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2006年05月16日

■抗菌石鹸・洗剤類に含まれる殺菌薬物の環境汚染問題

米国では年数十億ポンドの下水処理汚泥が出て、その三分の二が処分のため農業用地に投棄されている。ジョンホプキンズ大学の研究によると、その下水汚泥に残留する約200トンの殺菌薬物、「トリクロカルバン(triclocarban)」と「トリクロサン(triclosan)」、が、毎年全国の農地に散布されている。トリクロサンは水の中で塩素と反応して、癌と関連があるクロロホルムとダイオキシンに変化していく可能性がる。これらの化学薬品は生態系に有益な微生物も死滅させ、さらに抗生物質に抵抗できる新しい病原菌を発生促進させるかもしれない

抗菌石鹸洗剤中の殺菌薬物に見られる脅威
その薬物は下水処理された汚泥に残留し、その汚泥が米国全土の農地に散布されている

ほとんどの家庭の浴室と台所で使用されている抗菌呼称石鹸にある何トンもの薬物が環境に放出されている。だがどの政府機関も水道水や食物にそれらの薬物を規制する為の監視をしていない。排水管に人々が流す強力なバクテリアを殺す化学薬品の約75%は、下水処理施設の処理でも生き残り、そのほとんどは、ジョンホプキンズ大学の研究によると、農場の畑地で散布される汚泥に残っている。毎年、この研究によれば、約200トンの薬物、トリクロカーボン(triclocarban)とトリクロサン(triclosan)、が、全国の農地に散布されている。この発見は、「環境科学・テクノロジー」誌に先週発表された研究に出ているが、多くの科学者の不安を深めている。環境保護局は数千種の薬剤と消費者製品の化学薬品が下水道に流されて、環境に放出されるのを監視すべきだと要求している。

2,000年以来、食器洗い石鹸からまな板まで、この2つの化学薬品を含んでいる約1500の新しい抗菌性呼称消費製品が、市場に導入されている。一部のエキスパート達が、そのような製品の広範な使用が、危険な細菌を、抗生物質に抵抗力がある「スーパーバッグ」に変える事を心配している。ジョーンズホプキンズ大学環境健康科学部のロルフ・ハルデン助教授はこの研究を主導しているが、こう述べている:「トリクロカルバン」、石鹸と練り歯みがきの抗菌成分、は、「潜在的に問題がある」。なぜならそれはゆっくり分解するので、土壌に累積していき、さらには水に累積していく。

ハルデンはこう言った:「私達が発見している事では、この化学薬品が環境に累積してきている。これは今出現してきている染物の例である。それは約50年間環境に存在してきている、さらに私達はそれを大量に製造しているけれども、私達は、それがどうなっているのかは知らない」科学者達は以下の計算をしている:現代的なイースト・コーストにある下水処理プラントは、毎年農場の畑地に1トン以上のトリクロカルバンを含んでいる汚泥を散布している。そのプラントの名前は研究者達によって識別されていなかったけれども、その研究のデータからそれがボルチモアにある事を示している。

南カリフォルニアの汚泥は抗菌性化学薬品の分析はされていなかい。しかし、ロサンゼルス地域の家庭は主要な汚染源であるだろう。なぜなら、この地域の下水プラント(複数)は毎年数十万トンの汚泥を生み出しているからである。汚泥(スラッジ)は、下水処理場で下水が処理された後に残される固形廃棄物である。米国では毎年数十億ポンドの汚泥が出ている。一人あたり47ポンドで、その三分の二が処分のため農業の畑地に投棄されている。連邦政府の規正法は、汚泥中の金属と病原菌は制限しているが、他の化学薬品は規制されていない。トリクロカルバンは石鹸、防臭剤、練歯みがき、まな板や調理台などのキッチン用品、および赤ん坊のおもちゃ、に使用されている。トリクロサンは、液体石鹸に使われているので、ずっと多量に使用されているが、ヨーロッパでは、母乳と河川の魚に検出されている。

毒物学テストでは、これらの薬物は人間への露出に、皮膚にたいして多量使用しても、安全であるようだと示していた。しかし、水の中において、トリクロサンは塩素と反応して、癌と関連があるクロロホルムとダイオキシンに変化していく可能性がある。これらの化学薬品は生態系に有益な微生物も抹殺させるかもしれない、そして抗生物質に抵抗する新しい病原菌を増進させるかもしれない。ミシガン大学公共衛生学部疫学助教授のアリソン・E・アイエロ、は、抗菌性石けんを研究対象にしているが、今回の新しいリポートを、「環境でこれらのタイプの化学薬品が固執残留して、拡大していることを提示している」重要な発見だと呼んでいる。同助教授はこう述べている:「これらの発見事項から見て、環境中の微生物が多様な濃度のこれらの化学薬品に暴露されているようである。次のステップは、これらの微生物が抗生物質に対し耐性減少を示すかどうかを査定することである」

