« ■モンサント牛用成長ホルモンrbGH /Posilacの販売削減を発表する | メイン | ■クアラルンプールでGM国際会議が開催される »

2004年02月24日

■米国の作物種子に遺伝子加工DNAの驚愕すべき汚染が実験調査で発見される

■米国の作物種子に遺伝子加工DNAの驚愕すべき汚染が実験調査で発見される
 36の従来作物品種の三分の二にGM汚染~実験は米国がGM品種の汚染防止に失敗した事を示す

            ワシントンポスト紙 リック・ワイス報告                          

 普通の作物種子の米国の備蓄の多くが遺伝子加工されたDNA品種で 汚染されてしまっている。これは、昨日リリースされたパイロット研究によるもので、遺伝子設計された種子の植物と伝統的な品種を分離する現在の方法が失敗している事を示している。36種類の従来のトウモロコシ、大豆、カノーラ油の種子の三分の二は、研究所でのテストにおいて、遺伝子修正された作物種からのDNAを含んでいる。これは、ワシントンに本拠がある運動団体、「憂慮する科学者連合」によって、委託されたものである。米国の種子の中にある外部からのDNAの実際量は少ないようである。ほとんどの設計遺伝子は、種子の供給量の中に混入してしまっているが、規制担当官吏は消費しても安全だと考えている、とこの実験リポートは認めている。

 しかし、もし連邦政府の規則と農業の慣行が厳格にされないならば、合衆国は、間もなく、その食物供給のどのような部分も、遺伝子変更された要素がないと言う事を保証する事が不可能になるだろうと、今度の研究、は、結論づけている。これは、米国の食物、種子、食品オイルの輸出に深刻な危害を与える状況である。多くの人達はこう信じている。それはまた、米国農業の最も速く成長していて、利潤も高い、分野の1つ、自然食品の国内市場もひどく傷つけるだろう。まただんだん増大する数の作物品種が、葉や茎に農薬だけでなく、強力な薬剤や産業用製品を生産するため遺伝子加工されているので、異品種間の未来の汚染事故は、さらなる健康や経済的な危機を生み出していくだろう、と、このリポートは警告している。

 マーガレット・メロン、憂慮する科学者連合の食物環境プログラムディレクター、は、「誰もコーンフレイクの中に、薬やプラスチックを望んではいません。」と言った。彼女の団体は、農業生物工学に懐疑的な立場を取っているけれども、科学を尊重しているので専門家達により一般に尊敬されている環境健康保護グループである。「この問題は、未チェックのままであれば、米国を経済的に傷つけ、たぶん私達の健康にも影響するだろう。」、と、70ページのリポート、「Gone to seeds.」は、述べて、米国種子産業の遺伝子汚染範囲の完全なアセスメントを、農業省が実施するように勧めている。同報告は、また、薬剤と産業用の製品を作るために遺伝子設計された作物を戸外で植えることには厳しい制限を要求している。そのレポートは、主要な作物のまだ純粋な種子の蓄えを直ちに別にして取っておくように要求している。これは、遺伝子変更された品種が環境的にまたは医学的に有害であると判明する場合に備える為である。

 産業界の役員達は、今度の発見は予測できたものだといった。リサ・ドゥライ、生物工学産業協会通信ディレクター、は、こう言っている。「 私達はこのリポートには驚かなかった。花粉が遠くへ行き、商品の穀物が様々な場所で混合するかもしれず、輸送や貯蔵段階で混合があるかもしれないのが判っているのですから。」彼女と他の産業担当者達はこう言った。米国は、種子が遺伝子汚染がないようにする非現実的なゴールを追及するのではなく、ヨーロッパと他の諸国家が、--これらの多くの国は遺伝子変更作物と食物で足踏みをしているんだが、--このテクノロジーをもっと受け入れるように、強く働くべきである。リサ・ドゥライはこう言った。「世界中の諸国が、汚染容認レベルの均一な標準を採用することが重要である」。

 ディック・クローダー、アレクサンドリアが本拠のアメリカ種子産業団体会長、は、同意見で、米国の規制担当者達が食物供給庫を安全にするのに適正な仕事をしていると信じている、と、言った。食品医薬品局と農務省は、望まれない遺伝子設計産物を食物供給から締め出す標準を開発しようとしている。両役所のスポークスマンは、昨日、そのリポートを調べてみる、と、言った。

 今度の報告で発見された事項がどんな意味合いを持つにしろ、アメリカの農民が8年前に、商業用規模で遺伝子設計された作物を栽培し始めて以来、思いもかけなかったDNAの驚愕すべき度合いの散布がおきてしまっている。今日使用中の作物種のほとんどは、作物が害虫と闘う細菌遺伝子を持っているか、または作物を多用される除草剤に抵抗力を持たせる遺伝子、を持たされている。数百の他の品種もテスト中である。今度の調査をしたグループはそれらの作物の可能な汚染要素の多くを検索できなかった。なぜなら、それらのDNA遺伝子配列の半分以上は企業秘密になっているからである。

 遺伝子設計作物は、日本、ヨーロッパ、および世界の他の地域では強く制限され続けるけれども、アメリカの農民の間ではポピュラーになり、ほとんどの米国の消費者によって受け入れられている。近年では、米国で栽培されたすべての大豆の約80パーセントは遺伝子操作されていて、ほとんどのカノーラ油と全トウモロコシの約40パーセントは、遺伝子設計されている。遺伝子設計されていない作物は、一定の外国や特定の市場に向けられるものを除いて、遺伝子設計された品種と通常混ぜられている。しかし、従来種子の国家食糧を特に補給するため育てられる植物は純度を保持する為に慎重に分離されていて、「認定」商業グレード種子を生産するために使われている。

 メロンの調査グループは、認定種になっている大豆、トウモロコシ、カノーラの種子を買って、各作物の6つの人気品種で、DNA遺伝子配列の汚染テストを二ヶ所の別の汚染テストを専門にする研究所で実施した。それらの研究所は、GeneScan USA of Belle Chasse, La.と Biogenetic Services of Brookings, S.D.である。最初の研究所は、トウモロコシと大豆品種の半分と六品種のカノーラ油全てに遺伝子変更されたDNAを発見した。二番目の研究所は、テスト材料の多くを与えられたが、すべての三作物の六品種の内五品種に遺伝子汚染が出ている結果を得た。

 PCRとして知られている実験に使った分子テストは極めて感度が高く、植物素材での使用はまだ完成途中ではあるが、今日の分子生物学の有効な装置である。PCRは量の測定ではいい仕事をしないけれども、科学者達は、個々の被実験体の全部のDNAの 0.05パーセントから1パーセントまでが遺伝子設計されたDNAであると、見積もっている。メロンはこう述べている:この汚染がどの程度で生物学的なものか―野外の花粉の飛散の結果であるのか―、またはメカニカルなものか、―農業施設かまたは貯蔵施設での遺伝子設計種子と従来種子の不注意な混合の結果であるのか―、は、不明のままである。

参考資料
Engineered DNA Found in Crop Seeds (washingtonpost.com)

Tests Show U.S. Failure to Block Contamination From Gene-Altered Varieties

By Rick Weiss

Washington Post Staff Writer
Tuesday, February 24, 2004; Page A02

2004 The Washington Post Company_____Biotech

Author:事務局 : 2004年02月24日 13:48