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2005年07月13日

■産業型現代農業の問題点と課題(2)~ロンドン国際会議「Making the World Sustainable」への基調講演から

■産業型現代農業の問題点と課題(2)
  ロンドン国際会議「Making the World Sustainable」への基調講演から

 ロンドン国際会議「世界をサステナブルにする」
 メイ・ワンホウ博士 ロンドン大学、キングズコレッジ

 エネルギー不足世界での食の保全

 アイルランド、ダブリン、ユニヴァーシティ・コレッジでの基調講演より

 万人の為の持続可能な食物プロダクションシステムの恩恵

 我々の食物生産を持続可能にする事は、人類のため最も緊急な課題である。それは、また皆を健康にして、地球温暖化を緩和し、地球を破壊的な奪取から救うことでもある。グスタフ・ベスト、FAO、農業シニアエネルギーコーディネーター、が、指摘したうに、農業は、気候変化の影響を満身受けていて、農業が温室効果ガスを直接生んでいる。しかし農業は適切に行われれば、気候変化を和らげるために大いに貢献できる。持続可能な食物システムの恩恵はだんだん明白になって来ている(参照情報ボックス2)。エネルギー使用を減らし、私達の食物システムのエネルギー効率を上げる事ができる。さらには農業排出物を利用し、生産性を上げ、豊かな肥料に転換させる事を通じて、エネルギーを取り出す大きな機会になるのである。これはまた同時に、温室効果ガス排出を減少させ、他方炭素ストックとシンクを増大させるものである。

 基本情報ボックス2

 持続可能な食物プロダクションシステムの利点

○ 低インプット/有機農業に切り換えることによって、二倍から七倍のエネルギー節約になる。

○ 有機的に管理された土壌の炭素隔離によって、5%から15%までのグローバルな化石燃料排出を相殺できる。

○窒素肥料を段階的に一トン毎に削減すると、5.3トンから7.6トンまでの二酸化炭素排出を削減できる。1ヘクタールあたり258トンまでの炭素を、熱帯農業森林に蓄える事ができる。それはさらに一年Ⅰヘクタールごとに、6トンの炭素隔離を可能にする。

○ バイオガス・ダイジェストター(消化装置)はエネルギーを提供し、農業から出る排泄・排出物を、ゼロ入力で、豊かな肥料に換え。ゼロ出力農場に転換できる。

○ ネパールで、農業排出物からバイオガスを獲得して、年ごとに62万5000トンの二酸化炭素排出を防止している。

○ エチオピアでは堆肥を使って収穫量を二、三倍に増大し、化学肥料より優った力を出している。

○ 米国での有機農業は、従来の産業型農業と比肩できる、あるいは凌駕する生産高を上げている。これは  特に干ばつの時に顕著である。

○ ヨーロッパでの有機農場は、従来型の農場よりも、より多くの鳥、チョウ、かぶと虫、こうもり、野生の花を養っている。

○有機食品は、従来食物に比べ、より多くのビタミン、ミネラル、他の微量養素、多い酸化防止要素、を、含んでいる。

○ 米国とカナダ全体の1 000以上のコミュニティがサポートする農場は、年あたり3,600万ドルの収入を農場に直接もたらしている

○ 5千万から7千8百万ポンドの金が、英国の約200の地域で確立している市場で商っている農夫のポケットに直接入っている。

○ 食物を地域の農民の市場で買うことは、スーパーマーケットチェーンで食物を買うよりは、2倍多く地域の経済のために貢献する。

○お金が地域の供給者のために使われれば、地域外の供給者に使うより、4倍の価値を生む。

 現在の支配的なモデルは持続できない

 万人へ食物セキュリティと健康を与え、しかも地球温暖化をかなり減少させる、豊富な知識が既に存在している。あいにく、私達の選出された代表者達は、バブル経済を最初に生んだネオリベラル経済モデルに圧倒的に身を縛られている。彼等は、構造的な政策変更をする知恵と政治的な意志を欠いていて、既にある豊かな知識を実施できないのだ。The Institute of Science in Society (ISIS) とThe Independent Science Panel (ISP)が、「持続可能世界グローバル・イニシアティヴ」を始めたのはそのためである。それは、様々な学問を超えて科学者が結集する機会をあたえるものである。私達の食物システムを持続可能にする求めに応じ、市民社会のすべてのセクターが協力するためである。

 私達は、今年度末までには、総合的な報告を作り出す事を目指している。それは、万人へ持続可能な食物システムを実行するため必要な既存の知識の土台を提示するものである。合わせて、それに必要な社会経済学的また政治学的な施策及び構造的な変革を提示する予定である。この発足会議は英国議事堂で2005年7月14日に開催される(http://www.indsp.org/SustainableWorld2ndAnnouncement.php)。今支配している経済モデルは、競争と無限な成長を美化している、それは地球の天然資源の最も浪費的で、破壊的な奪取を引き起こし、農地を荒廃させ、数十億の人々を貧困に追い詰めている。「国際食物政策研究所」の研究によれば次の事が明らかにされている:毎年土地浸食のため、世界中で1000万ヘクタールの農耕地が放棄されている。またさらに1000万ヘクタールが、灌水や不適切な排水方法の結果で、塩化が起きて、危機的な損害を出している。

 これは、全農耕地の1.3パーセント以上が毎年消失している事になる。そして、その失われた農耕地を補う事が、いま世界中で起きている大量森林伐採の60%を占めている。森林を伐採してなくす事は、大気へ重要な炭素保留を放出し、重要な炭素ストックとシンクを利用資源(ソース)に変えてしまう。ある計測によれば、第2熱帯森林の全炭素ストックを、1ヘクタールあたり418トンCと同じ大きさがあると見ている。これは土壌の有機炭素を含み、炭素が毎年1ヘクタールあたり5トンCで隔離されている。このような土地利用の変化は、グローバルな総温室効果ガス排出の14%を起こしている。「世界健康組織」は、30億以上の人々が栄養不良であると見積もっている。カロリー、たんぱく質、鉄、ヨウ素、ビタミンA、B、C、Dを欠いている。その内、8億5000万の人々が飢餓(蛋白エネルギー失調)で苦しんでいる。

 飢餓の主要な原因は貧乏である。開発途上国の約10億8000万の貧しい人々が、1日あたり1ドル以下で暮らしている;この内7億9800万は慢性的に空腹である。支配経済モデルへの続行する関与が持続可能な食物システム実行への最大の障害である。この支配モデルが現実の試練に目を覆うほどひどく失敗しているのは明らかである。草の根大衆が持続可能な食物システムを実行し、成功さしている報告はすでに多くある。(一部後略)

参照:
The Institute of Science in Society
Science Society Sustainability http://www.i-sis.org.uk
General Enquiries sam@i-sis.org.uk Website/Mailing List
press-release@i-sis.org.uk ISIS Director m.w.ho@i- sis.org.uk
UNSUBSCRIBE HERE

ISIS Press Release 29/06/05
Making the World Sustainable
Mae-Wan Ho
Biophysics Group, Dept. of Pharmacy, King’s College, Franklin-WilkinsBldg.

Plenary lecture at Food Security in An Energy-Scarce World international conference, 23- 25 June 2005, University College, Dublin, Ireland.
A fuller version with references and figures are posted on ISIS Members’website. Details here

Author:事務局 : 2005年07月13日 11:07