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2003年12月17日

■ヨーロッパをGM無しに維持する

■ヨーロッパをGM無しに維持する
・パリで市民GMフォーラムが開催される
・ヨーロッパ諸国の現状と課題を展望する。
・ヨーロッパをGM無しに確保する対策が強くされる

・パリで市民GMフォーラムが開催される
・ヨーロッパ諸国の現状と課題を展望する。
・ヨーロッパをGM無しに確保する対策が強くされる

報告者:リム・リ・チェン

 第二回「ヨーロッパ社会フォーラム」、は、2003年11月12~15日まで、パリとその周辺で開催された。国際的な協力、人の開発、社会正義に基づく世界の別のビジョンを表明するために、ヨーロッパ全土とさらに他の地域から50,000人が結集した。GMの無いヨーロッパのための圧力を維持する違ったイニシアチブと諸戦略が、ワークショップ、『どのようにヨーロッパをGM無しに維持するか?』で議論された。GMOに関するヨーロッパ規制枠組が現在実施されている。これには、GM食物と飼料(規制法1829/2003)の環境への故意の放出(規制法2001/18/EC)、成分追跡可能性、商品表記(規制法1830/2003)、についての厳しい規制がついている。この成分追跡可能性と商品表記は2004年4月までに実施されなければならない。

 しかし、これだけでは十分ではないという懸念がある。種子純潔、汚染、共存、賠償責任、矯正、の顕著な問題がある。これらはこれから満足ゆくように処理されなければならない。一方、GM無しゾーンを設立する地方自治体による努力は難題を経験してきている。2003年9月にGM無しにすると宣言した上部オーストリアの試みは、欧州委員会(EC)により否定された。その理由は、GM禁止を支持する新しい科学的な証拠が全然出現していない、さらに、上部オーストリアは、そのようなアプローチを正当化する地域に固有な問題の存在を証明できていない、というものである。上部オーストリア議会はこの決定を上訴する意向である。

 それにもかかわらず、「地球の友」は、GMなしゾーンのキャンペーンを進める先頭に立っている。活動家達は、政令2001/18/ECの条項19を使って、自分達の地域をGM無し地域に宣言するために地方自治体に圧力をかけている。この政令は、当局が、特定の生態系/環境、または地理的エリアの保護を含む合意条件を指定することを可能にしている。この事は次の事を指す。もし問題のGM産物が特定のリスクをその地域に与える事を証明する科学的な正当性があれば、その地域をGMマーケティングの合意から遮断できる。

 今では、英国の20以上の地方自治体が、GM無し政策を採用してきた。最近ではGM無しを選ぶヨーロパの10の地域が、上部オーストリアとトスカナによる協調を受けて、一つのネットワークを作った。それは、アキテーヌ、バスク国、リムーザン、マルケ、ザルツブルグ、シュレースウィヒ・ホルシュタイン、スラス・ロドピ、ウェールズを含んでいる。このネットワークは、地域内でGMOを禁止する地元の権利を主張する文書を提出し、地域の農業大臣によりサインをされた。強い地方自治体と全国的な立法の必要性は、イタリアからの代表アントニオ・オナラティが強調するように、そのような活動では明らかである。

 ヴェルト同盟、エコロジカルな生活と生産の同盟は、昨年ベルギーでGMO無しのコミュニティキャンペーンを発足させた。同盟は、その308の全てのフランドルの地方自治区にその地域をGM無しにする宣言をだすよう督促している。連邦政府がこの問題に司法権を持っているのだが、連邦政府は、GM無しでいたい地域社会の意見は考慮されるだろうとヴェルト同盟に保証した。このキャンペーンのおかげで、GMについての大衆討論がいくつかの村と都市で初めて行なわれた。そのような大衆討論の条件が市民団体と相談して決定されることが必須である。

 CCC-OGM、市民評議会へのフランス協議会は、次の事を要求している。CCC-OGMは、15のフランスのNGOから成り2002年の後期に作られた。その協議会は、GMについての大衆討論を、政治的な決定を下す前、特にGMの事実上のモラトリアムを止める場合、フランス政府が率先して発足させることを要求した。それは、市民達の様々な会議を利用する事を督促した。それらの会議の結果は、議会の討論を刺激するために用いられるだろう。協議会は、ヨーロッパ全体で同様な討論を組織化するために、ヨーロッパの仲間達を動員する事を希望している。

 CCC-OGMは、GMOに対して『非難の関係書類』を作っていた。この書類は、GM討論の法律、経済、および倫理的な面を検討している。これは、独立科学パネル(ISP)のリポート、「GM無しの持続可能世界の正当性」、を捕捉するものである。ISPの報告は、GM作物についての知られている危険と問題の証拠、および持続可能な農業の多くの利点の証拠についての完全な書類である。ISPのリポートは、GMOの環境への放出禁止を呼びかける為の基礎であった。私はISPのリポートを紹介して、独立した科学と研究、およびその為の資金を求めた。

 特に、我々は、独立した生物安全の研究が必要である。その研究は、多くの問題には答えがない状況なので、遺伝子工学と関連したリスクを調査するものである。この間、最近の危険の科学的な証拠は、真剣に取り組まれなければならない。GM農業に対する持続可能な代案など、資金がひどく足りない研究分野もある。それは、農業共同体や先住民から学ぶことを含んでいる。バイオ保全に知識を与える他の種類の西洋の科学(例えば、遺伝子エコロジー、ゲノム流動性)はサポートされるべきである。だが、研究出資の大部分は、GMなどの還元主義的な科学技術オプションに向けられている。だがGMは、ヨーロッパの市民によって圧倒的に拒絶されている。

