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2009年05月22日

■豚インフルエンザ・ワクチンへの平等なアクセス

ジュネーブ発--世界保健機関は、貧しい国へパンデミック豚インフルエンザワクチンの一部を保持しておくように製薬会社に督促したが、ほとんど具体的な申し出を受けていない。専門家達は有効なインフルエンザの予防接種はまだ何カ月も先の事になる事を明らかにしている。

世界保健機関は製薬会社が貧しい国へ生産薬剤の少なくとも10パーセントを贈与するか、あるいは価格削減を提供する事を要望している。そうしなければ、貧しい国は、急な薬剤需要の波が高まれば、ワクチンがない状態に残される事になりうる。

国連事務総長バンキ・ムーンは、30の主要な製薬会社に合って、この疫病に立ち向かうのに、グローバルな連帯感を要求した。彼は、連帯というのは「すべての人が薬とワクチンにアクセスできる事を意味します。」と言い足した。

このWHOの要望に同意した唯一の主要製薬会社は、イギリスの「GlaxoSmithKline PLC」社で、同社は、パンデミックでは、5000万の投与量を寄贈して、貧しい国のためにWHOが割り引きで買いとれるそれ以上を提供すると、述べた。限られた生産力しかない2番目の製薬会社は、同社のワクチン投与量の半分を分かち合うと述べた。WHO職員は、この会社名を、その取引がまだ締結されていないので、特定するのを断った。発展途上国の小さいワクチン製造会社は、そのワクチンの10パーセントを安い価格で、国連と共有すると約束した。
近くではWHO年次総会のため世界中から集まった保健省大臣達は、この疫病勃発にどう取り組むかを議論していた。グローバルな死亡者数は、少なくともメキシコで83人から74人、米国で7人、カナダで1人、コスタリカで1人である。パンデミック、世界的疫病、の衝撃は貧しい国でひどくなる事が予期されている。貧困国では、エイズやマラリア等の他の病気に罹っている人々は豚インフルエンザにより感染しやすく、国家の健康制度はあまり対応できていない。
多くの豊かな国(イギリス、カナダ、デンマーク、フランス、スイスを含む)は既に製薬会社と何百万分のパンデミックワクチンをできしだい約束する取引を結んでいる。製薬メーカーは、最早でも7月中旬まではワクチンを作り始めることができない。これは、WHOによって召集された専門家パネルによれば、前の予測より何週間も遅くなっている。そして、ワクチンを大量に作り出すには何カ月もかかる。豚インフルエンザ・ウイルスは実験室ではそれほど速く成長しないので、科学者がウイルスからワクチンに必要な主成分「種ストック」を得るのが難しくなっているとWHOが述べている。
専門家達は通常インフルエンザ・ワクチンが豚インフルエンザに対しても防御を提供するという証拠はなにも見つけてはいない。専門家達は、最良条件のもとで、製薬会社が全体的な規模での生産を始めた後では年間でおよそ50億投与量の豚インフルエンザ・ワクチンを作り出すことができると見積もっていた。しかし1人の専門家、バージニア大学のデヴィッド・フェッドソン、ワクチン専門家、元医学部教授は、50億の投与量見積もりは楽観的過ぎると考えている。いずれにしろ、パンデミック・ワクチンを大量生産するのはギャンブルである。なぜなら毎年最大50万人を死亡させる季節インフルエンザ・ワクチンの製造能力を取り去るからである。一部の専門家は、世界が本当に今のところとても温和に見える病気にワクチンが必要であるのか、疑念を持っている。
米国健康人間サーヴィス長官キャサリン・セベリウスはこう述べている:合衆国は季節インフルエンザ・ワクチンの生産能力を上げる努力をしている、そしてそれらの工場が必要になればパンデミック豚インフルエンザ菌株への生産に切り替える事ができるようにする意図がある。「このウイルスに関してはいまだ非常に多くの不確実さがあるので、何人の人々がワクチンを受けて、どんな順番で、どれくらいの投与量が必要であるのか、に関し我々が決断をするのさえ実際にはまだ時期尚早である。」

Author:事務局 : 2009年05月22日 09:12