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2003年11月11日

■英国有機食品18億ドル市場を達成する ☆NAGAHISA INTELLIGENCE FILES 3-11-10

■☆NAGAHISA INTELLIGENCE FILES 3-11-10

英国有機食品18億ドル市場を達成する
~有機農業の現況と未来の課題~

英国有機食品18億ドル市場を達成する
~有機農業の現況と未来の課題~


有機食品チェインにみれるヒビ

 有機食品は今週一種の強さを見せるテストに合格した。有機食品の最大の後援者、土壌協会が、英国での販売が年で10億ポンドを初めて超えたことを発表したからだ。朗報に思えた。販売は前年にくらべ、10%の上昇であり、英国での有機食品の栽培は増加している。78%の人々がそれを食べていて、政府もそれを支持している。現在、4人の母親のうちの3人が赤ん坊に与えるのに有機食品を選択している。万事よしなのか。ある点までは、良しといえるだろう。土壌協会のほとばしる統計を全体に状況の中で、見てみよう。10億ポンドは、英国の食物市場のわずか2%ににしかならない。大スーパー、テスコの年間販売額のちょうど5%である。非政府団体、草の根グループ、スーパーマーケットによる10年にわたる強いプロモーションにもかかわらず、有機食品の年間市場は、まだ、英国人がハンバーガー、フィッシュアンドチップス、にあてるものよりも少ない。

 さらに、昨年の成長は過去十年以上毎年30%以上だったが、これよりかなり小さくなっている。市場が速度を落としているだけでなく、また有機市場の数字は、ほとんどの買物をする客のなかでは小さな部分になっている事を示している。昨年は、ちょうど8%の人達が売りに出ている有機食品の60%を買った。この産業にとって最も厄介なことは、有機食品が、その魂、その土壌、を売り渡していると公然と告発されている事である。その身売り相手は、大衆に殺虫剤、BSE、サルモネラ菌、口蹄疫、を与えてきた同じ産業食品システムである。少数のラディカルな英国の農夫によって工夫された農業システムとして始まったものが、強大な利益が目当ての巨大企業によって併呑される危険に面しているという非難である。

 英国の主要な有機食品会社が、次々と多国籍企業によって買収されている。ローカルに育てられた自然食品を、スーパーマーケットではなく、農民市場または農場のゲートで買っている人々の新しい傾向があるかもしれないけれども、大きい4社のスーパーマーケット・チェーンによる支配は全体的である。四大企業は、すべての英国の食物の80%を売って、また有機食品の大きいシェアもたぶん売っているが、食品が遠すぎて汚染が起きる距離を移動して、新鮮ではなく、過剰パッケージされ、過小な利益しかな人達によって栽培されているかもしれないという懸念には、大抵は口先だけの反応を示している。有機農業の人道的な、公正な要素が、置き去りにされていると、NGOの中で言う人達がいる。

 しかし、スーパーマーケットは多くの功績を要求できる。スーパーマーケットは主流の近くまで有機食品を推進させ、スーパーマーケットの熱意が、多くの農夫を有機へ転換する事を奨励した。これが、今度は、求められるより若く、より活動的なグループの人々を農業へと引きよせていった。ほんの数年前は、900人だったのだが、現在は4000人以上の有機農民がいる。しかし、長期的には、スーパーマーケットがまた、このセクタの停滞とよどみを生む主力になるかもしれない。有機のラベルは、数年の間は、お金を印刷するにちかいライセンスであり、とても特別な扱いを課してきた。

 しかし、有機作物の利益率が急速に減少する中で、栽培者に強いプレッシャーがかかり、有機栽培者の一部は、有機への切り替えをしたのは、正しかったのかと、訝り始めている。有機のミルクのための市場は、非常に多くの酪農農夫がそれに飛び込んできたので、ほとんど崩壊した。すべての有機ミルクの三分の一は、従来のものとして、現在売られている。英国有機肉製造者はまた、開発途上国からの安い輸入肉をスーパーマーケットが売りたがるので、気を悪くしている。

 有機のセクタは、自分のコントロールを越えたいくつかの問題に直面している。その一つは、流行しすぎた事による潜在的な死であり、さらには、注目され過ぎたことである。「有機」は、1つの高価なブランドに過ぎなくなっている。このごろでは、有機のTシャツから、タンポン、ビタミン、エステティック、寝具、カーペット、庭製品、および蜜蝋まで、すべて有機で買うことができる。有機に献身するスーパーマーケット、レストラン、ホテルまである。有機という言葉は誰によっても使われてもよく、これらの製品のうちのいくつかを保証する団体についてはほとんどなにも知られず、一般大衆が皮肉な態度になっても無理のない事である。

 若い有機産業はまた、政治的な気候の変化にも気をつけなければいけない。有機食品は政府のいくつかのセクションによって農業問題の一部を解決するものとして認められ支持されている。だが、政府首脳陣の中にはよくても生ぬるい態度しかとっていないものがいる。ハスキンズ卿、地域のボス、前食物産業経営者、現在英国農業政府の策謀的なアドバイザー、は、有機に懐疑的な態度で知られている。英国農業の彼のビジョンは、少数の、大きな、「より効率的な」企業である。彼の行き方では、自然食品を開拓してきた小さい農場の終わりを意味しかねない、そして、価格を下げる為、有機の基準を侵食するような承認団体へ多くのプレッシャーがかけられる事にもなるだろう。

 有機セクターはまた、ジョン・クレブス卿、食物標準局長、からも多くを期待できない。彼は、有機農業は少ないエネルギーを使い、空気と水の汚染が少なく、土からの硝酸塩損失が少ないという政府が出した証拠にもかかわらず、有機食品は慣例的に生産された食物より安全で、より栄養があるという中心的な主張を信じていない。そして、バックグラウンドに潜んでいるのが、GM食物であり、もし英国でそれらが育てられるならば、それは確かに、多くの有機栽培者を廃業状態に押し込む事になるだろう。

 しかし、有機食品は太陽の下で今の盛況を楽しむべきである。有機農業が1960年代に始まった時には、ロンドンにはたった1つの自然食品店とレストランがあっただけである。70年代になって、自然食品の成長により有機食品の新しい出口が提供されて、1974年までには、その市場は約300万ポンドに値するものになった。90年代の多くの食物への恐慌の後をおって、有機食品は、健康と環境について心配する人々の選択する食物になった。食への不安とよい農業法への希望は続くだろう、そして、有機食品の生き残りを保証するだろう。しかし、それがどんな形と規模になるかは、まだ不確かである。

【参考資料】
Guardian Unlimited | The Guardian | Chinks in the organic food chain Chinks in the organic food chain
As sales reach a record 1billion pounds annually, critics say the industry has sold its soul to the supermarkets - which may lead to its demise
John Vidal
Friday November 7, 2003

John Vidal is the Guardian's environment editor
john.vidal@guardian.co.uk
Guardian Unlimited * Guardian Newspapers Limited 2003

Author:事務局 : 2003年11月11日 14:04