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2006年04月21日

■米国がパンデミック(広域悪疫勃発)に備え国家緊急体制案を用意する

この緊急事態対応法案は、この数十年来最も危険な鳥インフルエンザ菌株H5N1が台頭するなか最悪シナリオでは210万人のアメリカ人が死亡し18ヶ月に及ぶ危機に対し、どのように政府が疫病勃発を検出し、対応し、機能を続けていくかを詳細に記述した最初の試みである。

どんな共同体も、準備せずに、連邦政府が救助に来る事をあてにしていたら、
それは間違いで悲劇的な結末になるだろう」との警告で結ばれている

インフルエンザパンデミックへの米国の計画が明らかになる政府複数機関によるこの提案はブッシュの承認を待つばかりである                     ワシントン・ポスト:2006年4月16日

ブッシュ大統領は、全国的な悪疫インフルエンザ流行対応計画を是認することになるだろう。それは、連邦政府の多くの機関が300以上の具体的な仕事を確認するものになる。その仕事には、前線にあたるどの労働者が最初の予防接種を受けるか、また市民の家庭のコンピュター利用が洪水的になる状況でインターネット能力を拡大させる事を含むだろう。米国財務省はもし米国の貨幣が有効でない場合、外国が通貨を出してくれる協定にサインする用意ができている。米国国防省は、極東から必需品を取得する困難さを予期していて、数百万の衛生テックス手袋を備蓄することを考慮している。そして、退役軍人局は、感染が疑われている患者を迅速に査定する、ドライブスルー医学検査を開発している。インフルエンザパンデミックの場合、退役軍人局が、去年秋に実施した予防接種プログラムと同様なドライブスルーテストを設置することを予期している。

今回の文書は、どのように政府が疫病の勃発を検出し、対応し、最悪のケースシナリオでは190万人のアメリカ人を殺すことになる18ヶ月に及ぶ危機に対し機能を続けていくかを詳細に記述した最初の試みである。ブッシュは3月17日にこの実行計画の草稿について教育説明を受けている。彼が一週間以内にこの計画を是認する予定である。その計画書は内容が発展し続けていると、それに取り組んでいる行政管理担当は述べている。ホワイトハウスは、先のハリケーン・カタリーナ災害救援失敗の批判から立ち直りかけようとしているが、大変な疫病の勃発がおきても医学、セキュリティ、経済的な問題に対処できるという事を示したがっている。ホワイトハウスの官吏達は、連邦政府機関に提出された糾問に呼応して、240ページになるこの危機対応計画書の最終バージョンに対し教育的な指導を出している。この計画書が公表される時には、政府官吏は、過去数十年間で衰退している産業界を急発進させるためワクチン製造契約の予定も発表するつもりである。

背景説明と政府内や政府外のエキスパート達とのインタビュー記録を読めば、高致死性の疫病勃発の準備では一部の機関がずっと遅れている事が、明らかになる。他の機関はまだ基本的な問題を解決しなければならない。例えば、誰が必須従業員に指定されるべきか、またもしその人が任務を離れるならば、その機関はどのように対処すべきなのか。マイケル・オスタホルム、ミネソタ大学、伝染病研究政策センターディレクター、は、こう述べている:「連邦政府のほとんどは、今は、社会のどのような部分とも同じで、よい準備ができていない。行政担当は進歩しているけれども、世界的な12から18ヶ月に及ぶ大災害にたいしては、どこも準備が整っているとはいえない」

多くの危機を左右する決定がまだ残っている。行政部にいる科学者達は、鳥インフルエンザの新菌株に対して免疫を与えるためにはどのくらいのワクチンが必要であるかを討論している。行政部の科学者達は、TamifluやRelenzaなどの抗ウイルス薬に誰に優先権を持たせるかの戦略を変更させる場合のデータを査定している。ある上級官吏の言では、全米科学アカデミー議事録に公表された新しい分析は以下の示唆をしている:現在計画されている最初に応じる人や保健関係勤務者に医薬を与える代わりに、徴候があるすべての人と同じ家族の他の人に薬を与えるほうがより賢明であるかもしれない。

