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2004年09月01日

■アフリカ農業の未来と遺伝子操作作物の問題

■アフリカ農業の未来と遺伝子操作作物の問題
 アフリカがGM作物を拒絶する12の理由

 アフリカは、苦闘しているGM産業のゴミ捨て場や、疎外されている科学者のための実験場になっていく危険のなかにある。GMテクノロジーの唱導者達は、第二の緑の革命をもたらし、アフリカの飢えに解答をもたらすという、GM作物の甘いメッセージを売りつけている、だが、よく見れば、GM作物がアフリカの農業に所を得ていないことが明瞭になっている。遺伝子組み替え(GM)作物をアフリカの農業に押し付ける動きは、世界の多くの所でGM産業が足踏みをしているなかで、緩慢にはなっていない。GM産業と近いつながりを持つ組織、ネットワーク、およびロビーグループのリストは増加して、アフリカ大陸にGM農業を促進するために活動している。

 GM作物は南アフリカだけで、これまでに商業的に入手可能であったけれども、ケニア、エジプト、ブルキナファソ、また大衆が知ることもなく、監視もないセネガルとジンバブエでも、フィールドトライアルが行なわれている。少なくとも12のアフリカの国が、エジプト、ウガンダ、モロッコ、ナイジェリア、チュニジアとカメルーンを含んで、GM作物についての研究を実行している。さらに様々なアフリカの国に導入されようとするGM作物の長い列が待機中である。GM作物が食物の輸入経路で侵入したり、種子が、GM作物輸入を防止するために手段を取っている、ザンビア、アンゴラ、スーダン、ベナンなど、のような国にも密輸されている心配がある。

 要するに、アフリカは、苦闘しているGM産業のゴミ捨て場や、疎外されている科学者のための実験場になっていく危険のなかにある。GMテクノロジーの提唱者達は、第二の緑の革命としてGM作物の甘いメッセージ、と、アフリカの飢えへの解決として、売りこんでいる。しかし、現実はまったく違う。GM作物とそれが開発された状況をよく見れば、GM作物がアフリカの農業に場所を持っていないことが明瞭になっている。

 次にGMがアフリカに相応しくない12の理由がある:
1. GM作物は非GM作物を汚染する;
共同存在は可能ではないGM作物は植物であり、従って、そのようなものとして、植物は容易にはコントロールできない。花粉は風と昆虫を経て長い距離を移動する事ができる。人為的ミスや好奇心や単に規則的な農業の慣習が、種子が拡散するのに役立っている。従って、GM作物は、決して、汚染のリスクなしで同種の非GM作物との共同存在はできない。特にアフリカでは種子と農作の厳しいコントロールは現実的ではない。この汚染は小規模の農夫のためには深刻な意味合いを持っている。例えば、それは、数世紀の間これらの農夫が開発し、彼らが信頼し、知っている土着の種子を危険にさらしてしまうだろう。畑地を汚染された農夫は、自分の畑を汚染したGM作物の特許を所有している会社に特許使用料を支払うことを強制されることになってしまいかねない。

2. GM作物は企業と種子供給への依存を育てることになる
ほとんどのGM種子製造会社は、次の季節のために農夫がその種子を保留したり、それを、隣人、親族、友人と分かち合うのを禁止している。この禁止は、多国籍GM種子会社により課される入り組んだ契約、協定、および条件を通して、押し付けられている。アフリカの小規模農夫の80%以上は、次の季節のために今日自分の農場で取れた種子を蓄えている。農夫達がそうするのは、新しい種子を買う十分なお金を持っていない、また時には彼らが自分自身の種子を尊重するからである。また、種子を(隣人、親族、友人と)共有するのは、多くのアフリカの生活共同体では、文化的な軌範になっている。GM種子の導入は、これらの伝統的で必須な慣習を駄目にしていくだろう。

