WORLD ECOWATCH

　タンザニア議会は、遺伝子組み替え（GM）種子と作物の輸入を許す政府の計画を、それらがタンザニア国に必要ではなく環境を損うかもしれないとのべて、阻止した。この決定は、今月初めGM種子の輸入と配布を含む法案の審議中になされた。この動きは、政府を難しい立場に追い込んだ。なぜなら、政府は、すでに、GMトウモロコシを認める用意があると発表していたからである。政府の条件は、種子が製粉されて、新しい作物を生産するために植えられなくすることであった。しかし、国会議員はこう指摘している。タンザニアには、GM種子の使用と配布を規制する特定の法律も条令も現在存在していない。その結果として、国会議員達は、環境への潜在的な脅威であると主張して、すべてのそのような種子輸入の完全な禁止を求めている。

　議会のこの決定は、議会の委員会による政府提案の立法についてのリポートに続いたものである。その報告には、「インドとアメリカの経験が、GMO［遺伝子組み替え有機体］は、自然の植物に非常に有害である事を示している。」と述べてある。同委員会は、こう付言している。GM有機体の強い立法コントロールが無い事は、議会がそのような製品の輸入を許可しようとする政府の努力を防止すべきだという事を意味する。議会は、GM種子と他の有機体の輸入と開発をコントロールするために、具体的な手段を含むように、政府が、種子品質に関する提案されている立法を変更することを求めた。

　タンザニアは350,000トンの 食糧不足にこの会計年度に直面していて、食物のすべての関税を止めている。しかし、国会議員、モハメド・アブダラ・リッシェドは、現在の形の提案された立法を阻止する議会の決定を歓迎して、こう述べている。GM種子が自然環境に有害であり、従ってどうあっても避けるべきである。

　もう一人の議員、ジュマン・マグヘンベ農学教授は、また、提案されている政府の立法を批判して、それがGM種子への依存状態を作り、従って、開発途上国の自己充足性を脅かすものだと主張した。農業大臣のチャールズ・キーンジャは、SciDev.Netへこう述べた。政府はまだ製粉されたGMトウモロコシの輸入を許す計画を進行させるかどうかは「未だ」決定していない。他方、実業界はこう不満を言った。政府の早期の決定にそって外国で製粉されたGMトウモロコシを輸入する手配をすでにしてしまった。もし政府が、議会により提案されている変更を受け入れるならば、ビジネスリーダー達は、そのような注文をキャンセルしなければならなく、現実の財務上の損失を生む事になるだろう。

　キーンジャは、議会で法案をもともと提出した時に、提案された立法は、タンザニアでマーケティングされている種子の品質をコントロールすることを意図していると言った。それは、約30年間実施されてきた現在の法律に取って変り、種子の品質のすべての面で大臣にアドバイスする「全国種子委員会」を設定するだろう。タンザニアは、公式の数字によれば、現在1年あたり約30,000トンの種子を輸入し、ほんの2,000トンだけを生産している。しかし、タンザニアは、現代生物工学の利用とGM製品の使用をカバーする、生物安全の法律を全然持っていない。

　国家生物安全研究ガイドラインと規制は、政府によって現在作成されている。これらが発効するまで、政府は、輸入種子の適切な処置と国の生物多様性保護を確保するために用心策を取っている。その結果として、例えば、農夫は、外国輸入のトウモロコシ種子を植えることは禁止されている、また自国を経て隣国へ通過する穀物は、漏出防止コンテナで輸送されなければいけない。

　そのような手段は、タンザニアのダルエスサラームで行なわれたGMO食料製品の安全な処理に関するSADCサミットによって採用された決議と同列なものである。（参照：南アフリカの諸国が共通のGM戦略を採用する）。これにもかかわらず、多くの観察者は、すでにGMトウモロコシと米が、タンザニアの様々な地域で違法に植えられていると主張している。従って、彼らは、たとえ政府がGM種子輸入を禁止することになっても、その動きが、効果的な監視と法実施のメカニズムがないので、意義のあるインパクトを持つことはありそうにないと指摘している。

参考資料
SOURCE: SciDev.net, by Deodatus Balile　Nov 28, 2003
Tanzanian parliament blocks government on GM seeds
[DODOMA]