このアプローチを取れば、「私達がその戦略でいけば、コミュニティが病気や死者の数を減らす力に現実的な希望がでる」と、ホワイトハウスの官吏が述べた。毎年季節のインフルエンザのため約36000人のアメリカ人が死んでいる。ウイルスの強力な新しい、高伝染性の菌株が出現すれば、世界的な勃発、パンデミックが起きるだろう。それは、誰もが受けやすいものだから、動物のインフルエンザよりずっと大きな脅威を生むだろう。そしてワクチンを開発するには6ヶ月もかかるだろう。1918のパンデミック・インフルエンザは20世紀最悪のもので、世界全体で、5000万以上の人々を殺したと見積もられている。数十年で最も危険な菌株--H5N1鳥インフルエンザ、が出現しているので、警告の声が高まっている。それは当初では鳥を襲ってきたけれども、世界中で」約200人がこの疫病に罹り、その半分が死んでいる。エキスパート達は、これがパンデミックになれば、深刻さと対策しだいだが、210万から190万のアメリカ人を殺すことができるだろう、と、予想している。

パンデミックが起きた場合、180万人の連邦政府の勤務者が健康で生産的に仕事が続けられるように、ブッシュ政権は、備蓄医薬品の利用、大きな集会の中止、学校の閉鎖督促、航空管制官を忙しい空港へ移動させる事、を行うだろう。引退した連邦政府職員は、仕事に戻る事を要請されるだろう。州兵軍は、ありうる「暴動」に対応するため都市に派遣されるだろう、と、ジェフリ・ルンゲ、国土セキュリティ省の主任医務官、は、述べた。行政部は、医療チームと支援品を急速派遣する事で、海外で起きたパンデミックの最初の勃発を制圧する援助をする。ルンゲ氏はこう言った:「もしある国で小さい勃発があれば、その火花を踏み消すために旅行制限を導入することが必要になるだろう」

「しかし、効果的な抑制努力をしても、その後に起きる疫病勃発を回避できずに、たんに延期させるだけになるだろう。あいにくだが、私達はそれを海外で制圧する事はできずに、山火事は燃え続けるでしょう。それは多数の地点から米国の岸に到着するでしょう」と、米国防総省の(force health preparedness and readiness=強制健康準備と用意)代理次官、エレン・P・エンブレイ、は、述べた。前公衆衛生局次官のスーザン・ブルーメンタール、は、こう述べている:「カトリーナ災害で明らかになったように、中心問題は、「誰が最終的な責任者で、各機関がどのように一致協力していくのか」である。保健福祉省が医学面ではリードするけれども、国土セキュリティ省が全体的な権限を持つだろう。いかにそれらの機関が合同していくのか」

根本的には大統領が責任をとるだろう、と、ホワイトハウスの役員は述べた。ブッシュが、カトリーナ後の反省から出た推薦事項を採用する事が予期されている。それは新しい「省間タスク・フォース」が連邦の対応とハイレベル災害対応グループを協力させて、機関や州の間の紛争を解決させるというものである。いずれの組織もまだ作り出されていない。「政府責任釈明オフィス」のアナリスト達は、政府による初期の災害への立案努力はあまりに大まか過ぎて、棚にのったままになっている、と、評している

リンダ・クーンツ、GAO情報管理問題ディレクターは、こう述べている:「私達の最大の懸念は、エージェンシーがどんな事があっても何を絶対にしなければいけないのか、明確な考えをもっているかどうか、である。一部の機関は三つの機能を持っていて、また他の一部は400の必須の機能を持っている。私達は400の機能が本当に必須なのかどうかについて疑義を出した。いくつかのケースでは、あるエージェンシーは緊急プランのトレーニングを受けた事もなく、演習をした事もなく、災害が起きた時の不安が増大している。人々は500ページのガイドブックを前にして座り込む事になるだろう」連邦政府--また私的な企業--も、その労働力の40パーセントが、パンデミックの際には、外に出て行くことを期待すべきである、と、ブルース・ゲラン、HHS全国ワクチンプログラムオフィスの所長、は、述べた。一部の人は病気になったり、または死んでいるだろう。他の一部の人達は気を落としたり、または身内の人達の世話をしたり、あるいはウイルスの拡大を防止するため家にいるだろう。問題はどの40パーセントが外に出て活動できるのかが、決してわからない事である」