3. GM作物は「Terminator殺し屋」、「Traitor裏切り者」テクノロジーを導入する
TerminatorとTraitorテクノロジーは、遺伝子使用制限テクノロジー(GURTs)の2つの例である。Terminator種子は、種子が成長していく植物が不毛種子(不毛種子は、次の季節、またはどの時期でも発芽できない)を生み出すように遺伝子組み替えされている。Traitorテクノロジーは、適切に栽培するためには、一定の化学薬品を散布する必要があるGM作物を生産させるものである。これらのテクノロジーが、特に開発途上国をターゲットとにしている事、しかし、肯定的な利点を農夫に全く提供していない事に、注目することが重要である。GURTテクノロジーは、アフリカの農夫が自分の種子の供給と無いと困る高価な化学薬品で、企業にまったく依存させるように、していくだろう。これらのテクノロジーは、多国籍企業には、豊かな報酬を約束するけれども、アフリカの小規模農夫には、暗い運命を定めてしまう。

4. GM作物は化学薬品の使用を増大させる
世界で現在育てられている全GM作物の70%以上は、所定の除草剤に抵抗するために遺伝子組み替えされている。これらのGM作物を育てる農民は、GM種子を売っているまさしくその会社が売っている除草剤を使わなければならない。驚くにあたらないが、研究によれば、これらの作物は除草剤の使用を増大させている。特に、一部の雑草はその除草剤に抵抗力を発展させている。さらにまた、このGM種子は莫大な利益を多国籍企業に約束するが、アフリカの小規模農夫には増大する経費が見込まれているだけである。

5. GM作物は特許が取得されている
多国籍企業は、農業生物工学特許のほとんど100%を所有していて、さらにこれらの特許の大多数は、1握りの殺虫剤企業によってコントロールされている。これらの企業は、自分の利益に適さない研究を防止するのに特許を使い、農夫が種子で毎年特許使用料を払うようにさせ、化学薬品生産への決して終わらない依存にはめていくため特許を使用している。

6. GM作物は工業的農業システムを支持している
GM作物は、次の特徴を持つ農業のシステムのためにデザインされている。
● 大型農場:アフリカでは、人口の80%は、0.5~3エーカーの土地を持つ小規模農夫である。適切な農業テクノロジーは、小規模の農夫が自分達の農地での仕事を多様化し、強めることを手助けすべきである。
● 単作収穫一:農地の小ささ、また困難な環境条件のため、単一作物の栽培はアフリカの農業には適していない。
● 補助金:西洋の農民が高い助成金を与えられている一方、他方アフリカの農夫は補助金を貰っていなく、自分達の作物生産コストを埋め合わすことさえできない。
● 機械化:先進国での農業が高度に機械化されている一方、ほとんどのアフリカの農夫は人や動物の力に依存している。
● 外部インプットへの依存:アフリカの農夫は、遺伝子転移作物の栽培に付随するインプットの高コストを払う余裕がない。これはアフリカの緑の革命が失敗した主要な理由の1つである。

7. GM作物は有機農業、持続可能農業を脅威にさらす
アフリカの農夫のほとんどは(無作為か選択によって)有機農業を実行している。遺伝子工学は、そのような農夫に、以下に挙げる事を含み、大きな脅威を与えている:
● アフリカの多くの農夫が、バシラス-スリンジエンシス(Bt)に依存する、これは農夫が自然な殺虫剤として使うことができる土中に発見される微生物である。Btの毒素生産遺伝子は、また、常にこれらのGM作物がBt毒素を出すように遺伝子組み替えをされている。
● GM Bt作物の広範囲な栽培は、主要な作物害虫の間のBtへの抵抗の発達を促進してしまい、その為この自然にある殺虫の働きを無益にしてしまう。
● 有機農夫は混作と輪作を実行している。これらの慣行は除草剤耐性GM作物によって脅かされる。そのGM作物は、農夫が望まない雑草だけでなく、全ての植物を殺す広範囲な除草剤を用いている。
● 自然な肥沃さは有機/持続可能農業のキーファクターである。
GM作物によって促進される除草剤は、土壌の肥沃管理に必要な菌類やとバクテリアを殺してしまう。

8.要求されている生物安全システムはアフリカの国には現実的でない
アフリカの諸国は、GM作物への効果的な生物安全対策を実施するための専門技術、機器、インフラストラクチャー、立法、規制システムを持っていない。アフリカの諸国は、これらを作りあげる資金も欠いている、従って、外部からの出資を捜す必要がある。だがそれは、すでに重い対外債務の重荷をさらに増大させる事になる。GM農業の開発は、果たして、現時点で、アフリカの政府にとっての最優先事項であるべきなのか。

