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2009年05月25日

■気候変動:今世紀最大の健康への脅威

気候変動は通常環境上の災難であると考えられていて、人間はその破滅的な影響からは主に免かれると考えられている。しかし、この最新の報告は、人々は地球温暖化からは無傷で逃れる事はなく、今世紀で最大の脅威になり、病気の拡大、栄養失調の増大、他の深刻な医学的問題を引き起こすと警告している。

地球温暖化は主要な健康災難になる可能性があるという主張が、2つの影響力が強い団体によって共同でなされている。その1つは「Lancet/ランセット」、主要なイギリス拠点の医学専門誌、もう一つはロンドン大学の「ユニバーシティ・カレッジロンドン」である。これらの組織の研究者達が研究レポートを編集した。

「気候変動は何十億の人々に影響する健康問題であり、北極熊や森林滅亡に関する単なる環境の問題だけではない。」と、アンソニー・コステロ氏、が論評している。コステロ博士、小児科医、は、このレポートの主導執筆者で、ロンドン大学「Global
Health Institute」の共同ディレクターである。

このレポートは約175人による科学調査のレビューに基づいている。これらの科学者は、温暖化した世界が以下の事が健康面を如何に影響するか調査した:昆虫媒介疫病パターン、水と食物の不安定、海面上昇による都市への脅威、異常熱波や洪水のような極端な天候現象が生む害、からの影響である。

このレポートは、精神的健康が未来の[環境]不安によって衝撃を受ける可能性さえ取り上げていて、そして気候変動が大規模な人口移動と社会不安を引き起こす可能性を取り上げている。さらには母と子の健康へのずっと差し迫った問題がある。

地球温暖化の明白な衝撃は致命的な熱波の増加になるだろう。2003年のヨーロッパの熱波は、主要には熱射病、呼吸器官病と心臓血管の病気によって、最大7万人の命を奪った。

しかし、このレポートは、将来の熱波はもっと致命的になり、もっと頻繁に起きるかもしれないと述べて、夏季の気温がオーストラリアと北東部インドの地域では摂氏50度まで高まり、2100年までには南ヨーロッパでは摂氏40度以上になるだろうと予測している。

また気候変動は病気の世界的なパターンに深刻なインパクトを持つだろう。なぜなら,昆虫による寄生体拡大、昆虫に刺される頻度、病気を運ぶ病害虫の繁殖、寄生体の成長サイクル、これら全ては、より高い温度ですべて加速するからだ。

このレポートは、マラリア、ダニ媒介脳炎、およびデング熱がますます広範囲になると結論を下している。マラリアの拡大を引き起こす蚊が、現在この病気が無い、新しい、より高い地域に蚊が感染範囲を広げることができて、どこでも2080年までにはさらに2億6000万人~3億2000万人までが影響をうける、と、研究報告は告げている。

デング熱は激しい関節痛と激しい頭痛を引き起こすので顕著な別の熱帯性、そして蚊によって広げられたもう一つの病気だが、これに罹る危険にさらされている人々の数は、気候が変動しない場合の35億と比べて、60億人に達するかもしれない。

別の心配は、上昇する水温が、より多くのコレラ、バクテリアによって引き起こされる厳しい消化器官疾患を助長させるという事である。豚と鳥インフルエンザの現在の不安な状況があるが、このレポートは、それらの感染拡大が気候へリンクしている「明らかな証拠は無い」と書いている。

気候変動はまた、より高い温度と干ばつが、特に米ととうもろこしのような主要作物の収穫高を損なうので、より多くの栄養失調を引き起こす危険をはらんでいる。このレポートで引用された1つの見積りは、世界の半分の人口が今世紀末までには深刻な食料難に直面しうると予測している。

Author:事務局 : 2009年05月25日 10:50