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2005年01月20日

■GM食品の挿入遺伝子はアレルギー発現性があるのか

■GM食品の挿入遺伝子はアレルギー発現性があるのか
  テストの現状と問題点を考察する

 2002年に出版されたアレルギーに関するリポートがあるが、これによれば、商業的に承認されているGM作物に組み入れられた外部からの挿入たんぱく質の安全に関しては懸念が引き起こす事が多い。オランダのワゲニンゲン(Wageningen)にある食物安全研究所(the Institute of Food Safety)の研究者達は、知られているアレルゲンにあるのと同じ短いアミノ酸遺伝子配列の存在を探す目的でGM食用作物をスクリーニングした。そしてさらにこれらの短いアミノ酸遺伝子配列が、「IgE」をバインドすることに関係しているかどうかを見つけ出す調査をした。IgEというのは、アレルギー反応で生まれる抗体のクラスである。

 研究者達は、既知のアレルギーを起こすたんぱく質と同じ、少なくて6つのアミノ酸が連続しているものを発見できるか、33の遺伝子転移されたたんぱく質をスクリーニングした。遺伝子転移たんぱく質のうちの22は、6または7つのアミノ酸の連続列で、陽性であるという結果が出てきた。これらは、すべてのBt毒素(クライたんぱく質)、グリホサート剤に耐性を与えるCP4 EPSPSとGOX、パパイヤの斑点病菌のコートたんぱく、またGUSのようなマーカーたんぱく質さえも、含んでいる。しかし、公開されて入手できるデータが制限されて少ないため、これらの内きわめて少数だけが、IgE抗体にバインドするかもしれない「リニアエピトープ(サイト)」としてやっと認できた。ほとんどの同様なアミノ酸が連続列は「間違った陽性」であるかもしれないが、研究者達は、「それらの結果は潜在的なアレルゲン性のさらなる臨床テスト」をする必要があることを強く示している、と、述べている。

 潜在的なアレルギー誘因性を見出す現在のテストはどのくらい信頼できるのか?

 潜在的なアレルゲン性は、GM作物の安全アセスメントでは主要な事柄である。多くの新しいたんぱく質がGM食用作物に導入されているので、食物として食べられる場合、それとの接触がある場合、また吸引する場合(例えば花粉として)、アレルギー反応を起こす可能性を査定できる信頼できる方法を見つけることはどうしても欠かせない課題である。問題のたんぱく質が潜在的にアレルギーを誘引するかどうかを査定する最初の段階は、その蛋白のアミノ酸列を、コンピュータデータベースにこれまでに保存されてきた既知のアレルギーを起こすたんぱく質のアミノ酸列と、入手可能な「コンピュータアルゴリズム」を利用して、比較させていく事である。

 そのような比較がされる時に、8つ以上のアミノ酸の連続列を確認する事が、「免疫学的に関連性がある」と考えられる。しかし、それより短いアミノ酸列もまた、これまで発見された事項に照らせば、関連性をもってくる。例えば、アレルギー患者から、4つや6つのアミノ酸の小さい連鎖がIgE抗体によってバインドされている事が確認されている。これらの連続的なあるいは直線的なエピトープを除いても、非連続的なエピトープが存在しているかもしれない。それは、ポリペプチドチェーンの異なった部分のアミノ酸から成っているもので、ポリペプチドチェーンが三次元的な構造で畳まれる際にそれらのアミノ酸は隣接しているかもしれない。○このように、アレルギーを起こすたんぱく質との全体的なアミノ酸の類似性、すなわち、80のアミノ酸列内の35%の類似したものは、アレルギー疑惑の対象になるものである。現在のところでは、どのアミノ酸が非連続的なエピトープを形成するのかを予測することは困難である。なぜなら私達はこのたんぱく質の三次元的な構造をまだよく知らないからである。

 前述した直線性と立体性を持つペプチドエピトープに加えて、グリカン(蛋白に繋がった炭水化物連鎖)は、アレルギーを起こす糖タンパク質にある主要なIgEのバインディングサイトである事が明らかにされた。2004年9月に発表された追跡研究おいて、新しいウエッブツールが、たんぱく質とペプチドの潜在的なアレルゲン性を予測するために使用された。それは、国際食品規格の国際会議(The Codex Alimentarius Commission)で概述されているように、FAO/WHOの専門見解の現在の推薦に従ったものである。The Codex Alimentarius委員会は、国際的な食物の基準を設定する為に、国連FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機構)によって、作られてものである。たんぱく質のアミノ酸配列が、たんぱく質データベースから回収されたすべての知られているアレルギーを起こすたんぱく質と比較された。これは、35%以上の類似性、または最低で6つのアミノ酸の小さな類似列を持つ80のアミノ酸列を識別するためである。