 研究能力が制限されていて、基本的なニーズを満たすように多くの方面に引っ張られている開発途上国では、GMに投資させようとするプレッシャーがある。しかし、不適当な選択はどれでも破滅的な結果を、公衆衛生へだけでなく、経済的にも、社会的にも、生態的にも、もたらすだろう。「Grupo Reflexion Rural」のホルヘ・ルリ氏が証言したように、これはアルゼンチンですでに起こっている。GM作物のアルゼンチンでの経験は主として否定的で、この国により採用されているネオ・リベラル経済の枠組みに結び付けられている。したがって、一国の科学政策を正しくする必要がある。技術評価は、環境、健康、社会、経済的評価だけでなく、よい科学を含むので、技術の移行に先行すべきである。

 中東部と南東部ヨーロッパの現実で例証されているように、ヨーロッパをGM無しにするのは容易な課題ではない。「Clean Production Action and the Northern Alliance for Sustainability」、ANPED、のイザ・クルスゼワスカ氏、が、ハンガリー、スロベニア、クロアチア、セルビアの状況について特に話した。これらの国でもいくらかの進歩があり、オーストリアとイタリアの一部を含むGMなし国境横断バイオ地区を、スロベニア側のイニシアティヴで作られた。GMOの生産を禁止し、GM食物の輸入を制限するクロアチアによる前の試みは米国からWTOへ不満が出ているという、威嚇を受けた。それにもかかわらず、新しい立法が最近実施されて、次の事が必要になった。すべての市場に出されるGM食物と飼料にラベル付けをする事、および保護エリアと緩衝地帯、有機農業とエコツーリズムが重要な地域でのGMOの放出を禁止する事である。

 セルビアとモンテネグロは、自国の農業をGM無しに維持する政策を持ち、GMの意図的なリリースの条件と市場に出すことを規制する包括的な法律を設けた。しかし、その潜在的な無GMの地位が、密輸入GM大豆、フィールドトライアル、コソボへの米国(GM疑惑)食物援助によって脅かされている。ルーマニアとブルガリアがGM作物を商業的に育てているので、さらにこれら二国からのGM種子の密輸があるというので、この地域の汚染は差し迫った問題である。さらに、米国支持のポーランドとチェコ共和国が、GM無しのイニシアチブをとれる成功率は、残念だが低い。この二国では、バイオテク産業が最も大きな影響力を持っている所である。GM作物の商業化を止めるためにそこのNGOが勇敢に奮闘している。

 「田舎研究センター」からのスケルゼン・マルクによると、アルバニアのNGOも困難な挑戦に直面している。24の組織が、社会派議会グループを経由した活動をしながら、手紙をアルバニア議会に送り、GMO(種子、食物援助、実験)に5年間のモラトリアムをかけるように要求している。しかしこの提案は社会党政府内の辞任によって、延期されている。この間、2003年10月に16,000トンのトウモロコシと大豆(動物飼料)が米国からアルバニアに到着した。デモンストレーションが、これらの遺伝子操作の疑惑がある援助出荷に抗議する為、行なわれた。

 市民と消費者の行動により潮流は方向を変え得る。スイスの「GM/Uniterreをやめよ」からのジェラード・ヴァフレイは、「スイス国民投票イニシアチブ」について話した。120, 000の署名が、GM作物への5年モラトリアムを要求するために集められた。地球の友の『噛み返せ』キャンペーンは、EUの生物安全規制についてWTOでEUに対する米国政府の異議へ抗議をするように市民に督促している。米国の異議申し立てが、もし成功すれば、ヨーロッパ人が何を食べるかを決める権利を彼等から奪うだろう。ユーロ生活協同組合、ブラッセルの消費者グループ、は、GMOを拒絶する消費者の権利を保証しようと努力している。

 新しいラベル付けと商品素性追跡可能性の規制をする事はよい始まりになるだろう。だが、ユーロ生活協同組合は、共同存在、汚染対策(特に種子)、賠償責任への厳しい規制なしでモラトリアムを止める事は、悲惨な事になるだろうと心配している。もしこれらの問題が満足ゆくように対処されなければ、消費者は『商いのモラトリアム』(すなわちボイコット)を実施できるであろう。ヨーロッパの事実上のモラトリアムを止めることが差し迫っているように思える、だから、ヨーロッパがGM無しであることを保証するためにこの地域の諸グループが様々な戦略を、名実合わせて立てている。スペイン、ルーマニア、ブルガリアには商業用のGM植付けが、違った国の多くのフィールドトライアルと共に、すでにあるので、この戦いは難しいものになるだろう。

 この状況はますます私達の努力を高める理由になる。戦略は、生物安全性についてのすべての科学的な質問が答えられるまで、また適切な大衆の討論が開催されるまで、は、モラトリアムの維持を要求することを含む。地方の自治体によってGM無しを宣言する事、EUに運動をして地域と国がGM無しを宣言するのを許可させる事を含む。また一般大衆に、『否』をGMOに対し言わせる事を含む。これには、更に『商いのモラトリアム』を実行し、共同存在、賠償責任、種子純潔に関しては、満足がいく適正なEU立法をさせる運動を含んでいる。そして、仮に他のすべてが失敗しても、もし商業用栽培が承認されるならば、GM作物を引き抜く英国の「緑の手袋の誓約」により提唱されている直接行動がある。


参考資料
The Institute of Science in Society
Science Society Sustainability http://www.i-sis.org.uk
ISIS Press Release 05/12/03
Keeping Europe GM-Free
Efforts to ensure Europe remains GM-free have been stepped up. Lim Li Ching reports on the European Social Forum.
The Institute of Science in Society, PO Box 32097, London NW1 OXR

Author:事務局 : 2003年12月17日 14:30