農務省は、首都のワシントンだけで400万平方フィートのオフィススペースがあり、交代勤務にして、カフェテリアを閉鎖して、顔を突き合せる集会を止めさせるだろう、と、行政部現場秘書次官のピーター・トーマスは言った。農務省は、マスク、グラブ、手清浄薬を購入済みで、特別看護婦を雇用している。また一時的に再雇用できる退職職員のリストを作成している。24時間雇員ホットラインは医療アドバイスを提供し、情報アップデートを実施している。そして、カトリーナ災害中にしたように、農務省は、総計60万人になるいくつかの連邦部門の給与支払に対応できる危機対策を持っている。同様に、商務省はその8つのプライオリティ機能を確認していて、緊急事態通信周波数を割り当てる能力を含み、それらがどのようにその正常なスタッフの60パーセントで実施できるかを確認している。

退役軍人局・VAは、米国で最大の健康ケア組織を動かしていて、その153の病院に、他の医薬品、器具、機器、食物、水を貯蔵するように命じている、と主任公衆保健官のローレンス・デイトン、は、述べた。「しかし、それは数日分で、何ヶ月も続くものではない」と、彼は付言した。VAは、一部の看護婦が家で家族を世話する事を予期して--また病院に押しかける患者の数を減らすために--一部の看護婦をフリーダイヤルのホットラインに置き、ベテランがプロフェッショナルな医療が必要であるかどうかを決めることを手助けさせる。多くのVA病院では、看護婦と医師が、温度計とラップトップ・コンピュータで武装して、ドライブスルーの試験をするため駐車場で待機しているだろう。

デイトンはこう言った:去年秋に成功したドライブスルー予防接種プログラムにモデルを取って、この駐車場の選別作戦は、患者の流れが速く移動する事を意図している。連邦政府計画の多くは医薬品とワクチンを迅速に配布する事に依存している。戦略的国家資材はタミフル・Tamiflu薬の510万のコースを持っている。目標は今年末までに2100万分のタミフルと400万分のレレンザを確保して、2008年末までには総計5100万分を確保する事である。

さらに、政府は州が支払った反ウイルスコストの4分の1を負担するだろう。米国国防総省、VA、USDA、運輸省は、独自の備蓄資材を持っている--そして、ほとんどの組織は、入手可能になれば資材の買い入れをさらにするつもりである。ブルー・メンタール、前公衆衛生局次官、は、議会が56億ドルの新しい薬とワクチンを開発する「バイオシールドプログラム」を承認したのに、何故ほとんど進捗がなかったのかを糾問している。

国土セキュリティのルンゲ氏には違った以下の懸念がある:「仮にこの国が疫病突発の6ヶ月以内にワクチンを首尾よく開発したとして、または、ウイルス抑制薬の供給が増大したとしても、最も恐ろしい考えの1つは、合衆国内でそれを求める恐慌が起こる事である」そして、たとえそれらの恐慌状態が具体化しなくても、役員達はこう警告している:連邦政府の準備には限度がある。多くは、各州、コミュニティ、また個人にさえ、依存するものである。HHS秘書マイク・リービットは4月10日の演説でこう言った:「どんな共同体も、準備せずに、連邦政府が救助に来ることをあてにしていたら、間違いで悲劇的な結末になるだろう」政府は以下のインターネットのサイトhttp://www.pandemicflu.gov/で情報を公開している

Author:事務局 : 2006年04月21日 09:32