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2005年07月08日

■産業型現代農業の問題点と課題(1)~ロンドン国際会議「Making the World Sustainable」への基調講演から

■産業型現代農業の問題点と課題(1)
  ロンドン国際会議「Making the World Sustainable」への基調講演から

 ロンドン国際会議「世界をサステナブルにする」
  メイ・ワンホウ博士 ロンドン大学、キングズコレッジ
 エネルギー不足世界での食の保全
  アイルランド、ダブリン、ユニヴァーシティ・コレッジでの基調講演より

要約:
  自然資源の過剰開発に基づいた「環境バブル経済」が数十年支配して、地球温暖化、環境劣化、水とオイルの枯渇、を加速させ、そして食物の収穫量を下降させ、世界の食物保全は脅威にさらされている。また「いつものようなビジネス/business as sual」のシナリオの下では、改善の見込みは見えないままである。それにもかかわらず、私達の食物システムを持続可能にする豊富な知識があり、それは、 それは食物セキュリティと全ての人に健康を提供するだけではなく、 温室効果ガス放出を防止し、新しい炭素貯蔵と吸収源を産み出して、地球温暖化を和らげることができる。既にある知識を実施させない最大の障害は、支配的経済モデルで、それはすでに、やり放題で、不均衡な成長で、現実テストに失敗してしまったものである。私は、支配的成長モデルの代わりに、内部インプットを最大化することに基づく非常に生産的な「統合農業システム」を提示したい。それは持続可能な有機的成長の理論を明らかにするものである。

 世界の穀物生産高は、2000年から2003年まで連続4年間、下落している。かたや地球各地の温度が上昇し、穀物貯蔵はこの30年間[1]で最小になった。この状況は2004年の『バンパー』大収穫にもかかわらず改善されず、世界の消費量をやっと満たすだけのものだった。世界の食糧のエキスパート達はこう予告している:地球温暖化は食物生産へさらにひどい損害を与える事はたしかで、「以前の最も陰鬱な予測をさえも」[2]上回るであろう。中国、インド、フィリピン、合衆国からの作物科学者の国際的なチームは、収穫量が成長期の夜間温度が摂氏1度あがるごとに10パーセント下がると報告していた。[3]

 気候変化(IPCC)に関する政府間パネルは、今世紀中に地球の平均的な温度が摂氏1.4から5.8度まで上がるだろうと2001年に予測した。[4]2003年に、ロンドンの英国学院会議は、IPCCモデルは、気候変化の急速な性質を把握できていなく、それは数十年または数年内で[5]起こるだろうと我々に通告していた。2005年1月に、英国のオックスフォード大学に基づくグループは、摂氏1.9から11.5度までのより大きな温度上昇を予測している。その際は大気の二酸化炭素レベルが、現在では100万あたり379パーツを示しているが、今世紀中に100万あたり280パーツの前産業レベルを二倍にするだろう[6]。

 「地球政策研究所」のレスターブラウン、は、天然資源の持続不可能な搾取に築かれた「環境バブル経済」は、当然崩壊[7]するようになっている、と、述べている。私達の食物プロダクションシステムを持続可能に変える責務は「戦争時」のスピードで対処されなければならない。彼は環境バブル経済の結末をこう要約くしている [8]:「崩壊している漁業、縮小する森林、拡大する砂漠、上昇するCO2レベル、侵食される土地、高くなる温度、枯渇する地下水、溶けている氷河、悪化していく草地、水位が上がる海、干上がっていく河川、絶滅していく種、中国、インド、合衆国のような、世界の主要食物生産地域の非常に多くの地域において、重厚潅水を含む従来型農業の実施方法は、地下水[7と8]を空にして深刻な状況になっている。
 同時に、世界のオイル生産はその頂点[9]を超えてしまっているのかもしれない;オイル価格は、2005年4月4日に、1バレル58米ドルの最高値記録をだし、2年[10]以内で100米ドルを超える事が予期されている。これは、オイルと水に重く依存する従来型産業式農業が待ち受けている災害を明らかにしている。私達の現在の食物生産システムは緑革命の高インプット農業の遺産であり、農民を[11と12]犠牲にしている多国籍農業関連ビジネス企業に役立っている農業政策により、さらに悪化させられて、促進さている。その真実のコストはあまりにも明白になってきている。(情報ボックス1を参照)。

 基本情報ボックス1

 産業式食物生産システムの真のコスト

○1, 000トンの水が1トンの穀物を生産するために消費されている
○ 10エネルギーユニットが私達の食卓の食物各Ⅰエネルギーユニットに対し使われている
○ 最高1,000のエネルギーユニットが、加工食品の各Ⅰエネルギーユニットに対し使われている
○ 合衆国での全エネルギー使用の17%が食物生産と輸送に使われていて、米国内の全輸送の20%以上を占めている;だが、これは輸入と輸出に使われるエネルギーを除く
○ 12.5エネルギーユニットが1,000航空マイル毎に輸送される食物の各1エネルギーに対し浪費されている
○現行のEUとWTO農業政策は、食品の輸送距離を最大化させているので、あきれた「食物入れ替え"food swaps"」を結果として生じさせている
○ 世界全体で出るCO2の25%、CH4の60%、N2Oの60%までが、現在の農業から来ている
○納税者のお金の3,180億ドルは、2002年でOECD緒国の農業に助成金を与えるために使われている、他方開発途上国の20億人以上の貧困農夫は、1日あたり2ドルで生き抜こうとしている
○ 農業補助金の約90%は、輸出食物を栽培している企業と大規模農夫に役立っている;他方米国では毎週500の家族ぐるみ農場が閉鎖している
○開発途上国に投出される助成金を受けた余剰食物は、大規模な貧乏、飢え、ホームレスを生み出している (続く)

参照:
The Institute of Science in Society
Science Society Sustainability http://www.i-sis.org.uk
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press-release@i-sis.org.uk ISIS Director m.w.ho@i- sis.org.uk
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ISIS Press Release 29/06/05
Making the World Sustainable
Mae-Wan Ho
Biophysics Group, Dept. of Pharmacy, King’s College, Franklin-Wilkins
Bldg.
Institute of Science in Society, PO Box 32097, London NW1 0XR, UK
E-mail: m.w.ho@i- sis.org.uk

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sis.org.uk/MTWS.php

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Author:事務局 : 2005年07月08日 11:05