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2007年05月16日

■科学者達は鳥インフルエンザワクチンの投与に明確な知識がない

世界保健機構の年度総会、「世界健康議会」(World Health Assembly)で、発展途上諸国が入手可能な価格で広域悪疫ワクチンへのアクセスを実現する事が中心の話題を占めることが予期されている。
グローバルな健康問題のリーダー達はパンデミックに備えるワクチンが単に富裕な国のツールではないようにする事を保証する苦闘をしている。だがその最中にインフルエンザ専門科学者達は巨大な難問を抱えている。
これは少数者のワクチンを多数者のワクチンに変える努力の進路を阻むことになる可能性がある。それはワクチン接種にかんする科学的な知識の欠如である。

簡単に言って、科学者達は、H5N1鳥インフルエンザのような新しいインフルエンザ菌株に対して人々を守るのに必要なワクチン量について確信がないのである。なぜなら科学者達は新しいインフルエンザ菌株に対して人々を守る免疫機構がどのような様子になるのか知らないからである。

もちろん、科学者達は、H5N1ワクチンでの予防接種がある特定の免疫抗体を産み出すかどうか、そして免疫抗体がどのレベルに上昇するかを観察することはできる、しかし彼らは、もしその人がこのウイルスに暴露されるなら、それらの免疫抗体がどれぐらいの保護を提供するか計測する方法を持っていない。

テネシー州メンフィスの聖ユダ子供病院の高名なインフルエンザ研究者、ロバート・ウェブスター博士(Dr RobertWebster) はこう認める:「広域悪疫が来るまで、我々はその答えが出せ無い。ただ知る方法がないのです」

H5N1対する保護が実際どうなるのかについての不確実さは、進行中の次の議論を悩ませている:人々がこのウイルスに前もって予防注射を受けるべきかどうか、あるいは、極めて低い、あるいは一回だけのワクチンプログラムが限られた供給量を危険なく拡大して、さらに何百万もの人々を保護するために使われるのかどうか、についての議論である。

ワクチンを査定しライセンスを与える米国食糧医薬品局部長のジェシー・グッドマン博士(Dr.JesseGoodman)はこう説明する:「2つの非常に良くないシナリオがある。そして誰が間違っているか、あるいは正しいのではない、ただ科学がそこにはないのである」

ワクチン世界の用語では、科学者はH5N1ワクチンに対する保護のいわゆる「相互関係/correlates」が何であるかを知らないのである。「correlates」は、人が効果的に感染に対し守られたという信号である血液に見いだされる「免疫システムマーカー」である。

科学者達は次の事は知っていると考えている:人々が人間インフルエンザウイルス-H3N2とH1N1-に対する予防注射をされたとき、どの免疫抗体のどんなレベルが保護になっていくのか。インフルエンザウイルスの外側にある赤血球凝集素タンパク質を妨げるあるレベルの免疫抗体が、それらの菌株に対する保護にとって、決定的作用をすると考えられている。

業界と政府規制機関によって使われる測定は、「チャレンジ研究」と呼ばれるものに基づいて何年も前に考案されたものである。その方法では、人々がワクチン注射をされ、そして次ぎに研究者が故意に彼らをインフルエンザウイルスで感染させようとする。それから研究者はそのウイルスへの露出によって引き起こされた抗体反応をチャートするものである。

しかし、人を故意にH5N1鳥インフルエンザで感染させることは倫理的でもないし、安全でもない。そのウイルスに感染した人達のおよそ60パーセントを死なせているからだ。それで科学者達は、H5N1ワクチンが効果的であるか、またその使用量を査定しようとする時に、H3N2とH1N1ワクチンのため考案したテストを使っているのである。

FDAのような規制機関も最善推測による仮定を使っている、そしてワクチン製造業者には、これがH5N1ワクチン認可を得るために飛び越えなければならない障害であると告げている。

けれどもそれぞれのインフルエンザサブタイプはそれ自身の特徴と偶然を持っている。その事実は、H3ウイルスの行動に基づいてH5ウイルスについて何かを推察することを危険な仕事にするものである。

人間のインフルエンザ菌株テストの1つは、ニワトリから採った赤血球で行なわれている;H5N1のための同じテストが馬の赤血球で行なわれている。ワクチンエキスパートのジョン・トゥレナー博士 (DrJohn Treanor)は以下を認めている:(鶏の血液検査に基づいた)H3ウィルスに対する、そして(馬の血液でテストされた)H5ウィルスに対する免疫抗体の同一レベルが、人々に対し同等な保護を提供するかどうかは疑わしい。

「ほとんどそれを証明する方法がない、そしてそれはリンゴとオレンジの比較のようなものではない」、とロチェスター大学でワクチン査定班を率いるジョン・トゥレナー博士 は言う。

H5N1ウィルスは、免疫発生率が乏しいと考えられている。その意味は、感染に対する防御に必要な強い免疫反応を引き起こさないという事である。

しかしウェブスターとトゥレナー博士は、現在の測定法を使って、H5N1ワクチンが受けている評価より、ずっと保護性があるかもしれないという、瞠目すべき手がかりを提供する研究を行なった。

トゥレナー博士と同僚達は、1998年に H5N1ワクチンでワクチン注射をされていて、そしてこのウイルスに対して補強注射を受けることをいとわない37人の人々を集めた。

このボランティア達は、再度免疫性を与えられる前に、血液検査ではH5N1免疫抗体の証拠を示さなかった。けれども補強注射は強い抗体反応を生成した-これは1つだけ注射を受けていて、しかし前に免疫性を与えられていなかったボランティアにずっと強く出てきた。それは、免疫システムがまだこのウイルスに対するディフェンス、標準テストによって記録されていないディフェンス、を、保持していた事を、示唆している。

ウェブスターと聖ユダ病院のチームは、フェレットでの研究で、以下のテスト結果を出した:前にH5N3ウイルスに対する予防注射をされたフェレットが、H5N1の致死量への暴露から生き残った。テストではそれらのフェレットは保護に等しいと思われる抗体レベルを持っていなかったのに、生き残ったのである。(フェレットは人間のインフルエンザを調査する最良の動物モデルであると思わている)

「我々は、まったく赤血球凝集素免疫抗体がない動物モデルで保護を持つことができる。それで多分間違っているのはテストかもしれない」とウェブスターは言う。

グッドマンは、H5N1ワクチンが、現在考案されているテストを使って測られない保護を与えているかどうかについて、これらの発見が問題を提していることに同意している。

しかしもし科学が何が存在するかどうか計測する方法を知らないなら、国民衛生当局や監督機関が信念の飛躍にあたるものを、受け入れて、そしてこれらのワクチンが見掛けより保護性が強い、と、考えるだろうか?

ワクチンエキスパートのジョン・トゥレナー博士はこう述べている:「あなたはフェレットでの保護が本当にあなたを守ることをどれぐらい確信できるのか?真偽が不明な動物データに基づいて、主要な公共健康決定をあなた自身がする自信があるかどうか、あなたは自問するでしょう」

Author:事務局 : 2007年05月16日 16:43