ハルデンによる以前の研究は以下の事を示していた:トリクロカルバンは、水路のトップにある10の汚染物に入っている。他方トリクロサンは、「米国地質学調査」による河川の全国的な分析では、最も普及していた。だが誰もこれらの化学薬品が作物または地下水を汚染しているのかどうかを知らない。飲料水もまたそれらの薬物では監視されていない。米国環境保護局・EPAは環境中への薬物と身体ケア製品の浸透度を調査しているけれども、汚泥の規制を考慮する十分なデータを持っていない。EPAの科学技術政策局の全国バイオソリッドコーディネーター、リック・スティーブンス、は、こう述べた:「下水処理施設の汚泥にトリクロカルバンが発見されたのは、EPAに「興味がある」ことである、だが、この時点では同局は、データベースに制限があるので、[発見された薬物の濃度]が人または環境にどんな意義があるかを決定する事ができない」

スティーブンス氏はこう言った:「全国的なデータがない、これらの化学薬品を測定するための承認された、規格化されたテクニックもない。1つの施設では、全国的に代表できるサンプルではない」下水処理場の汚泥のトリクロカルバンは、平均100万あたり51パートになっている。これは環境汚染では高濃度だと考えられている。しかし、スティーブンスは、人々はその100倍の高さで手に規則的にトリクロカルバンをこすりつけている、と、言った。これらの化学薬品は農場の畑地では劣化し、希釈されるだろう、と、述べた。ハンス・サンダーソン、メーカーを代表している「石鹸洗剤協会」の環境安全ディレクター、は、こう述べた:「その新しい研究は重要で、分析的に健全であり、石鹸と他の家庭製品の化学薬品に起こることに対応するのに役立っている」

しかし、サンダーソンは、汚泥中にそれが存在する事が危険を呈していると想定することは間違っていると言った。ほとんどの汚泥物は、食用作物を生産しない畑地と森林で利用されている、と、彼は言った。サンダーソンはこう言った:「トリクロカルバンへの露出の大多数は、直接的な露出で、人が手洗い石鹸、ねり歯みがき、その他にあるこれらの薬物を実際使う時であるのは明らかである。しかし、実験室のテストでも、これらの露出は動物には影響がなく、水生生物にも有毒ではなく、人間にも知られている脅威はない」アン・ヘイル、ロサンゼルス郡衛生地区シニアエンジニア、は、環境上の多くの警戒措置が、この汚泥が使用されている土地では必要である、と、言った。投擲された汚泥は24時間内に土中に耕して入れられて、流脱は許されていない。

ヘイル氏はこう述べている:下水処理場が抗菌性化学薬品を廃水から除去して、汚泥にそれを濃縮させるほうがいいだろう、なぜならそうしなければそれらの化学薬品が河川に排出され、野生生物を害することになるだろう。汚泥を農地で処分する事はカリフォルニア州では論争を巻き起こしている。6月6日に、州の汚泥の1/3を取り入れているカーン郡の居住者達は、農場での汚泥使用を禁止するかどうかについて票決する事になっている。もし予期されるようにこの禁止措置が通過すれば、南カリフォルニアは、ロサンゼルスだけで、1年あたり数百万ドルの追加費用をかけて、多くの汚泥をアリゾナに出荷しなければならなくなるだろう。ロサンゼルス郡の衛生地区によって昨年産出した16万トンの約37%は、土地に利用されている。同郡の汚泥は熱処理といわれる特別なプロセスを経なければならない、それは、このリポートで研究されているイースト・コーストの下水処理場よりも、ヘイルによれば、ずっと多くの抗菌性化学薬品が除去されるだろう。

しかし、ハルデンはこう述べている:もっと新しいテストでは、これから発表されるが、抗菌性化学薬品を取り除くのに熱処理は「あまり効果的ではない」ことが示された。従って、食物作物に使われるこの「タイプA」の汚泥は、まだ高い量の化学薬品を含んでいるだろう。10月に、食品医薬品局の助言パネルは、家庭用抗菌製品が通常の石けんより人々を保護しているという証拠はないと報告した。助言パネルは、それらの製品のリスクと利点を調査するように食品医薬品局に督促した。アメリカ医学協会は2002年以来抗菌性石けんを通常に使用することに反対してきた。

ハルデンはこう述べている「つまるところでは、我々は、有益ではない、潜在的には有害な化学薬品を環境に多量生産しているのである」しかし、石鹸と洗剤協会のサンダーソンは、脅威になるという証拠がないのに、病気の広がりを阻止できる製品を排除することは愚かである。□

Author:事務局 : 2006年05月16日 15:40