 アレルゲンを予測する方法の性能は、知られているアレルゲンと非アレルゲンのスクリーニング・セットによって評価される。両方のセット、は、正しい予測を出すことの他に、「間違った陽性」、と「間違った陰性」の結末を生み出だしている。「間違った陽性」の数はアレルゲン配列のより大きいデータベースが使われる時には、減少していき、他方、「間違った陰性」の数は、データベースの大きさと共に増大していく。

 「間違った陰性」、「間違った陽性」、さらに予防の必要性

 研究者達は、間違った陽性の件数が過大評価されている、と、指摘している。なぜなら、使われている『非アレルゲン』の一部は、それに対応してアレルギーを起こすものに関係があり、また類似性を示すからである。しかし、まさしくそれだからこそ、何であれ陽性として出てくるものを真剣に受け取る必要があるのである。実際、『非アレルゲン』として使われた12のたんぱく配列の内最低5つが、他の抗体のクラス、IgG、 IgM,に反応した事が報告されていて、したがって、かりにアレルギーを起こさないにしても、免疫原性があることになる。

 もう一つの警告は、研究者達によっ出されているものだが、完全に新しいグループのアレルゲンに属しているたんぱく質は、間違った陰性結果を出す傾向がる、と、いうものである。これは、普通市民の食物流通の一部ではなかった遺伝子転移たんぱく質の大多数にあてはまる。従って、これらの結果は、早期に発表された論文やFAO/WHOによって督促されているように、アレルゲン性を査定する他の方法と一緒に行われるできである。たとえば、消化性、アレルギー患者の抗血清のバインディング、さらに動物への露出テスト等である。しかし、それもまたもっと改良されるべき事く含んでいる。

 GM食物のアレルゲン性を査定することは、その植物に転移させられた遺伝子がアレルギーを起こす可能性が未知の有機体から出たものである時には、極めて困難である。また、遺伝子転移の結果または転移遺伝子DNAの挿入の結果として、新しいアレルゲンが出てくる事もある。あるいは、GM作物の中で、些細であったアレルゲンの表現が高くなってしまう事もある。遺伝子製品は、以前には低いアレルギーを起こす可能性しかなかった食物成分がアレルギーを起こす「アジュバント(補助)」効果を持つ事もある、または逆に、GM食物のある成分が、遺伝子操作製品のアレルゲン性へアジュバント効果を生じさせる事もある。

 栄養学上や毒物学上のテストには適当な動物モデルを設定できるのだが、生憎な事に、アレルゲン性の実験のためには満足できる動物モデルはこれまでに開発されていない。当面の間、未知のアレルゲン起源ソースから引き出されたGM食物のアレルギー可能性を査定するのには、間接的な方法だけしか存在していない。上述のスクリーニングテストは有益な予備的な検査のステップである。もしその結果が陽性となるならば、IgE反応の為の生体外テストが実行されなければならない。なぜならほとんどのエピトープは特に連続的ではないからである。生体外反応で陽性結果が出なくても、遺伝子転移たんぱく質がアレルゲンではないという保証にはならない。

 間接的なアプローチの樹木型モデルでは、次のステップは、以下の事を考慮する事である:分子サイズ、グリコシレーション、安定性、可溶性、さらに知られているアレルゲンに比較した遺伝子転移たんぱく質のアイソエレクガトリック・ポイント(isoelecgtric point)である。あいにくな事に、最新の殆どの研究では、消化器官での損壊に抵抗する遺伝子転移たんぱく質の非常に重要な能力が、生体外シミュレーションによる胃と腸のシステムで調査されている。そして、これは根本的に欠陥をもっている。その結果は、従って最善であっても誤解をうむものであり、最悪の場合には、虚偽である。ほとんどのアレルゲンは豊かすぎるたんぱく質であるという概念への傾斜は、また誤りをうむものである。なぜなら、例えば、「Gadc1」、タラの主要なアレルゲン、は、優勢なたんぱく質ではない。

  アレルゲン性テストの新しい、また信頼できる方法の欠如、特に適切な動物のモデルが無い状況では、新しいGM作物が、人の食物と動物の飼料の供給チェーンに放出される前に、アレルギーを起こすかどうかを決める事は現在不可能である。私達の見解では、数百万の人達が食物を消費している状況では、どのような陽性を示す結果も、意義あるものとして考えられるべきである。もっと充実したテストが今陽性とされたものが間違いで除外できると証明できるまでそうすべきである。北米や他の国では、GM食物はその実体のラベルを貼られていない。この状況は、実際にアレルギーを起こすGM食物から起きているのに、そう確認されないままで、アレルゲンの広がりをもたらしている可能性がある。

参照:
ISIS Press Release 05/01/05
Are Transgenic Proteins Allergenic?

Some two-thirds of all transgenic proteins have similarities to known
allergens. Should we worry? Drs. Mae-Wan Ho, Arpad Pusztai, Susan Bardocz and Prof. Joe Cummins tell us why we should References for this article are posted on ISIS members’ website. Details here Similarities to known allergens

Author:事務局 : 2005年01月20日 15:41