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2005年02月20日

■京都プロトコル(議定書)はいったいなんなのか

■京都プロトコル(議定書)はいったいなんなのか
  気候温暖化排気ガス削減で世界協力の第一歩・・・

 この京都で決められた事は一体何であったのか

 この数十年来で最も論争の的になった条約が、2月16日に、国際法の一部になった。それは、危険な気候変化に対する戦いの突破口になると、大きな期待を受けたものであった。その傍らで、温室効果ガスの世界最大の放出国、米国、は、これに参画する事を拒絶している。このプロトコルは、1992年の地球サミット(the Earth Summit)で話し合われた気候変化協定(the Climate Change Convention)への追加事項になるが、環境に関する最初の法的な拘束力をもつ国際条約になるものである。その会議での協定は、人造温室効果ガス排出を減らすためにそれにサインしたすべての国に義務を課したものであるけれども、なにも具体的な目標を提示していなかった。したがって、誰もがさらなる取り決めが必要であることには異論がなかった。京都の議定書は、世界の工業国のそれぞれに許される温室ガス放出量に個別な制限を与えるものである。総体的な削減量は、気候を安定させるのに必要であると科学者達が言っている削減量に比べると、ささやかである。そうなれば、京都での決定は、実際的な相違をうむものであるだろうか。京都協定のあからさまな実態を明らかにして、どう機能するのか、また、何が達成できるのかを、説明しよう。

 京都議決は何を削減するようにデザインされているのか?

 6種類の排出ガスが削減対象になっている。
 ① 二酸化炭素:化石燃料燃焼からでる二酸化炭素は気候変化の中で最大の
   要因である。
 ② メタン:メタンは農業と埋め立地から発生している
 ③ 亜酸化窒素:亜酸化窒素は車の排気ガスからでる
 ④ ヒドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbons・HFC):これは産業工程から発
   生する
 ⑤ ぺレフルオロカーボン(perfluorocarbons/PFC):これは産業工程から発生
   する
 ⑥ 六フッ化硫黄(sulphur hexafluoride):これは産業工程から発生する

 なぜ違った国は違った目標を持つようになっているのか?

 京都では1997年に、6種類のガスの排出をコントロールするために、工業国それぞれが目標について合意をした多くの苦労をかさねた会議後に、プロトコル即ち元の条約への付帯決議が協議された。これらの会議は、個々の国が自国を特別なケースと考えるので、波乱に満ちていた。従って、国によって削減責任に差異を持たせるという考えが誕生した。削減責任の最初の大きな差異は、先進工業国と開発途上国の間にある。産業革命以来最大の利益を得てきた先進工業国が、温室効果で最も非難されるべきであるという気持ちがあった。従って、削減実行の最初の順番は、米国や日本などの国からはじめるべきである事が合意された。これらの国は現在でもほとんどの化石燃料を燃やしている。34カ国の先進工業国があり、ほとんどはヨーロッパにあり、それらの目標の設定に同意した。個々の国は、それが燃やす化石燃料の容量を計算する事によって(通常は輸入量と税制を通じて)、どのくらいのCO2を放出しているかを発見する事ができる。

 米国はどんな問題を引き起こしているのか?

 この条約は、米国の一方的な主張によって直ちに行き詰まりを生じた。米国は、温室効果ガスの世界最大の放出国であるが、米国の保守系の政治家達が中心になり、このプロトコルを批准する事を上院で拒否する法案を通過させてしまった。この米国の妨害は、京都で協議された規則のもとでは、大難題を引き起こした。ガス排出の55%を出している先進工業国が自国の議会で、提案規制枠を発効させる為には、その前に批准させなければならない。米国が先進工業国のなかで温室効果ガスの36%も放出させていながら拒否する中で、他のほとんどの国は削減目標に同意していたので、プロトコルが効力を持つ前に、各国で批准をしなければならなくなった。ロシアは、米国が脱落すればこの条約は有効さを失うと考え積極性がなくなった。モスクワの合意がなくなれば、この条約は55%の達成枠に到することができなくなるだろう。だが、ロシアは、2年間にわたる遅延の後に去年の11月に批准をした。ロシアの参加で参加国のガス排出量の合計は61%になった。2月16日に法的な効力を発生させた。

 各国は削減目標へどのように向かうのか?

