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2004年06月17日

■危険なGM薬剤のISIS報告

■危険なGM薬剤のISIS報告
  警戒を欠いたバイオ・レミディエイション

警戒を欠いたバイオ・レミディエイション
 植物の中に住んでいるバクテリアは、遺伝子修正なしで、環境の汚染物質をきれいにするように改善できうる。ジョー・カミンズ教授とメイ・ワンホゥ博士が、この一見したところ有益な開発は、関係するバクテリアが、知られている病原菌であるので、危険につつまれていること、を明らかにする。

 水可溶性で非常に不安定な有機環境汚染物質、例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン化合物、塩化溶媒、ニトロトルエン爆薬残物、が清浄処置をうけている。使用するのは、植物(endophytes)の中に自然に生きている微生物とつながっている植物である。体内寄生バクテリアは寄生する植物を傷つけずにその組織内に生きている。それらはほとんどの植物の種に発見されていて、多くは脈官組織系統に群生している。このバクテリアの最も高い密度は、根の部分にみられ、茎が次で、葉部には一番少ない。植物はそれらの根を通して汚染物質を取り入れて、そしてこのバクテリアが根内や植物の他の部分でこれらを破壊している。

 この自然なプロセスは、化合物が、バクテリアがそれらを破壊するより速く植物を上がって、運ばれがちなので、能率はよくない。いったん植物の上に送られたら、植物は汚染物質を新陳代謝させて、汚染物質だけでなく代謝物の一部は有毒になりうる。例えば、トリクロロエタンは代謝されて、トリクロロ酸に変化するが、両方とも有毒である。さらに悪い場合は、その植物が葉からの蒸発を通じて、揮発性汚染物質と代謝物質が大気へ放出されていく。これは、バイオ・レメディエーション(修復)をバイオ汚染に変えてしまう。ネイチャーバイオテクノロジー誌の最近の記事は、如何にこの清浄過程を、黄色ルピナスに自然に住み着いている「Burkholderia cepacia」という内部バクテリアを加工して、改善できるか、を、報告している。ベルギーのリンバーグ大学、米国、ニューヨーク、ブルックヘブン国立研究所、の研究者達は、B.cepaciaの株種を作りだした。これは、植物内のトルエンを低下させる能力を強化して、植物が高レベルのトルエンに耐えることを可能にし、そして大気にリリースされるトルエンの量を実質的に減少させる。

 この操作されたバクテリアの株種は、カナマイシン抵抗とニッケル抵抗のためのマーカー遺伝子を持っていて、自然の内生生物から引き出されている。この内生種に通常土壌に棲んでいるB.cepaciaのもう一つの株種からとったトルエン低下プラスミドが加えられている。それは、これらの株種の間の自然な接合(細菌の再生)を通してなされている。こうして作られた新しい内生株種は、植物内に住み、植物によって取り上げられたトルエンを低下させうる。

 操作されたバクテリアを接種された植物は、接種されなかった植物よりずっとよく成長した。または、プラスミドを欠いているコントロール種、または普通土壌に棲んでいる種を接種されている。さらに印象深いのは、操作されたバクテリアを接種された植物は、大気へのトルエン蒸発をコントロールの約50%に減少させた。これは非常に将来性があるもので、研究者が指摘するように、この実験は、なにも遺伝子修正しなくても、実施しえただろう。すべてのトルエン低下酵素を含んでいるプラスミドは自然の土壌バクテリアに属していて、マーカー遺伝子なしの内生寄生ホストは、プラスミドを接合によって受け入れるように、容易に使用されえただろう。

 このように作られた非GM細菌内生寄生種は、この産業からのまさしく最初の本当に有用で、恩恵のある製品になってもさしつかえないものである。そこで、何がいけないのか?この研究論文は安全性を扱っていないのだ。植物のなかではどんな代謝物質が生成されているのか?またそれらが有毒であるのか?植物はどのように処分されていくのか?飼料のために栽培されている3種のルピナスがある、青、白、黄色である。またさらに多くの野生の種がある。野生の品種は、牛と羊にとっては非常に有毒なアルカリ性化学物質を含み、他方栽培されている種は、毒素を除去するように種子を処置する手間をかければ、家畜の食用にしてもよい。

