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2005年05月30日

■世界的に問題になっている子供達の行動障害は、栄養摂取の問題であるという研究が発表される

■世界的に問題になっている子供達の行動障害は、
  栄養摂取の問題であるという研究が発表される

 食事が子供達の学習破綻への鍵を持っているかもしれない

 新しい研究が、栄養摂取と多くの行動学習障害の間の関連を
 確立する調査報告:フェリシティ・ローレンス

 オックスフォード大学生理学部の失読症クリニックで診察受けるには、約4ヶ月も待つ事が必要である。ジョシュア君の番がやっとやって来た。彼は8歳で、賢く、行儀もよく、ちゃんとやっていって。だが、彼の小学校の活動的な特用教師(special needs teacher)は、ジョシュア君が、ある領域で、彼の能力にも関わらず、達成度が低く、彼が失読症に罹っているのかもしれないと、気が付いた。診療室は小さな部屋だが、ここに研究治療をするスー・ファウラーがいる。彼女は視覚生理学で博士号を持っている。彼女は彼の視界をチェックするために、簡単な用具を使用している。このクリニックでの検診は無料で行われている。資金出資は短期で、それで全てを間に合わせの施設でやりくりしているようである。彼女は、フォーク状の長い棒の先端部をジョシュア君の顔に近づけて構えている。彼がその棒の全長を見るのに目を下にさげなければならないように構えている。その先に小さい箱があり、黒い点が付いている。彼女が棒の上のボックスを彼の顔に近づけていくが、彼は、箱の唯一の黒い点が何時二つにダブって見えるかを彼女に言はなければならない。それは直ぐに二重に見えてくる。

 「彼の目は視界の収斂に問題がある。彼の目は別々に働いていて、二重になって物をみている。この事は、彼が読もうとする時、文字がぼけて見えて、文字が跳びはねている事になる。」と、ファウラーは言う。彼女は彼に青い眼鏡を渡す。台湾製で1ドルである。この眼鏡をかけると直ぐに見る状況がよくなる。「magnocellular」 視神経経路は、脳が動きや事物が在るところ、を、感知する経路である。他方「parvocellular」 経路は、脳が詳細や色、また物がなんであるか、を、感知する経路である。我々は、どのようにこの2つの経路が相互作用するのか、または、どのように「色」が働くかについてはまだほとんどわかっていない。ジョシュア君の症状を治療するのは簡単であるが、その背後にある神経科学は大変複雑である。

 この研究は脳の研究の最先端である。オックスフォード大学の科学者達は、彼等が診た子供達の約2/3が目の動きのコントロールと視界感覚に問題がある、と見積もっている。この事は、脳の(magnocellular≒大型細胞の)経路に問題が生じている事を示唆している。この内約三分の一が別のロウテクによる治癒方の適用で改善できる。魚油での栄養補助である。必須脂肪酸のオメガ3シリーズの高い含有物である。これは、脳の構造とマグノセルラー経路にとっては欠かせないものであるが、ほとんどの現代の食事には欠けているものである。

 ジョン・スタイン、生理学教授、は、オックスフォードの研究所に、脳の研究者達を結集させた。彼等の脳の研究は、自由意志という概念自体を覆しそうになっている。彼等は一連の実験で、失読症、統合運動障害、注意欠落・異常活発障害(ADHD)等が、簡単な栄養補足によって劇的に改善される事を発見した。彼等の研究は子供の個性と行動の生物学的な基礎を探求したものだが、そこでの発見事項が、我々の罪と罰に関する本を書き直す必要があるかもしれないことを示唆している。実際に、気分、行動、意図達成は、脳が適切に機能するのに正しい種類の栄養分を充分に摂取したかどうかに左右される事を実証している。この事は、人間が誰であれ、犯罪者から行動不適性を示す子供まで含めて、自分の行動を実際コントロールできるのかに疑念を投げかけている。

 この生理学部の最新研究が、先週スタインの同僚、アレクサンドラ・リチャードソン、によって公表された。彼女は、ダラム郡の主要な学校の正常な能力がある100人以上の子供達を対象に研究した。この子供達は、成績が思わしくなく、運動統合不調症(dyspraxic)ではないかと疑われていた。その症状は、体を動かす事で統合がうまくいかないか、あるいは運動能力に問題を持っていることを指している。ある場合には、その子供達はまた妨害や混乱をおこす(disruptive)事にもなる。子供達はいったんそう評定されたら、2グループに分割されて、無作為な、二重盲検法、プラシーボ(ウソ)薬投与、でコント%は、読む事と、文字の綴り、に、劇的な進歩があった。彼等は平均でちょうど3ヶ月で9ヶ月間以上かかる進歩を示した。

 この実験コントロールグループは丁度3ヶ月間で正常な進歩を見せた実験グループの子供の誰もADHDに罹っていると診断されてはいなかったけれども、三分の一はこのカテゴリーに入れるのに十分な問題を持っている事がわかった。だが彼等は魚油を与えられると、その半数の子供達は大きな改善を見せて、注意欠如だと考えられなくなった。これは、子供に処方されるリタリン薬のような神経刺激薬剤に対応できる変化であった。この生のデータは、子供を治療してもらった両親の多くが見せた興奮と安堵感を伝えてはいない。3ヶ月後に、この実験コントロールグループはプラシーボ薬から積極的な栄養補助に切り換えていった。そして同様な飛躍的な進歩を示した。ダイエットの必須脂肪不足が脳機能に与える生理学上のメカニズムは、ずっと明らかになってきている。脳は、水を別にして、必須脂肪によって構成されている。例えば、オメガ3必須脂肪酸DHAは、脳と網膜のシナプスの接合点と信号システムに集中している。もう一つのオメガ3脂肪酸、EPAはまた、細胞の信号のために不可欠である。

 これらの必須脂肪酸は体内で合成されないで、ダイエットで摂取されなければならないのでそう呼ばれている。魚がその最善の資源である。木の実、種子、広葉野菜もそれらを提供する。現代の産業用加工は私達の食物から必須オメガ3脂肪酸の多くを奪ってしまう。それらはとても不安定で、消えやすいからである。水素化脂肪もまたオメガ3を払拭させてしまう。私達のダイエットでもこれらの変化が起きるので、一連の身体不調がよく起きる事になって不安を生んでいる。人口の最高20%に、失読症、統合運動障害、ADHD、自閉症性範囲の障害が起きている可能性が証拠から言える。これらの状況は、実のところ、ほとんど、完全な自閉症、精神分裂症、躁鬱病等のもっと厳しい精神障害と重なるところがある傾向や特徴の説明的な呼称にすぎないのである。しかし、これらの症状の多くへの私達のアプローチは、まだ薬学や心理学的な治療にとらわれたままである。リチャードソンはこう述べている:「食物は行動に作用する、だが、現在は、栄養摂取は軽視されるか、無視されたままである。子供の場合もそうである。子供達のニーズが教育システムのなかでは明らかに満たされていないのである。しかし、ダイエットに注意を払うならば、本当に大きな違い生む事ができるのです。」

参照:
Science / Diet may hold key to disruption / New research establishes a link between nutrition and the management of many behavioural and learning disorders. Felicity Lawrence investigates

The Guardian Weekly 2005-05-13, page 23

Author:事務局 : 2005年05月30日 10:20