« ■モンサント社がアルゼンチン大豆ビジネスから | メイン | ■南ア国・アフリカのバイオテク状況 »

2004年01月28日

■アジアの鳥インフルエンザの発端と背景

■アジアの鳥インフルエンザの発端と背景
 不安な三回目の勃発

伝染病:アジアの鳥のインフルエンザを止めるには
 不安な三回目の勃発
  報告者 デニス・ノーミル

 健康関連の官吏達は鳥のインフルエンザを封じ込むために奔走している。この勃発は12月に韓国で起き、次に日本、ベトナム、タイ、、、と今月に入り足早に伝染が広がっている。今度のヴィールスは悪性である。人に異常に飛び移り、ベトナムで人に感染し、最低五人を殺した。ベトナムでは、疑わしい十の発症例調査中である。研究者達は、まだウイルスのDNA遺伝子配列とその起源をまだ固定できていない。しかし、この地域の政府当局は、その広がりを止めるために、唯一できる手段をとって、潜在的感染露出を考えられる鶏を処分した。今度のウイルスは人対人ではなく、鳥だけによって運ばれたようであるけれども、健康担当の政府当局は気がかりな観察をしている。鳥類インフルエンザイタリア国立研究所のウイルス学者、イラリア・カプア、は、こう述べている:「より多くのウイルスが広がれば、広がるだけ、それは、致死性が高い鳥のインフルエンザになり、人のインフルエンザになって伝染する可能性が高まっていく。」

 この致死性を持つ結びつきの可能性は「脅威的である。」とカプアは言う。カプアの研究所は、パリに本拠があるWorld Organization forAnimal Health (OIE) 「動物健康世界組織」と連携した調査機関である。より感染性の高い菌がでれば大変な疫病を引こしかねない。これらの危惧の元になるウイルスはインフルエンザ「AサブタイプH5N1」として知られているものである。サブタイプは、2つの表面糖タンパク、血球凝集素(hemagglutinin)(H)とノイラミニダーゼ(neuraminidase)(N)の形状によって、分類されている。H5N1は、最初、1997年に、香港の鳥肉に出現してきた。その際H5N1は、種の壁を越えて人に感染し、18人の感染者のうち6人を殺した。人間は、鳥のウイルスには限られた免疫性しか持っていない。ということは、「このウイルスは人には悪性である」という意味になる、と、ロバート・ウエブスター、テネシー州「メンフィス聖ジュード子供研究病院」のインフルエンザ専門家、は、述べている。

 H5N1の再発は全く驚くべきことではない。ロバート・ウエブスターや他の学者は、H5N1が最初香港に勃発して以来、それが、大疫病を引き起こす危惧をずっと警告し続けてきていた。香港区域は、市の140万匹以上の鶏とアヒルのすべてを屠殺して突発を押さえ込んだ。しかし、専門家達は、長い間、一箇所以上の動物によるH5N1の潜む場所があると考えていた。ウエブスターはこう述べている:「このウイルスは多くの量でどこか向こうにいるんですよ。」一つの発展した変種が、2002年遅くに香港の公園の野鳥に出現した。次には、2003年2月に、野生の鳥のウイルスの形とほとんど同一な変種ウイルスが香港の住人から分離採取できた。その人は死亡した。その息子は重病になったけれども、回復できた。死亡した男の娘は、家族が中国の福建州の親族を訪問している間、未診断の呼吸器系の病気で死亡した。(参照Science 2003―3―7)しかしこの感染の起源は確定できないままだった。しかし、1997年の感染調査にも関係したウイルス学者のケネディ・ショートリッジ、現香港大学名誉教授、は、こう述べている:証拠のすべてが感染源が「南中国の自然にある棲息場所の存在」を示している。中国は、OIE「動物健康世界組織」への報告で、鳥インフルエンザの大規模な勃発はなかったと主張していた。

 H5N1が、韓国、日本、ベトナム、、、、に出現した事は、そのウイルスが拡大している事を証左している。しかし、それが渡り鳥によって広められたのか、感染した鳥肉か鳥肉製品によって拡大されたのかは、明確ではない。ウエブスターは1997年の菌種にワクチンを開発したけれども、それがこの最新の菌種へ何らかの効果があるかどうかはまだ分かっていない。非常に病原性が高い鳥インフルエンザの突発が、頻度と疾病度を高めて、増大していると、カプアは警告している。 1959年から1998年までの40年間で、ほんの17件の突発があった。しかし、1997年から2003年までの6年だけで6回あり、そして現在の勃発である。カプアはこれには複数の要素の結びつきがあると疑っている。最も重要な事は、鶏肉への未曽有の増大する需要がある。これは、適切な生物学的な予防手段なしで、より大きな家禽農園の過度な集中化を引き起こしている。いったん疫病がこの環境のなかで勃発すれば、「それは非常に急速に広がり、それを除去するのは極めて困難である。」たとえこの冬にこのウイルスが首尾よく押さえ込まれても、それが再発するのは時間の問題である。と、カプアは警告する。

参考資料

Science -- Normile 303 (5657): 447a

INFECTIOUS DISEASES:
Stopping Asia's Avian Flu: A Worrisome Third Outbreak
Dennis Normile

Volume 303, Number 5657, Issue of 23 Jan 2004, p. 447.
Copyright ゥ 2004 by The American Association for the Advancement of
Science. All rights reserved.

Author:事務局 : 2004年01月28日 16:07