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2004年04月19日

■戦争、旱魃、口蹄疫で衰退したアフガニスタンの放牧業

■戦争、旱魃、口蹄疫で衰退したアフガニスタンの放牧業
 米国特殊教宣部隊が僻地を行く

※僻地の広場に出現した特殊部隊
 村の広場は、米軍の特別部隊が到着した時には、人影は見えなかった。しかし、言葉が広がり始めると、一人の少年が足取りがあぶないロバの背中に乗って近づいてきた。そして、一人の女の子がしり込みがちの羊を綱でひっぱりながら現れた。正午までには、広場は、羊と山羊の群れで溢れてきた。広場の空気は、驚いた動物の鳴き声と、家畜を扱う人間の叫び声が響き渡って、大混乱が広がって行った。アメリカ人とアフガニスタン人の獣医達が、逃げ出した雄牛を追っかけていったり、てこでも動かない牝牛を歩かせようとしている。鳴き叫ぶ山羊には人が馬乗りになり押さえ込んでいる。この格闘の隙間を縫って獣医達は、専門的な手つきで、慌てた動物の口に黄色のねばついた液体を注射器で流し込んでいる。

※口蹄疫が幼い家畜の四割を殺す
 ここはアフガニスタン、ナンガハー州の僻地、ゴシュタで、この騒動の使命の目標は、腸内の回虫、肝吸虫、特に足口病である。足口病(口蹄疫)は、極めて伝染性の高いウイルスで、アフガンの牧畜に苦境をもたらすものである。いくつかの地域では、足口病は、すべての幼い羊、ヤギ、雌牛の40パーセントまでも殺していると報告されている。「 アフガニスタンの家畜は何年もの戦争と干ばつによって荒廃させられてきた。私達はこれらの動物のほんの一部分しか対処できない。しかし、もし私達が子牛と子羊の生産を10パーセントでも押し上げることができれば、数千の家族の経済と暮らしに計り知れないインパクトを持つでしょう。」と述べるのは、ライル・ジャクソン中佐、4日間の移動任務の主任獣医、である。このプロジェクトは、米軍文民業務チームが、いくつかの村や遊牧キャンプを訪問していて、アフガニスタンでの米国戦略の多目的活動の一部を果たしている。米国の魂胆は、貧しい牧者と農夫に無料の医療を提供することによって、パキスタン国境近くのイスラム反米ゲリラが安息地にしている政治的に敏感な地域で親善の種をまこうというものである。

※協力の見返り―回虫駆除とワクチンと手洗い
 医師達が駆虫剤を注入して、肝吸虫ワクチンを注射していく傍ら、付属の部隊は、アフガニスタンの方言で書いたリーフレットを配布していき、米国支援の中央政府を支援する事、歯を磨く事、手を洗う事、英語を学ぶ事、テロ、特に学校を燃やすのに反対するように訴えていく。「それはみんな同じ絵のすべての部分になあるのです。もし人々が私達と協力し、自分達の地域を安全にするならば、私達は彼等を助けられます。」と、彼自身を地域の対テロ対策責任者と規定するアメリカの民間の参加者は述べている。このゴシュタ村は貧しく、土地が干上っていて、多くの他の田舎と同じく足りない事だらけである。米国のこの僻地での支援は、アメリカの敵が浸透しないようにし、また反米ゲリラの情報を得る為の活動である事は明らかである。

※家畜だけでなく、人間には医薬品を
 個々の村またはキャンプ地では、人間のための医療もまた提供されていて、軍付属の医者達が、臨時の診療所を、獣医達が仕事をしている傍らで、急ぎの診察を数百人の人々に与えている。しかし、多くの患者は、癌から不妊まで、医者が治療できない長年の難病で苦しんでいる。10代の遊牧民の女の子がロバで山を越えて運ばれてきた。彼女は、小児麻痺で萎縮した足でテントのクリニックに這って入った。一人の老人は巨大な腫瘍が手にできていた。アメリカからのこれらの来訪者達は、眼にはいるものの多くに個人としては心が穏やかではないが、その地の慣習、例えば関節炎を治すため関節に刺青をするとか、を、批判することを控えている。ほとんどの場合、医者達は、ビタミン剤、アスピリン、アレルギー錠剤、咳止め薬の包みを手渡している。重病の場合には、医者達は、人々に、ジャラーラーバードの病院に行くように助言している。だがそこまでは、早いトラックで三時間もかかり、ほとんどの人は行けないという事がわかっている。医療テントの外では、字が読めない女性の達が不思議な錠剤を見比べていた。子供達は貰える新しい歯ブラシを巡って争っていた。歯ブラシは初めて見るものであった。

※四日間の活動で一万頭の家畜を治療
 中佐ドルトン・ダイヤモンド、主任軍医、は、こう述べている:「人々が私達に会う時には、あまり現実的でない期待を持っている。私達ができる事には限りがあります。動物の場合は、私達は医学を与えます。人々の場合は、私達はたいてい希望を与えます。」アフガニスタンの荒廃した田舎の経済の主要な枠として、牧畜業の復興に焦点を合わせて、このチームはできる限りの多くの羊、ヤギ、牛の回虫駆除、ワクチンをする事に取り掛かっている。チームの人達は、4日間の枠でとてつもなく忙しいペースで働いて、蓄えの医薬品を二回分も使い果たした。10,000匹以上の四足動物を最終的に治療した事になる。短期の免疫化に加えて、今回のプロジェクトには、二つの長期の利点があると言った。

※アヘン栽培でなく畜産の回復を
 第一に、もしアフガニスタンの様々な家畜を養う事が正常な状態にもどれば、家族が、全土的な農業所得の主要なソースになっている、アヘン用にケシを栽培する事を控えさせる事ができるだろう。第二に、援助のチームが、家畜用動物の血サンプルを集めて、米国で分析をして、口蹄疫のアフガニスタンの菌種と闘えるより効率的なワクチンを開発させることできる。獣医たちの主要な目的は、反芻動物や草食動物を治療することであったけれども、彼等はまた、村民が運び込んできたすべての患者を助けて、外交的な仕事もしている。耳が切れて血が出ている犬から、あまり多くの重すぎる荷物を運んで腰が擦り切れたロバまで含んでいる。最も治療にてこずる動物は、ラクダ、アフガニスタンの遊牧文化の船、である。

※追い込まれる遊牧民の嘆き
 特別部隊の仕事がすんだ時には、家畜を扱う人達は満足しているようであった。だが一部の牧童は、ワクチンが動物のミルクを損なうかどうかを尋ねたりもした。村のテントのなかで茶をすすっている年長者には他の懸念を表して、地主達以前とは違って、彼等に自由に放牧させなくなった、また彼等は 落ち着いて暮らすようにせまるより多くのプレッシャーを感じている、と言った。遊牧民のリーダー、サン・ダイ、十二人の牧童に家畜を集めさせて、荒地の岩だらけの所にできた診療所に連れてきていた。彼はこう言った。「私達は誰も煩わしたくないけれども、私達の暮らしはますます困難になってきている。私達には土地と水が見つけられなくなってきた。雨が私達のテントに吹き込んでくる。私達の子供は学校に行くことができない。人々は現在この暮らしを止めたがっているんだ。」


参考資料:Washington Post / Whirlwind treatment of Afghan
herds aims to win hearts of rural people / Pamela Constable
in Goshta District, Afghanistan

Author:事務局 : 2004年04月19日 14:47