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2005年09月20日

■北極海氷の消失が持続し今年は最高の氷解になる

■北極海氷の消失が持続し今年は最高の氷解になる
(コロラド大学米国氷雪データセンターの長期調査発表)

回復不能な危機的限界を超えて、極地の気候調整機能が壊れ、
さらなる気象の大変動が予想される

地球温暖化は「もう戻れない点」を過ぎている

 北極の海氷の記録的な消失を見て科学者達は、北半球の気候が、決して後戻りできない危機的な枠を超えてしまったという確信を持つようになっている。科学者達の恐れは、北極は今やもう戻れない温暖化の局面に入ってしまい、数千年間気候を安定させてきた北極海氷の消失を加速させてしまうだろうというものである。科学者達は、地球温暖化が北極の氷をとても急速に溶かしているので、北極は太陽からずっと多くの熱を吸収しはじめていて、さらに氷を解かせて、氷解と暖化の悪循環を起こしている、と、信じている。最大の恐怖は、北極が、「分かれ目の点」に達したという事である。そこを超えると、海氷の継続的な消失を逆転できなく、それと共に、巨大な氷河の陸地であるグリーンランドが解けて消え、さらには海の高さを劇的に上げてしまう。北極を監視している衛星は、北極海の氷の範囲が、八月に記録的な月間最低点に達した事を発見した。それは、未曽有の長期平均値を18.2パーセントも下降させたものだった。
 コロラド大学の米国雪氷データセンターの北極専門家達、は、1978年以来極地の海氷の徐々な消失を記録してきたのだが、約4年前以来ドラマチックな融解が始まったと信じている。2002年9月に、北極海の氷に覆われている面積が歴史的な最低レベルに達した。そのような氷の消失は通常では翌年により多くの氷結がおきてはね返りがあるのだけれども、これは2003年または2004の夏には起きなかった。今年の夏はいっそう悪かった。海の氷に覆われた表面積は、夏月の6月、7月、そして8月で、それぞれ記録的に最小である。
 科学者達は、夏では最低範囲になる9月の最新衛星データを例年分析しているが、北極海氷の安定に際立った変異が出ている事を発表する準備をしている。北極海氷の安定は、気候の極端な傾向を調節する北半球の主要な「ヒートシンク」である。マーク・セレズ、北極海氷監視雪と氷データセンターの一人、は、「過去数十年間北極で私達が見た変化はどれも際立っている」と言った。このデータセンターの科学者達は2005年の最小数値データを緊張して待っている。この最小数値は9月半ばに達することが予期されている。これは更なる記録破りなるだろうと予測されている。マーク・セレズ、はこう述べている:「その数字は超えそうです。でなくても、いずれにしろ厳しいものになるでしょう。これはずっと連続して下降傾向をみせてきた9月の四番目になるでしょう。我々の感じでは、海氷は復元できない変更点か入り口に達しかかっているのです」
 9月の海氷の範囲は、環境的な「健康状況」を示す最も貴重な指標である。今年の記録的な氷解は以下の事を示す。多くの冬を経て出来た長期氷が、歴史に記録されたどの時期よりも最も多く消えてしまっている。海氷は、北極海とその近くの海の表面に浮かんでいて、9月間には約700万平方キロメートルの面積を覆っている。これはほぼオーストラリアの面積にあたる。しかし、2002年の9月に、これが約200万平方マイルまでに縮減した。これは平均値を16パーセント下回っている。8月の海氷データは9月の数字を密接に反映していて、月平均を18.2パーセント低い最低記録になっている。この9月が、北極海氷が最小面積しか覆わない記録的な数値になるだろう。だんだん多くの海氷が夏の間に解けていくにつれて、だんだん大きな海面が太陽にさらされ、熱が北極地域に吸収される割合が大きくなっていく、と、セレズ博士は述べている。
 海の氷は、注いで来る太陽光の80パーセントまでを反射する。しかしこの「アルベド効果」は、海が氷で覆われていない場合は、ほとんど失われる。「我々はこの暗い海を全部太陽の光に曝してしまって、全体の熱容量が増大している」と、彼は説明している。ケンブリッジ大学の北極氷専門家、ピーター・ワドハム教授はこう述べている:「現在のコンピュータモデルは、北極が2070年までには全く氷が無くなってしまう事を示している。しかし一部の科学者達は、この恐るべき予測でさえも楽天的過ぎるかもしれないと思っている。氷がそんなに薄くなってしまえば、氷は、熱力学的ではなく、機械的に壊れていくのです。従って、これらの予告は楽天的過ぎる立場であると言ってもさしつかえないのです」
 同教授はさらに言った:「海の氷が溶けるにつれて、より多くの太陽エネルギーが、露出された海洋により吸収されていくと、積極的なフィードバックが作成されて、いっそう多くの氷の損失を引き起こしている。なにかがあるとすれば、私達はこの危険を過小評価しているのかもしれない。コンピュータモデルは協合的な積極的フィードバックを考慮に入れていないのかもしれないのです。海の氷は寒冷な水に覆いをかけて、冷気を保持し、熱くなることから海を保護している。北極海の氷を失う事は、気候への大反動をおこす事になりそうです。陸地と同じ効果を持っていた氷陸が以前あった所に、覆いが無い広い海が出現する事によって、北半球の気候に劇的な変化があるかもしれない。実質的には陸地を海に変えてしまい、昔陸地があった所に莫大な開けた海洋を産み出す事は、他の気候要件にも非常に大きなインパクトを持つだろう」

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Author:事務局 : 2005年09月20日 10:01