 ルピナスはやせ地で繁栄し、飼料だけでなく、覆土植物、緑肥にもなる。さらに重要なことは、この研究リポートは、B.cepaciaが、人間に致命的な病気を起こす能力を持っている事に言及していない。カンサス、ウィチタの地下水は、化学溶媒、ジクロロエチレンとトリクロロエチレンによって汚染されているのがわかった。B.cepaciaの自然の株種を使って清浄化された。しかし、この清浄処置の後に何も特別な公衆衛生処置、または追跡処置は、実施されなかったようである。

 合衆国環境保護局(EPA)は、B.cepaciaの植物殺虫としての承認に関連する問題を考慮した事がある。なぜなら、そのバクテリアは植物害虫のために使用されただけではなく、それは、人の病気エージェントになるので、それ自体が害疫なのである。EPAは、科学報告パネル(SAP)を通して、B.cepaciaを植物殺虫物質と考え、それが人の病気と結び付けられる事を認知した。SAPのリスクアセスメントは、「Bc[B.cepacia]は日和見的な人の病原菌として挙げられることに特に注目した。しかし、予期できることだが、バイオ農薬として登録されるかまた提案された株種は、人間の患者からではなく、土壌または植物の根から隔離された。

 実際、SAPのコメントは、人の患者から分離されたB.cepacia種が、トウモロコシなどの作物の根から分離された種と本質的に区別できないと判明したので、あてにならない安心を提供しただけである。アメリカ植物疫病学会は、化学汚染を浄化し、いくつかの植物病害を克服する恩恵と一緒に、植物病害または人の病気のリスクの有益な考察を発表した。あいにくだが、B.cepaciaの「邪悪」と恩恵的な株種を明確に区別する簡単な方法はなく、そして、その両者が遺伝子を交換することを防止する方法もないのである。

 B.cepaciaは異常な遺伝構成を持っている;それは相対的に大きなDNA(E.coliの約二倍)そして、通常単一の染色体をもっている殆どの細菌とは違って、B.cepaciaは、五倍になる大きな再生要素(染色体)をもっている。そして、違った染色体は、挿入配列が豊かで、異なった種の間で広範な遺伝子交換を許し、また他の細菌種からの病気に関連する遺伝子の挿入も許容する。B.cepaciaは嚢胞性繊維症患者の突出した死亡原因であり、そのバクテリアはそのような患者を疫病規模に増大させる。そしてその疫病に関連した株種は、米国の土壌サンプルで識別された。それは、7つの別個のゲノム亜種からなっていて、その全てが人を感染させる可能性がある。そして、病気に関連した全ての亜種はトウモロコシ根圏(根のゾーン)から分離された。この病気は、病原バクテリアが土壌と植物素材から継続的に補給できるので、抑制が難しい。

 病院で貰ったB.cepacia伝染病は、糖尿病、悪性腫瘍、心不全、慢性肺障害病を持つ患者の間に出現した。そのようなB.cepaciaの一つの勃発が、集中小児科治療ユニットに出現したことがあり、B.cepacia伝染は腎臓の移植患者の間でよく見られた。異なったB.cepaciaクローンは、嚢胞性繊維症患者と違った障害を持つ患者の間では違う感染性を示した。抗生物質に抵抗力があるB.cepacia感染は、嚢胞性繊維症患者の肺移植の死亡中で最も一般的な原因であった。B.cepaciaは恐れられている感染を、その株種が抗生物質に抵抗を持つ傾向があるので、引き起こしている。種々の感染から分離されたバクテリアは、7つの試験済みのすべての抗生物質に抵抗力があるのか発見されたけれども、ハチミツによる処置には敏感であった。

 ルピナスは、限定された免疫または嚢胞性繊維症の人々に脅威を加えるのか?黄色のルピナスは、たぶん他の商業用の品種も、潜在的に病気起こすB.cepacia内生菌を含んでいるので、病院や病気に弱い人達の家にそれらが存在するのは賢明な状況ではない。このバクテリアは、その植物に触れた泥やゴミも合わせて、ちぎれた茎や花弁に直接接触する事で、感染できる;ルピナスの贈り物は致命的になるかもしれない。B cepaciaの伝染の脅威、および限定免疫しかない患者への死亡の警告に関しては、明らかに多量の文献がある。既存の証拠は以下の事を示している。この細菌の伝染は生態系から病棟区に移りうる、また生物工学において使われたB.cepacia株種が、病気抵抗に制限がある人達を感染させないことを確保する方法はないようである。

参考資料
ISIS Press Release 25/05/04
Bio-remediation Without Caution

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Author:事務局 : 2004年06月17日 11:17