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2005年07月05日

■米国狂牛病検査事情と牧場主達の実感~連邦政府機関の監視体制へ疑義が出ている

■米国狂牛病検査事情と牧場主達の実感~連邦政府機関の監視体制へ疑義が出ている
    テキサス、ヒューストン・クロニクル紙より

 狂牛病が米国農務省(USDA)の役割を問うている

 USDAが(狂牛病の牛を否定した)一つの誤診を出して、連邦政府の狂牛病への対処の仕方に疑問が挙がって、世界が警戒心を高めている。しかし、米国農務省の問題は試験室のレベルを遥かに越えている。米国農務省のこの怖い脳障害病をスクリーニングする努力は、広範囲な混乱、矛盾する規制優先事項、および農場へのコントロール不足によって、障害だらけである。批判者達は、また、米国農務省が、国内の公衆衛生を保護するよりも、外国に牛肉を売ることにもっと興味があるのではないか、と、疑っている。

 狂牛病を追跡する自発的なプログラムは、国の大農場経営者の協力に依存している。だが、疑わしい牛について政府に注意をうながすことは、大農場経営者の全体の牛を困難な状況に置くことになる。マーク・ヤーン、48歳、は、ファミリー牧場で牛75頭をヨークタウンの近くで飼っているのだが、こう述べている:「私達は岩と岩盤の間に本当に挟まっているようなものです。人々は正しい事をしたいのだけれども、一方では、パニックがらみで、感染牛を持っていると認定される事を恐れているのです。」

 USDAは、狂牛病としてよく知られている牛脳海綿劣化神経症を警戒するために、拡張監視プログラムを、米国で最初の発病発見6ヶ月後に、2004年6月に、実施させた。この対策の目的は、最大危機に瀕している牛を識別し、その病気のテストをし、それらが人の食物連鎖に入らないことを保証する事である。以前には、USDAは毎年この病気で20000頭の牛をテストしていた。過去13ヶ月間に、監督官達は、約400000頭をテストした、と、USDAスポークスマン、ジム・ロジャーズ、は、言った。ロジャーズはさらに、このスクリーニングの増大に加え、監視体制に全体的な変革があった、と、述べた。

 新しい規制の下では、最も疑惑が強い牛、ダウナーと呼ばれる牛、即ち、独自歩行不能牛、あるいは中枢神経系の障害を見せる牛、は、国の屠殺場への持込を禁止されている。屠殺場では人用の食物が処理されているからだ。その代わりに、それらの牛は、加工(レンダー)工場に送られてもよい、そこでは、ペット用餌、化粧品、ペイント、他の製品を作るために、病気や死んだ牛が使用されている。監督官達は、テストされるべき動物がそこにくれば、そこの役員が政府へ通知してくれることに頼っている。

 無作為テストの要求

 このプログラムは、12か月から18か月の期間の一時的なものであると考えられている。今春早くに監視体制を緩める話が出ていた。次にはUSDAは、テキサスの牛に狂牛病がないと11月に宣言したのは誤っていたという事を恥じをかきながら認めなければならなかった。英国の研究所は、この牛が、狂牛病の米国で2番目のケースであると確認した。ロジャーズはこう言った。今や、USDAの役員達は、高められた監視プログラムがどのくらい続くのか言うことができない。農務長官、マイク・ヨハンス、は、先週
記者達にこう話した:「誰も、ダウナー牛の禁止を止める決定をしてはいない。」

 何人かの批判者達は、もっとランダムなテストをする事を要求している。つまるところ、2002年のヨーロッパでのスクリーニング検査は、一見元気な290頭の牛が狂牛病を抱えていることを発見した。これは、農業省監察官フィリス・フォングのオフィスによって出された2004年8月のリポートによって確認されたものである。しかし、そのような牛へのテストの手順は問題を含んでいる。仮に狂牛病の早い段階を表している100匹の牛がテストされたとしても、ほんの8頭だけしか狂牛病へ陽性である事を見せないであろう、と、その報告書は留意している。農業省監察官フィリス・フォングは、USDAに、テキサス雌牛の新しいテストを実施するように命じた時に、先月一般大衆の注目を引きつけた。フォングは数週前までは実際未知の人であった。しかし、フォングは、インタビューを拒絶しているのだが、かなりの期間狂牛病への予防手段を強化するように、USDAへずっと要求していたのである。