 一般的に京都の会議以来諸国はガス排出を減らすような努力はしているようだ。この条約の下では、各国は、毎年、国連気候変化会議(the United Nations Climate Change Convention)事務局に以下の事を報告する義務がある。①排出状況、②どのようにその目標に向かっているか、③さらにもし個々の国が排出削減目標に達していなければ、さらにどのような対策が提案できるのか。例えば、英国は、12.5%の削減に同意した。しかし、労働党政府が1997年に政権を取って以来、CO排出は増大している。政府はそれらを削減する新しい対策を考慮している。その問題の1つは、英国政府が交通量削減の約束を達成意できなかった事であり、さらに石油の値段が上がったので、発電用にこれまでより多くの石炭を燃やして排気ガスを増大させている。

 京都協定は各国に何をするように督促しているのか?

 条約国は、国内の対策の他に、ガス排出削減を減らせる3つの他の方法がある。最初の2つの方法は、ガス排出削減をするために他の国と働くことである。この方法の背後の理論は、世界の大気は、排出削減がどの国でなされようが、関係ないということである。2つの国がガス排出削減を一緒に行う事ができる2つの分野がある。もしそれらの二国が両方とも先進国であり、両方が削減をする必要があれば、それは「共同遂行計画」と呼ばれる;もし一方の国が開発途上国であるならば、それは「クリーン開発メカニズム」と呼ばれる。

 その第一の場合は、もし英国の金が、例えばポーランドで発電所をより効率的にするために使われるならば、ずっと多くのCO2を制限できる。もしこの英国の同じ金が既存の英国の既に効率的な発電所を少しよくするため使われても、その効果はあまりあがらないであろう。従って、今度の条約の下では、英国は国内のガス排出削減をしなくても、外国でもっと多量なガス排出削減をさせて、英国に割り当てられた全体の削減総量の一部に加える事が可能になる。 2番目の方法は、先進国が、後進国で石炭などの高いCO2発生させる方法への代案として開発途上国でクリーンな発電方法を設置することで削減義務を果たす事ができる。こういったケースでは、すべての炭素削減量を自国のものとして要求できるのである。 3番目の方法は炭素量買取方式(carbon trading)である。この炭素量取引計画の下では、アイルランド、ポルトガル、スペインなどのような目標高を超過させてない国は、元の共産主義者国から「余剰カーボン量」を買い取る事ができる。これらの元共産諸国は、1990年以来の重工業産業の閉鎖によって、何千トンもの排出量を余分に保存していることになっているからだ。

 京都プロトコルには強制力があるのだろうか?

 京都の取り決めは法的協定であるので、罰則がある。目標に達することに失敗する政府は、会議に出頭して、その失敗の事情を説明しなければならない。その政府は、どのようにその問題を解決すべきかを通達される屈辱を受ける事になる。もし政府がその責任を果たすのに誠実さがないと判断された場合には、プロトコルにある他国との貿易の3つの形から除外される。さらなる罰則は、今回の第一期で達成できなかった削減分が2012年以後の来期の新しい削減割り当てに加えられて、さらに1.3倍にされる事になる。

 しかしそれは本当にうまくいくのだろうか?

 京都プロトコルは第一段階だと期待されているだけである。それはさらなるガス削減の青写真と方法をたしかに提供している。究極的には米国も、中国やインドなどの開発途上国と共に、この過程に参加するような理解をもたなければならない。異常気象を救う為に十分な削減が実現させるためには米国は利己中心主義をやめて傲慢な態度をやめるべきである。世界最大の排気ガス放出国である米国が、自国の経済活動になんらの規制を受けたくないという態度は、国際連合軽視で都合のいい時だけ利用する態度、世界人権法廷への参加を拒否する態度、と、軌を一にするもので、倫理的な失墜である。だが他方世界各地で多数の市民団体、科学者達、環境保護団体、非政府団体の長い根気強い説得と努力があって、不十分だが世界的な協力の第一歩へたどりつく事に大きく貢献してきた。京都プロトコルに見える歪みは政治的妥協と経済的妥協の指跡である。世界気候の異常化防止へ地球全体で協力して取り組むには長い道のりが待っている。

参照:
What is this Kyoto thing all about?
Paul Brown explains what you really need to know about the protocol

The Guardian Weekly 2005-02-11, page 21

Author:事務局 : 2005年02月20日 16:02