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2004年06月07日

■国連食糧農業機関(FAO)へ:GM作物は解決にはならない

■国連食糧農業機関(FAO)へ:GM作物は解決にはならない
  ISP( Independent Science Panel)より

 独立科学パネル(ISP)は、国連食糧農業機関(FAO)が飢餓に対するグローバルな闘いで、遺伝子組み替え(GM)作物を選択的ではあるが支持した事を批判した。FAOは、最近その年出版物、「食物と農業情勢2003-2004年をリリースした。今年は、そのテーマは、「農業生物工学:貧困のニーズを満たしているか?」であった。このリポートは農業生物工学ツールとアプリケーションの全ての範囲に触れている、しかしそれは、遺伝子転移またはGM作物さらに貧しい国の人々へのGM作物のインパクトに主に焦点を合わしている。FAOは、生物工学が万能薬ではないと認める一方で、それが、応用農業テクノロジーを生み出す新しい科学ツールとして大きな見込みがある事を主張している。そのリポートは、生物工学が、小さな、資源が貧しい農夫に恩恵を与えることができる、と主張しているが、またこう注意をのべている。「今日棚にでているテクノロジー(従来の研究と方法により生まれたもの)は、今日最も貧しい農夫のフィールドにまだ到達していない状況では、新しいバイオテクノロジーがこれからよくなるという保証はない。」

 従って、FAOはそれ自身の研究の暗黙のメッセージを無視しているようである:即ちGM作物は世界の貧しい人々にこれまで言うべき恩恵を与えてこなかった。そして、これらの傾向が貧乏人が得をするように変わるという徴候はほとんどない。このリポートが指摘するように、開発途上国と傍系の生産地域にとって重要性のある作物とアグロノミックの特徴は無視されてきた。代わりに、フォーカスは、産業的な農業により適した4つの作物(大豆、トウモロコシ、綿、カノーラ油)に向けらけていて、貧しい農夫の食物セキュリティのニーズに答えそうにはない。そして、限定的な関連性がある2つの特色(除草剤耐性と昆虫抵抗)、特に除草剤耐性は、農場労働力が豊富な開発途上国にとっては、あまり関連性がない。

 しかし、これらの4つの作物と2つの特色は、利益のほとんどを得る超国際企業によって主にコントロールされているGM産業の主力である。農業研究開発でのこの民間部門主導の投資は、GM作物に関する知的所有権(IPR)の強い保護に依存している。FAOが、GM作物研究を促進するよう強いIPR体制を発展させることを諸国家に求めているのは節操がない行為である。知的所有権の独立委員会が植物と動物のための特許保護に関しては安易な賛成ではない態度をとっている。国際貿易組織(WTO)メンバーである多くの開発途上国、特にアフリカのグループ、は、同様な懸念を表明していて、生きている有機体には特許を要求しないように要求している、多数の非政府団体、市民の社会組織、および約700人の科学者(ISPメンバーを含む)に、参集している。

 FAOは、そのリポートの結論を正当化するのため証拠を引き出すのには選択的であるようにみえるが、これらの見解を無視しているのだろうか?例えば、その報告は、公的な態度に関するセクションでは、偏った質問をしている調査に重く依存している。このセクションはこう結論づけている。開発途上国の人々は一般に農業生物工学をサポートしそうである。だがそれは、問われている質問にはリスクが言及されていなく、潜在的な利点だけしか述べられていないので、驚くにあたらない。だが、GM作物のリスクはますます明白になってきている。このFAOリポートは、メキシコでのトウモロコシの伝統種の遺伝子転移汚染には沈黙したままで納得がいかない。メキシコはトウモロコシの起源と多様性の中心地である。そのレポートには、生物多様性と食物セキュリティへのインパクトへの議論がなく、まして況や文化的慣習やな先住民伝来の慣習にはまるで言及がない。

 メイワンホゥ博士、The Institute of Science in Society (ISIS) のディレクター、ISPメンバー、は、さらなる欠陥をこう指摘している:「 FAOは、科学者達は、現在の遺伝子転移作物とその食物が食べて安全であると一般に合意していると主張している。しかし、この前提を問い質してきた科学者達は、ISPメンバーを含んで、多数いる。そして、GM食物の安全性に疑問を呈する証拠がますます増えてきている。」

 ISPのリポート、「GMなし持続可能世界の正当性」、は、GM作物の問題と危険、そして持続可能農業のすべての形の多面的利点、の科学および他の証拠の広範な検討をしている。そこで示された証拠から明らかなように、答えられていない多くの問題があることは明らかである。特にGM食物の人の健康への効果についてほとんど研究が実施されて来なかった。安全に関する信頼できるデータベースを依拠させられる出版された科学的な文献が不足している。また、独立して行なわれる研究が乏しく、深刻な心配が起きている。また、GM作物の環境および社会経済へ、特に小自作農農夫へのインパクトが増大している。

 ISPは、農業生態学・アグロエコロジー、有機農業、および持続可能農業の他の形、に道をあけるために、GM作物の環境へのリリースをグローバルに禁止することを要求した。開発途上国の多くの小自作農農夫が、GM作物に依存せずに、持続可能で、生産性が上がり、農業ができる知識、経験、および革新的な精神を持っているという証拠が大きく出てきている。これらの伝統的な農業慣習は、複雑で、多様で、リスクを含む農業に最もよく対応できる。GM作物はこれらの農民にずっと多くのリスクをもたらす。FAOは、GM作物の研究ではなく、これらの持続可能な慣行についてのより多くの研究を要求し、それらを改良して、公平にアクセスできるようにすることを要求すべきである。

 もし世界が真剣に飢えを解決する気であれば、それは、農業、とその連政策の決定を再考する事を意味する。さらに農民達自身から学びながら、伝統的な知識と科学がどう共に働くことができるかを探求することを意味する。世界の飢餓は今日ではどちらかといえば分配を妨げる経済的で政治的な諸力の結果であり、食物の供給の結果ではない。対応しなければならないのはこれらの問題と次の事である。土地、水、クレジットと市場へのアクセスを含む問題、農業の生物多様性の損失、農業と地方の開発に影響する多面的な政策に於ける不平等、が、対応されなければならない。FAOは、もし「飢えのない世界を作るのに役立つのに」本当に真剣であるのならば、GM作物ではなくて、これらの問題に焦点をあわせるるべきである。
筆者リム・リー・チン

参考資料
The Institute of Science in Society
Science Society Sustainability http://www.i-sis.org.uk
ISP Press Release 27/05/04
ISP to FAO: GM Crops Not the Answer

Author:事務局 : 2004年06月07日 11:02