« ■米国は大手製薬会社を擁護してWHOを窒息させかねない | メイン | ■ヨーロッパが警告にもかかわらず原子力発電に向かう »

2008年05月26日

■食料確保と水問題に関する新しい研究

国際連合5月23日(IPS)-進行中の食物危機は、増大している食料不足、主要食品の上昇する価格が顕著だが、世界で不足している水資源に対する広範囲に及ぶ意味合いを持っていると、今回発表された新しい研究で述べられている。

「水を節約する:フィールドからフォークまで」という表題のこの報告によれば、「もっと多くの食物が農業でもっと多くの水を使用する代価で作られそうである」。

食物部門が直面する今出現している困難な課題には以下が含まれる:拡大する水不足;容認できない高レベルの栄養不良;体重過剰や肥満な人々の拡大;そして社会で食物が失われたり、浪費される事の増大、がある。

「これらすべての挑戦課題は、生産と供給面での食物確保に関する狭い展望はもはや十分ではないことを意味している」とこの研究が指摘している。今こそ、畑地で農作物を栽培することから家庭で食事をするまでの段階を含む、より広範囲な展望をもつ時が来ている。即ち「フィールドからフォークの展望」を持つ時である。

ストックホルム国際水研究所(the Stockholm International Water Institute(SIWI))、国際水管理研究所(the International Water ManagementInstitute (IWMI)、ストックホルム環境研究所 (the Stockholm Environment Institute (SEI)が共同研究したこの26ページの報告書は、こう指摘している:「水が食糧生産へ重要な制約になるだろう。水資源について我々が考え、そして行動する方法を変えなければならない」

「SIWI」のアンダース・バーンテル(Anders Berntell)はIPSにこう述べている:食糧生産と農業が水の最大のグローバルなユーザーである。平均して、取水される水全体のおよそ70パーセントが農業に使われる。「発展途上国の人々の収入が上昇していくにつれ、彼等はいっそう肉が集中的な食事に変えていっている」

多くの場合これはいい事である。ある程度までであれば。なぜなら彼等の食事はタンパク質を必要としているからである。しかし度をすぎると、問題が出てくる。

バーンテル氏によれば、人が取り入れる食物の毎1カロリーは1リットルの水を意味している。

牛の赤い肉はずっと水使用が集中的である、なぜなら牛肉1キログラムを作り出すのに、もし牛が穀物を給餌されていれば、15立方メートルまでの水を必要とするからだと、彼は指摘した。

「これは、菜食中心の食事とは巨大な相違である。この場合ある野菜を1キログラム生産するのには2.0立方メートルほどの水しか要らない、と彼は指摘する。

「IWMI」のデイビッド モウルデン(David Molden)、とこの研究の共著者の1人、はこう述べている:もし食糧生産と消費の行い方に何の変更もなければ、世界で必要とされる食物を生産するのに今日使っている水の2倍の水が2015年までに必要となるだろう。

「こうなれば、その挑戦課題は水の使用量を減らすことである」と彼は先週リポーター達に言った。

この研究はこう述べている:食物の損失、浪費、過剰消費のとてつもない大きさが意味する事は、国際社会は、食物確保に影響を与えないで、全体的な食物需要と農業給水を減少させる能力とオプションを持っていることである。

ほとんどの食物損失は食物がフィールドで生産された後に起きている。グローバルには、損失また無駄にされた食物を生産するために取水される水量は、ビクトリア湖(Lake Victoria)の大きさの半分ぐらい、1,300キロの湖を満たすことができる。

米国では全食料の推定30パーセントを棄てている:これは40兆リットルの潅漑水に対応するもので、この研究によれば5億人の人々の家庭で必要な水を満たすのに十分な量である。

「食物の無駄を減少させる事によって節約される水量は、低水量水洗トイレや水節約洗濯機によって節約される水量よりもずっと大きなものである。我々は、水量を満たす事だけを考える事を越えて、我々が生産する食物のタイプと我々がどのようにそれから利益を得るかを検討する時が来ている。」と、この報告書が述べている

バーンテルはIPSにこう述べている:ほとんどの富裕国の食物浪費はほぼ50パーセント台になりうる。しかし、発展途上国では、食物浪費はたいてい貯蔵、輸送、ネズミ跋扈、冷蔵不足、の問題に帰せられる。

食料損失と浪費を減少させる事は、農業での水必要量を減らす、と報告書が述べている。

今年早く次ぎのような報告があった:合衆国食肉加工会社が自発的に生と冷凍牛肉製品のおよそ1億4330万ポンド(およそ6千5百万キログラム)を回収した。その理由はプラント従業員が屠殺場へ行く途中で牛を虐待したからである。しかしこの記事で報告されていない側面はその牛肉生産で浪費された水の量であると、その報告書が言う。

バーンテルは、世界はまた肥満と飢えの両方から苦しんでいる多くの人々がいるパラドックスに直面していると言った。

「この世界には皆のために十分な食物がある。問題は分配とマネージメントの問題である」と彼は宣言した。

バーンテル氏は、表面的にはずっと配慮ぶかくみえるスカンジナビア諸国に浪費があるのかどうかを尋ねられて、こう言った:「スウェーデンでは、私の出身国であるが、食物浪費はおよそ25パーセントの高さである。」

肥満はまだ北欧諸国では重要な問題ではない、しかし我々は全世界で肥満が増えているのを見ている」と彼は付け加えた。

それは合衆国でもこれまで大きな問題であった。「しかし我々はまたヨーロッパを含めて、世界の他の地域、そして多くの発展途上国、特にファーストフードチェーン店がある大きな都市で、それを見ることができる」、とバーンテル氏が述べている。

Author:事務局 : 2008年05月26日 17:39