配させている。SARSを他国に広げる者は誰でも処刑される脅威があったと彼等は言っている。「SARS関連の噂」を広げたと非難されて、逮捕された117人の人々の報告は、SARSの勃発が、中国で増大しているインターネットユーザーの層を規制する口実になっている事を、示唆している。電子メイルでSARSを言及しただけだがこういった人達には医療サービスが否定されるので、SARSの再発があれば、言葉がどんなに容易に恐いものになってしまうかの問題がある。しかし、そのような過酷な規制手段だけが、SARSの発症が下降した唯一の理由ではなかっただろう。より貧しい地域は、原始的な医学設備だったので救われたのかもしれない。

「それは、主要には、病院で起きるもので、洗練された病院であれば、それだけ多く病気が起きそうである。シンガポールや香港の病院の例がよくそれを示している。それは感染の接触の度合いに関連がある。」と、オーストラリア、パース、カーティン・テクノロジー大学のエイリーン・プラント、疫病学者、は、言う。彼はベトナムでWHOのチームを主導した。主張され済みのことだが、医療度の相違が貧乏な人達に利点を与えたようである。もう一つの可能性は、SARSが中国で「離陸する」ことに失敗したのは、多くの人々はすでに同様なウイルスにさらされてきていたからである。蓄えられた血液サンプルの抗体テストが、広範囲に及んだ人間のこの細菌への露出が過去にあったかどうか、を、明らかにするであろう。南中国の広東州での最初の勃発が急にやんだのは、夏が始まったからだという疑惑もある。SARSウイルスは熱い環境にはよく生き延びれない。もしほとんどの伝染が汚染された表面に触れる人々が原因であるのならば、より高い温度が伝染を減少させた事になるだろう。

もし季節が、人の介入ではなく、SARS勃発の終焉の主要な理由であったなら、秋にSARSが復讐してくるかもしれない。それは、数千万人を殺した全国的に流行した1918のインフルエンザで起こったことである。幸運にも、SARSは(これまででは)ずっとそれより伝染性は低い。インフルエンザが高まる季節には、疑わしい患者を分離することは困難になるだろう。SARSのような兆候をもった人が大変多くあらわれるからである。

ティモシー・レイナー、プリンスオブウェールズ病院の救急医、は、こう述べている:「それで、もしSARSとインフルエンザまたは肺炎の他の原因の相違を区別できないならば、病院は、入院した後にSARSを拾うことになるので、危険な場所になる。」これを防止するのに必要な事は、非常に早い段階でSARS伝染を識別できる迅速なテストを実施する事である。これがWHOの最上位のプライオリティである。だが三月時点でのそのようなテストは数週間以内に入手可能であるという予測があったにもかかわらず、今まだ信頼できるテストが出現していない。

馴染みが薄い動物達

しかし、人の間のSARSの伝染が一見したところでは終了しつつあるが、では、一体SARSはどこから戻ってくるのだろうか。1つの恐れは、SARSは動物から来たもので、再び起きるという事である。SARSに最初罹った多くの人は、食物の準備や特殊動物の取引で働いていて、それでウイルスが中国で食べている多くの野生動物や稀にしか見ない動物のうちの一つからウイルスが来ているという示唆がある。しかしどの動物からなのか。SARSウイルス、またはそれへの抗体は、香港との境界に近い、広東の市場のジャコウネコ、タヌキ、フェレット・アナグマに発見された。

しかし、他の複数の研究では、SARSの痕跡は、ジャコウネコを含む野生動物には発見されなかった。広東の市場に出る動物が、別の種から、または人からでさえも、ウイルスを拾った事も可能である。これにもかかわらず、中国は、飼育ジャコウネコを含むいくつかの動物の販売を制限した。しかし、どれほど長くこの取り締まりが、かなり大きなこの商売集団からの抗議に直面して、継続できるかは確ではない。このウイルスはまた、人々に潜んでいることもありうる。カナダでは、SARSの症状全体を示す徴候をみせなかった人々にウイルスが発見されている(参照New Scientist 6月28日p 12)。その証拠は、これまでのところ、そのような人々が他を感染させることがないことを、示唆している。しかし、この事は、天候が温暖である間だけ、真実であるのかもしれない。もし診断されていない未確定のウイルス保持者が、ウイルスを落とせば、冬がくれば、そのウイルスの十分なものが生き残って、他を感染させることができる。隠された保菌動物は勿論、隠された人のウイルス保菌者がいるかどうかを発見する事が、研究者のもうひとつのプライオリティである。

遺伝子配列が違う変種

敵が変貌していくという事実は状況をちっとも御しやすいものにしない。5月に、ウイルス学者達は、SARSウイルスが2つの主要な遺伝バリエーションしか表していない事を知って、安堵していた。しかし、より多くのサンプルが遺伝子配列を確証されていくにつれ、新しいバリエーションが出現してきている。このウイルスがさらに伝染性を増していく可能性があり、または開発されていくどのようなワクチンでも出し抜いて進化して行く事もありうる。少なくとも、現在はどの国でもSARSの勃発を隠蔽していく事はとても困難になった。5月に、世界健康会議が、WHOに病気勃発を調査し、汚染がある国の政府から勃発の公式な確認を受け取る前に世界に健康上の警告を出す新しい力を与えた。

WHOのスポークスマン、ピーター・コーディングリはマニラでこう述べている:「私達は特殊部隊SWATチームのように寝込みを急襲はできない。だが、私達は、現在話し合って介入する力を持っている。」今のところ、WHOは、SARSへの警戒体制をそのまま続けなければならない、勃発があった国から外へでる人達のスクリーニングを含む、と、強調している。トロントは、すでに、痛い目にあって、どれほど容易に病気が再発するかを学んだ。大きなテストは、北部地域の冬が始まるときに、何が起きるかである。もしSARSが、この来冬に再発しなかったら、そのときは私達は安堵の吐息をつけるだろう。そして、次の大きいインフルエンザの流行について心配する事に戻れるだろう。それは、専門学者が、ずっと遅れているがソロソロ来てもおかしくないと、予告しているものである。

報告者:Rachel Nowak, Melbourne and Debora MacKenzie, Brussels

Author:事務局 : 2003年07月11日 11:51