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2006年01月18日

■米国の食用農業と燃料農業事情

 世界の石油資源の限界と原油価格高騰の中で、
 農業作物の燃料需要が上がり食用作物への影響が現れている

アイオワ州スーセンター:毎年冬初期にアイオワ州の農夫は、次年に世界がどのくらいの食物を要求してくるか予想して、いくエイカーのトウモロコシ、また大豆を植えるかを、決める事にしている。しかし、今年はいつもと違う。決定を動かすのは食物への需要だけではなく、トウモロコシから作られるエタノールへの需要が加わっている。いくつかの地域では、公害防止法に従うために、少量のエタノールがガソリンに混合される事が要求されている。高い石油の価格がトウモロコシの価格を引き上げている。エタノールの代替燃料価値がおしあげられて、価格が押上げられている。

トウモロコシと大豆を合わせて2400エーカー、または970ヘクタールを耕作しているジェラルド・デン・ヘルダー氏は、「私達はトウモロコシの方にずっと傾いています」、と、言った。ヘルダー氏は、2001年遅くにここにエタノール・プラントを開設した「スーランド・エネルギー畜産協同組合」の取締役会に席を持っている。昨年、[トウモロコシ]1ブッシェルは2ドルで販売されていたけれども、プラントの近くでは、それは約10セント高くなっていた。農民達は、もし石油価格が高いのが続けば、トウモロコシが高くなる事を期待している。エタノールは、前年の1ドルから昨年1ガロン1.75ドルに、または1リットルあたり46セント値上がりしている。上昇するトウモロコシの価格は農民にはよいニュースであるかもしれない。しかし、彼等は一部の食物政策企画者と共に警鐘を鳴らしている。

レスター・ブラウン、ワシントンの農業専門家、また地球政策研究所の所長、は、こう述べている「私達はスーパーマーケットを街角のガソリンスタンドと農作物をめぐって競争させているのです。農民は世界の全ての人々に食物を提供し、さらに彼等の自動車の燃料も供給する事はできない。その結末は多くの人々が飢える事になるだろう。他の人達はこう言う:ポテトチップとデニッシュペストリーを含む、トウモロコシを成分にしているすべての物の価格が上がるだろう。しかし、ロバート・ブラウン、アイオワ州の機械工学教授、また農業エンジニアリング専門家、は、こう述べている:非食品目的のためにトウモロコシを使用する事は、実際よりひどい事に聞こえる。

彼はこう言った:「その印象は、私達が食物を赤ん坊の口から奪っているようである」実のところ、アイオワで育てられたトウモロコシは、農場動物への飼料に供給されるか、または加工食品のためにコーン・シロップを作るために使用されている。そして、バーニー・パント、スーランド・プラント事業部長はこう述べている:「実際は思われているほどそれは大きな損失にはなっていない。この燃料プラントで終わりに出てくるトウモロコシの残余物は、動物飼料に使われている。農場をベースした燃料へのグローバルなシフトは、石油需要を削減し、気候変化を緩慢にできるだろう。しかし、レスター・ブラウンは、世界の飢餓への影響について心配していて、同意する人も多くいる。20年間に及び、国際食物政策研究所、ワシントンの非営利グループ、は、食物の供給を予測するために、コンピュータモデルを編み出してきた、それは、人口変化、農業政策、および他のファクターに基づいたものである。

現在まで、この研究所の分析は、石油と天然ガスの値段を含んでいたが、それは肥料作り、トラクターの運転、また食物を市場に輸送する経費を生産費の要素だけとして考えていた。しかし、昨年ヨアヒム・フォン・ブラウン、研究所ディレクター、は、ブラジルとインドに行きその考えを変えた。両国は、植物から車の燃料を作っている。彼は農作物から摂るエネルギー需要を考慮して、エコノミスト達に、予測モデルを変えるように告げた。農作物の小さな利用転向でさえ、大きな効果を生みだす、とブラウン氏は言っている。「車の口の方が、家族の胃のニーズに比べて、怪物的である。私は、多少の食物価格の高まりだけではなく、新しい不安定を予期する。未来にはエネルギー価格の不安定は食物価格の不安定になって現れてくるだろう」

グスタボ・ベスト、国連食糧農業機関エネルギーコーディネーター、は、こう述べている:エネルギーのために作物を栽培する事は、世界中の小規模農夫に新しい機会を提供し、また地域の貧しい村落に道路の開発やインフラストラクチャーへの出資を生むだろう。しかし確かな事は、この競争が食物セキュリティと食物の入手可能性に打撃をあたえる危険がある」何人かのエキスパート達はトウモロコシ不足になるという考えを問題にしていない。他の専門家達は、作物不足の可能性が、少なくともある程度、あると言っている。ウェンディ・ウインタースティーン、アイオワ州立大学農業部部長はこう述べている:「早くもこの夏に、州の地区に、トウモロコシ不足と言える所が出てくるだろう。エタノール用プラントだけでなく家畜飼料用にも十分なトウモロコシがないからだ。アイオワ州でこれは想像しづらい事ではある」

エキスパート達は、結局はアメリカのトウモロコシ輸出は下降するだろうと、言っている。米国農務省チーフ・エコノミスト、キース・コリンズ、は、こう述べている:全国的にはエネルギーへのトウモロコシの使用は、農民にそれを増産させ、小麦と綿の生産は下がる事になるだろう。しかし、合衆国政府は、農民に、トウモロコシの価格を下げないために、3500万エーカーに作物を育てさせないように援助金を払っている。その土地の多くが生産に戻ることができるだろう。エキスパートが言うことでは変化が進行中である。作物の価格と石油価格が強く結びつくだろう。エタノールの生産プラントは増加してきている。

アイオワ州ではは現在19のエタノール・プラントがある、年末までには27箇所になるだろう、と、アイオワ再生燃料協会前会長のパント氏は言う。スーランド・エネルギー畜産協同組合は、2005年にエタノール価格で600万ドルの利益を上げた、と、デン・ハーダー氏は述べている。アメリカのトウモロコシ栽培地帯の多くの農民は、広大な量の燃料のため燃料作物を育てる能力を持っていると言っている。もう一つのバイオ燃料は大豆から作られたディーゼル代用燃料である。大豆はそれでも牛飼料のため約80パーセントが残される。

全国バイオ・ディーゼル・ボードの常務取締役のジョウ・ジョウブ、はこう予言している「ディーゼル代用燃料としての大豆オイルへの更なる需要が、大豆生産を上げさせ、価格を押し下げて、牛の飼料が安くなるだろう。私は歴史的な移行が進行中であると思います。エネルギー用に多くを生産せず食物用には少なく生産する事でなく、両方のためにもっと多くを育てる事です。

Author:事務局 : 2006年01月18日 16:16