« ■米国の食用農業と燃料農業事情 | メイン | ■北京鳥インフルエンザ対策国際会議報告 »

2006年01月20日

■地球温暖化と森林の関与について

 死んだ有機体からだけではなく、生きている植物もメタンガスを放出しているという発見が
 発表されて、世界の科学者が驚愕している。地球温暖化と森林の関与が論じられる

物は長い間地球温暖化の効果の発生者ではなく犠牲者で、有害な温暖化ガスを削減させてくれるものと考えられてきた。しかし科学者達は、生きている植物が問題の一部であることを発見して驚愕している。先週発表された研究によると、生きている植物は、地球の大気に入るメタンのほとんどの3分の1を放出しているようである。この結果は気候科学者達にはショックであった。気候変化監視組織ハドリーセンターのリチャード・ベッツ博士は、こう述べている「これは心底から驚愕する結果である。どのように植物が気候と相互作用しているかを理解する重要な新しい知識を与えてくれる」メタンは、地球温室効果に、二酸化炭素の次に、寄与している。ベッツ博士はこう言う:「所与の量のメタンだけで言えば、それはより強い温室効果ガスである。それに懸念が少ない理由は、大気にはそれが少ないからである」しかし、大気のメタンの集中は、過去150年間において3倍になった。それは主に米栽培や反芻動物数の増大のような人に影響されたいわゆる「バイオジェニック・生命活動による」起源によるものである。以前の見積りによると、これらの起源は、世界年間メタン生産量6億トンのうちの2/3を占めている。

この研究チームを導いているマックスプランク研究所原子物理学のフランク・ケップラーはこう見積もっている:生きている植物は1年あたり6千から2億4千トンのメタンを放出している。これは彼が実施した熱帯地域が最も大きな部分を占めている実験に依拠している。ニュージーランド水と大気圏調査国立研究所のデイビッド・ローは、科学誌ネイチャに発表されたこの研究は2つの理由で重要であると言った。彼は発表された論文に付随する文書でこう述べている:「第一に、彼等が記録したメタン放出は通常の物理的な条件のもとで起きている、酸素の存在があり、それが無酸素環境での細菌の活動によるものではないもの、という事である。第二は、推測された排出量が大きく、地球の大気に入るメタンの年総量の10~30%を占める事である」 Yadvinder Malhi、オックスフォード大学の植物と気候の関係の専門家、は、こう述べている:メタンの植物源泉が看過されてきた理由は科学者達がメタンが大気を循環する状況をよく理解していなかったからだ。メタンのさまざまなソースとシンクがあり、それらの面で莫大なエラーバーがある。不確定であった事は、メタンが何処からきて、何処にいくのかという事であった。メタンは、二酸化炭素と違って、ずっと動的である。それは大気に10年ほども持続している」

生物活動によって発生するメタンは、酸素なしの環境において分解する有機素材から来ると伝統的に仮定されてきた。しかし、ケップラー博士は、植物が通常な、酸素が豊かな環境でさえメタンガスを放つ事を発見した:それは死んだ植物素材より10倍から1000倍まで多いメタンを放出している。植物が太陽にさらされている時には、メタン生産率が増大する。ケップラー博士はこう述べている:「今まですべての教科書は、酸素不在においてのみ、生物活動によるメタンが生み出されると教えていた。その簡単な理由で、誰もこれを密接に見てこなかった」この発見は、温室効果ガスと環境の間の複雑な関係にさらなる光を当てている。ベッツ博士はこう述べる:「もしグローバルな平均的温度の予測を求めているならば、それは大きな違いは生じさせないであろう。しかし、現在の化石燃料排出に対照して、再植林または森林伐採を正確に定量化する事がどれほど複雑な事であるかを示している」

気候科学者にとっては、この研究は環境において説明がつかなかった事をいくつかを明らかにしてくれる。マーリ博士はこう言う:「大気中のメタン増加の割合は最近10年間において速度を落としてきている、そしてこれが進行している理由を本当に納得させる説明はなかった。この論文は熱帯の森林伐採がその1要素であるかもしれないと論じている」植物がメタンを発生させるという事実は、森林を植林する事が悪いアイデアである事を意味しない。マーリ博士はこう言う:「以前木が無かった所に一本木を植えることは、多くの炭素をロックアップする。この[新しい研究]はこの全体的な恩恵を微量減少させるだろう」

Author:事務局 : 2006年01月20日 10:51