 割れ目からこぼれていく

 去年、最初の狂牛病発病からほんの二ヶ月後、また強化監視プログラム発足ほぼ4ヶ月前に、フォングは進展する狂牛病のコントロールを点検するため為、検査官達を派遣した。その調査官達は、牛が中枢神経系障害か、恐水病かの兆候を示しているが、テストされていない牛を発見した。恐水病は、狂牛病と同様な行動になって現れるものである。1頭のそんな疑惑がある牛が、サンアンジェロの加工プラントに送られている。プラントの役員と監督官達はその牛が中枢神経系障害かあるいは小麦中毒の症状を示しているのか一連の議論をした。

 この牛はより進んだ調査をしないままに処分された。USDAの批判者達にとっては、そのような誤ったステップは、狂牛病の発病をなくす監督官達の真剣さについて疑問を呈している。結局、USDAは、公衆衛生を保護するだけではなく、外国に米国の農産物を促進させる、二重の至上命令を抱えている。さらに、カンザス州立大学での研究によれば、最初の狂牛病の発見で、牛産業界は輸出で47億ドルもの損害が出ている。ワシントンに本拠がある「食物安全センター」は、USDAと畜産業界の間にある「回転ドア」と彼等が見なしている自在な関係について不満を述べている。同センターのスポークスマン、クレイグ・カルブは、こう述べた。「我々が狂牛に取り組んでいるのに、公衆衛生は第二で、産業界の利益が第一になっているのだ。」

 監督機関を再編成する

 政府の本拠では、共和党員、ローザ・デラウロ、と、上院議員リチャード・ダービン、イリノイ州民主党員、は、改革法案を導入させている。それは監督諸機関を再編成して、USDA動植物検疫所と食品医薬品局センターを、新しい食物機関にして一つ屋根に統合するものである。USDAの役員達は、一般大衆を保護するために、すでに最善をつくしていると反論している。

 ジョン・クリフォード、USDA動植物検疫所主任獣医、は、先週こう述べている:「私達の食物供給の安全性には問題はない。私は私達の連結しあっている予防対策が効果的であることを大いに確信しています。」フォングのオフィスはもう一つの現行の懸念を挙げている:即ち、農場で死ぬ牛の確認とテストをする事での困難さである。死んだ牛を自発的に報告する大農場経営者は、監督官達が、その牛を狂牛病についてテストにかける事を知っている。そしてこれは、ジレンマを生む事になる。

 牧場主達は自分の他の牛を潜在的に破滅的な疫病から守りたい気持ちがある一方で、もし狂牛病のケースが確認されるならば、牛全体を処分されてしまうリスクを冒す事を知っている。そして、牧場主達は、どのように政府の監督官を避けるかも知っている:古い格言が言うように、「射殺して、埋めて、黙ってろ」である。

 無料輸送の申し出

 大牧場経営者はその上兵站的な難題にも直面している。ジョン・ロッキィ、モンタナ州牧場主協会会長は、「町からはずっと離れてやっているんだよ。」と述べている。例えば彼の組織のメンバーの1人は、獣医がいる所から80マイル離れていて、死んだ牛やそのサンプルを輸送するのが難しくなる。牧場主達は、倒れた牛を運んでいたけれども、経費が上昇してしまい、値打ちのない牛のため、長い旅行をするのはもう割りに合わなくなってきている。現在では、一頭拾い上げてくるのに、25ドルから50ドルまで要求するものもいる、と、トム・コック、全国牧場主協会会長、は、述べている。USDAの役員は、死んだ牛をテストされる施設加工工場に無料で輸送すると申し出て、これらの障害を克服しようとしている。どれくらいの牧場経営者が政府のその申し出に応じるかはまだわからない。

 USDA役員は、このプログラムの下でテストされた400000頭の牛の何頭が牧場で死んだのかを、知らない。ウェスリー・ラトクリフ、60歳、は、オークウッドの彼の牧場で700頭の牛を飼っている。「私は、死んだ牛は埋めている。」と、ラトクリフは述べた。しかし、ラトクリフは、狂牛病になっていると彼が疑っている牛を報告する気持ちは持っている、と、述べた。「私のインセンティヴは、私は(狂牛病の牛が)これ以上出ないのを確実にする事です。私は牛肉人口を駄目にしたくないのです。」

参照:
HoustonChronicle.com - Mad cow disease puts role of USDA in question
July 3, 2005, 1:45PM

Mad cow puts role of USDA in question
Critics say that the agency lacks controls and puts the beef
industry ahead of public
By DAVID IVANOVICH and PURVA PATEL
Copyright 2005 Houston Chronicle
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david.ivanovich@chron.com
purva.patel@chron.com
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Houston Chronicle e-Edition

Author:事務局 : 2005年07月05日 11:02