9. GM作物はアフリカの飢餓を減らさない
アフリカの飢えは食物の不足には起因していない;すべての人に十分な食物があるのだ。主要な問題は貧乏のため人々には乏しい購買力しかないのである。この貧困は、深いグローバルな不平等の状況下で、貿易の自由化によって悪化させられている。貿易の自由化によって、アフリカの農夫は、西欧からの多額な助成金を与えられて市場にでている農産物と直接な競争を強いられている。それは、まるで、小農夫が勝ち目のないサッカー試合をさせられているに等しいものだ。

10. GM作物は害虫問題を解決しない
GM作物は、GM植物が発する殺虫剤を含む除草剤と殺虫剤の延長され、継続される使用を促進していく。結果として、必然的に、害虫と有害な雑草が、抵抗力を発展させて、より多くの殺虫剤およびより有毒な化合物を使うことを農夫に強制していく。1つの特定の害虫をターゲットにする殺虫剤の選択的な使用によって害虫に打ち勝つことを試みる方法は、特に熱帯の農業においては、近視眼的である。なぜなら、単一の害虫を除去する事は、第二の害虫が蔓延し、後継していく余地をあたえるからである。

11. GM作物は生物多様性の気侭な破壊を促進する
アフリカの生物多様性は豊かで、複雑である。けれども、それはまたもろいものである。GM作物はエコロジカルなバランスを容易に混乱させることができて、農業や周辺の環境へ深刻な影響をもたらすことになる。

12. GM作物は人の健康への脅威である
GM作物の人の健康へのインパクトについてはほとんどなにも知られていない。広範な、独立した研究はただされてこなかった。しかし、そのリスクは、特にアフリカでは、明らかに現実である。アフリカでは、西欧では効果的にコントロールされている病気が、依然として、蔓延している。例えば、HIV/AIDSは、最初、西欧で発見されたけれども、それは現在アフリカの人口の多くを殺し、ほとんどのアフリカ人は、感染者の寿命を伸ばすことができる安い抗ウイルス薬を買う余裕がない。今日では、アフリカのすべての人は感染させられているか、あるいはその病気によって影響を受けている。

何をなすべきか?
 アフリカは、健康と環境の安全に確信がない時には進行しない事を助言する「用心原則」を適用する必要がある。アフリカの制限ある事情;効果的な生物安全対策への資源不足、およびGMについての一般大衆と特に農夫の間での自覚の不足、があるので、目下アフリカの政府が取りうる唯一の実用的で適切なポジションは、GM作物の商業化に一時中止を宣言する事である。GM作物を取り囲む、異なった社会経済学的、環境上の、さらに農事業の、諸問題に適切な研究が実施されるまでは、この立場が取られなければならない。さらには、適切な大衆との協議が実施できる十分な市民の自覚ができるまで、この立場が取られなければならない。アフリカの政府が自分自身の決定をする権利は、他の国によって尊重されるべきである。

 これは、アフリカの諸国が農業の研究を中止させる事を示唆しない。それどころか、アフリカの諸国は農業研究への投資を強化すべきである。しかし、そのような投資は農夫が進める研究をサポートしなければならず、それは、農業コミュニティを影響する個別な地元の問題に焦点を合わせなければならない。アフリカの政府とその開発パートナーが貧困と食糧不安の根源の原因に取り組むべき時がきている。これと並んで、以下の事項をサポートするため多くの事ができる:

●公正取引および改善された食品加工とマーケティングシステム、
●地域のインフラストラクチャーの改善
●農夫に有利なクレジット計画
●低価格な潅水システム、
● 食物生産と食品加工において地域農民の技術を高める地元でのトレーニング、
●放牧場の管理。

 アフリカ人だけがアフリカの問題へのアフリカの解決策を提供できる。外部者は助けることができるけれども、内部者、影響される人々、が、その仕事をしなければならない。持続可能な開発をもたらす最も良い方法は、現存の、現地の生産システムを強化することであり、他方ではGM作物のような脅威から現地の生産システムを保護していく事である。

参考資料
Twelve Reasons for Africa to Reject GM Crops
Article from Seedling Magazine (published by GRAIN).
17 August 2004
Zachary Makanya
http://www.grain.org/seedling/?id=294

Author:事務局 : 2004年09月01日 11:03