« ■米国、ヴァージニア州で海鳥の多数が死に続けている | メイン | ■中国鳥インフルエンザ政府発表と研究グループとの相克 »

2005年07月19日

■世界の主要医学専門誌は製薬会社からの利益に溺れて、道義性を喪失してしまっている

■世界の主要医学専門誌は製薬会社からの利益に溺れて、道義性を喪失してしまっている
  「英国医学ジャーナル(BMJ)」の前編集者の告発

医学専門ジャーナルは非倫理的であると、英国医学誌の元編集者が語る倫理の問題

 リチャード・スミスは、医学ジャーナルが科学論文を出版してお金を得る方法は、道徳に反する、と、考えている。彼はまた、医学専門誌は、製薬会社のマーケティングの手段にすぎなくなってしまっていると、言う。それは誰が言ったにしても、厳しい話である--しかし、これがスミス氏の口からでると、その厳しさはいっそう顕著になる。なぜなら、彼は、去年の夏に辞職するまで、25年間英国医学ジャーナルのエディターであったからだ。スミスは出版の倫理についての本を目下書いている。彼は問題になると考える出来事のリストを作りはじめた。それは、論文の出版が倫理的な問題をおこしたものである。例えば、MMR(measles, mumps and rubella vaccination)、即ち、「はしか」と「おたふく風邪」と「風疹」の混合ワクチンが自閉症に関連があるという主張があった場合である。さらには、1990年の欠陥がある研究である。それは、ブリストルの癌ヘルプセンターに行った女性も癌で死亡して、行かなかった女性との間に違いがなかった事を示唆していた。スミスはこう述べている:「私がそういった事を考え始めた時、私の心は不安で煩わされてきたのです。私は、いつも、医学ジャーナリズムは真理についての事ではないとは判っていました。私は、その事を1年に最低1回は書こうとした。それは一部には科学自体の性質によるものである--科学が対処しているのは仮の真実の事例(provisional truths)についてである。」

 彼はさらに言う。 「だが私に浮かんだ別の考えは、元の研究を医師に送るというこの全体のビジネスが、クレイジーであるという事です。普通の医師と話すと分かる事ですが、彼等は科学者ではない。それなのに、私達はこの多数の複雑な情報を彼等に送っているのですが、彼等のほとんどは、その情報を批判的に評価する力を持っていません。彼等には時間がないのです。」そして、次には、出版される研究の妥当性の問題がある。英国医学ジャーナルは、ランセット、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン、アメリカ医学協会ジャーナル、と、共に、世界で最も尊重されている全体的な医学ジャーナルの1つである。これらの専門誌は論文を送り出し、論文の作者と同じ分野の学者達による同業者の論評(レヴュー)を求めている。このプロセスが発表論文に医学界での一種の正当性や、認定の証を与える事になっている。しかし、スミスや他のジャーナルの編纂者達はこの事に幻滅を感じるようになってきた。彼はこう言う。「同業者のレヴューは、非常に欠陥がある慣習である。それは遅い、高価な、宝くじみたいなもので、濫用と偏見に陥りがちである。大抵の場合それは間違いを指摘する事は在りません。」

 インターネットが出てくる前は、科学論文はジャーナルの形で出版されなければならなかった。だが今では、ジャーナルは、不道徳な収益を上げている事を放棄すべきである、と、彼は信じている。その代わりに、すべての研究論文は1つの大きな自由なデータベースで公表され、全ての人々がアクセスできるように、されるべきである、と、彼は述べる。スミスは「フリーアクセス・オンライン科学公立図書」の理事会に参画している。このシナリオの最大の問題は資金である。科学ジャーナルは、科学論文の増刷から、宣伝収入よりも、多くの金を得ている。製薬会社は最も有名なジャーナルに彼等の薬の実験論文を掲載させるように努力する。それはジャーナルの権威が販売を高めるからである。ジャーナルには大きな稼ぎになり、そのお金に依存するようになっている。彼の新しい動きが成功すると、ジャーナルの一部は破産するだろう、だが、スミスは、それを悼む人はいない、と思っている。

 だとすれば、BMJのようなジャーナルに何らかの必要性はあるのだろうか。スミスはそこで彼のキャリアのほとんどを費やしてきた。彼はこう述べている:「おお、何てことだ。私は人生を無駄にしてしまった、とは考えなかったです。私は、医学ジャーナルが何をしているか、また何の役に立っているかを、考える時、私はそれは新聞でも同じだと思います。医学ジャーナルは、課題を設定することを得意にしています。医学ジャーナルはこう言えるだろう:『ここに私達がとても重要だと考える問題がある。私達は、実際の世界で起きていることを変える方法を見つけたい』」スミスは、今世界を変える、異論が出るかもしれないが、もっと実用的な道を選んだ。それはBMJの編集者の椅子を引き払って、「健康ヨ-ロッパ連合」の理事長のポストを選んだ事である。その目的には、英国の国民医療制度が、医療を行うより効果的な方法を見つけることがある。しかし、彼は、BMJを編集することは好きだったが、去った事を後悔しないし、戻りたくもない事、を強く主張する。1世紀の4分の1が経った後では、変革の時期なのである。

参照:
Science / Medical journals are immoral, a former BMJ editor tells Sarah Boseley / A question of ethics Medical journals are immoral, a former BMJ editor tells Sarah Boseley
A question of ethics

The Guardian Weekly 2005-07-08, page 19

Author:事務局 : 2005年07月19日 11:17