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2004年05月20日

■汚水と農薬の放出が海を殺している

■汚水と農薬の放出が海を殺している

 メキシコ湾で去年の夏に、ウェールズの2倍の広さの海で海洋生物に酸素欠乏がおきていた。同じ現象、さしずめ海のオゾンホールとでもよぶべきもの、が、南アメリカ、中国、日本、南東オーストラリア、ニュージーランド、の沖合で起きている。さらに他の海でも起きていて、世界中では、150に上っている。国連の関連機関がこう報告している。これらの海のデッド・ゾーンは、強化農業による窒素系肥料の流出と、大都市の下水の影響によっておこされているものだが、過去15年間で二倍になっていて、世界中でさらに増大している。国連環境プログラム(The UN Environment Programme(UNEP))が、最近発刊した最初の「グローバル環境展望年次リポート」において、こう述べている:世界で現在150の海域で規則的に酸素欠乏が起きていて、すでに衰退しかかっている魚類資源にとってさらなる脅威になっている。漁業資源の減少は、ヨーロッパでも深刻で、アイルランド海とアドリア海の一部、バルト海の数海域では、数ヶ月以上、生命が消えている。悪名たかい黒海は、最大で最も古い世界の「デッド・ゾーン」になっているが、そこでは、深さ150mに至っても、ほんのわずかのバクテリアが観察されるだけである。

 クラウス・トゥプファ、UNEPの監督官、は、こう述べている:「非能率な、過剰な農薬使用、未処理下水の放出、車と工場からの増大する排気ガスに囲まれて、人類は巨大なグローバルな結果待ちの実験に従事しているようなものだ。これらの汚染起源からの窒素とリンは、川や海岸の環境に排出されているか、または大気から放出されて、これらの恐るべき、また元に戻せない場合もある結末を引き起こしている。」アフリカの一部の地域とか、世界のいくつかの地域では、窒素不足が、食物生産の要求に答えて農夫が生産するのを困難にしている。そのような地域では、もっと多くの肥料が必要である。しかし、地球の多くの他の地域では、肥料の過剰な使用は、デッド・ゾーンの問題の増大に寄与している。デッド・ゾーンの一部は、1平方キロメートル以下であるが、他の場合では70,000平方キロメートルにもなる。多くは、ミシシッピ川や揚子江などのように、巨大な工業地域を流れる大きい川が海へ流れ出ている近くで見つけられている。それらのほとんどは、農業へ大きな補助金出している国の沖合に起きている。彼はこう述べている:「明らかな事は、この問題の起源を取り組む迅速な行動がなければ、それは急速にエスカレートしていくだろう。」

 「デッド・ゾーンは漁場にとって特に危険である。なぜなら、デッド・ゾーンは、多くの魚が孵化をして、深い海域に移動する前に、稚魚がそれらの生涯のほとんどをすごす場所である。問題は際立って酷くなって来ている。」と、UNEPNOの役員、マリオン・チィートゥル、は述べている。

 彼女は、地下水を共有する諸国に、肥料の使用を削減して窒素の放出を避ける事、また余分な窒素を吸収するために川沿いに植林をする事、を助言している。 「忍び寄ってくる死のゾーン」は1970年代以来ずっと観察されてきた。しかし、 デッドゾーンの拡大のスピードは、現在それらのメカニズムをやっと理解しはじめている科学者を、驚かせている。アジア、ラテンアメリカ、アフリカの海岸域で、酸素が欠乏している海域がもっと増えるだろうとと言う心配が大きくなっている。

 メリーランド大学のロバート・ディアス教授は、この国連報告の海に関する部分を担当したが、デッド・ゾーンが、魚の乱獲よりも魚類資源への大きな脅威になってきていると、言っている。彼はこう警告している。地球温暖化が、降雨量増加と共に、この問題を悪化させそうである。なぜなら、それは、河川から海洋への汚染された水の放出をかなり増大させるからである。同リポートは、デッドゾーンをグローバルな環境への20の最大脅威のうちの1つに挙げている。他の脅威には、砂塵も含み、土壌が劣化していくと世界全体で土の嵐が多くなって来ている。さらには、切迫するグローバルな水不足である。世界の人口の3人の1以上がこのリポートによると、次の数十年で慢性の水不足で苦しみ、基本的な衛生状態が獲得できない人達は24億を越えるだろう。

参考資料
The Guardian Weekly 20-4-0506, page 21
Outlook / Sewage and fertilisers 'are killing the seas' / John Vidal

Author:事務局 : 2004年05月20日 10:50