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2003年08月05日

■GM農場規模実験栽培(Farm Scale Trials)の要点と問題点

■GM農場規模実験栽培(Farm Scale Trials)の要点と問題点

INDEPENDENT NEWS
Seeds of conflict 
30 July 2003

紛争の種

GM作物の未来に関する闘いが続く中で、最初の『農場スケール』トライアルの結果が、今秋に公表される予定である。しかし、それらはどれだけの事を真に我々に語ってくれるのだろうか。

報告:スティーブ・コナー 30 /2003/7

次の数週間に渡って科学者達は、英国でこれまで実施された最も重要な野外実験のうちの1つの結果を目を皿にして吟味しているだろう。そこでの発見事項が、主として、英国が遺伝子組み替え(GM)作物の商業用栽培を進めるかどうかを決定するだろう。これらの「農場スケールトライアルズ」は、遺伝子組み替え食品の導入を英国で促進させることを切望している生物工学産業界によって、熱心に点検されているだろう。またそれを阻止する事を等しく切望している環境保護活動家達の場合も同様である。活動家達は、うまく行かなかったが、これらのトライアルを妨害する試みをしてきた。

この論争の両陣営共、GMテクノロジーの環境へのインパクトについての研究が大変不足している事には、合意している。この事は、考えてみれば驚くべきことであるだろう。数千平方マイルにおよぶGM作物を植えている農地が、アメリカ、中国、さらにその他の国に既に存在しているからだ。しかし、英国政府の「GM科学レビュー」の中の最初のリポートを読んでみれば、正確にはどれほどGMテクノロジーが野生生物と生物多様性に影響をあたえるかについては、非常に僅かな実験的な情報しかない事がすぐさま明白になる。これが、結局、まず第一に農場スケールトライアルが設定された理由である。そのトライアルによって、ちょうど1タイプだけの遺伝子修正の効果が調査されている―即ち、広範囲除草剤に抵抗力がある作物をエンジニアリングする事である。これらの除草剤耐性作物は、アメリカで広く育てられている。なぜなら、それらの作物は、農夫が、畑で事実上すべての他の植物を殺す除草剤を使うことを可能にするからである。

英国では、3種類の作物が調査されている。テンサイ、油菜種、トウモロコシである。これらのトライアルは、各々のGMと非GM作物のバージョンを60から75の畑で植えている。この実験の意図の重要な面は、科学者が、耕作地内と周辺にある雑草、昆虫、他の無脊椎動物を見る時に直接比較ができるように、同じフィールドにGMと非GM作物を育てている事である。このトライアルが何に対処していないかを知ることが重要である。農場スケール評定(FSE)は、GM食物の安全と人の健康についてではない。またそれは、GMから非GM作物への流出の問題に関したものではない。有機農民の絶大な心配は自分達の作物を汚染するGM花粉である。またこの評定は、さえずる鳥などのような広い農地にいる大きい動物へのGM作物の効果を直接的に測定はしていない。

本来的には、FSEsは「null hypothesis」(帰無仮説)をテストしているものである。(?永久注 代案を検討するときの統計的概念で、両者の相違は、chance(偶然)によるもので、systematic causes(体系的な諸原因)ではないとして、取捨選択をする。)即ち、耕作地の植物と無脊椎動物の多様性に関しては、GMと非GM作物の間には違いがない。もし違いが存在するならば、この実験は、それを識別し、測定するためにデザインされている。だがそれはこれら特定の除草剤抵抗作物だけのためである。別の農場スケールトライアルが、細菌毒素のため遺伝子設計された害虫抵抗がある植物などの未来の他のGM作物のためには必要になるだろう。カンブリア州の「生態学・水文学センター」のレス・ファーバンクによって率いられているFSEを担当する科学協会は、いくつかの利益団体が現在のトライアルの結果を過剰解釈する事を心配している。同協会は「応用生態学ジャーナル」に今年早く発表された科学論文のなかでこう述べている。「私達は、努力はしてきたが、発見された事項が、過剰解釈されたり、GM作物一般の導入や排除の議論に利用されるのをずっと懸念している。」

ファー・バンク博士は、これらのFSEsは、GM作物のずっと広い調査のプロセスの終わりではなく、開始である、と言っている。「私達の実験は、英国に関連する社会上の、また環境上の問題に取り組んでいる。従ってそれは、ここで我々が発見する事がどうでろうと、世界の他の地域で何が適切であるかどうかについては、何も貴重な事は教えてくれない場合もあるだろう。」と彼は強調している。「草原地と環境調査研究所」のクリス・ポロック教授は、このトライアルを監視するのを助力してきたが、一般大衆の不適切な思考枠/概念misconceptions)について同じように心配している。「これは、鳥に毒性をもつ農薬について議論しているのではない。これはシェアについてである。農業資源のどんなシェアが「野生動物と植物に」のこされているのか?」と彼は言っている。「GM科学レビュー」は この最近50年内で英国の地方の生物多様性が著しく減退したことを示す圧倒的な証拠を文献で表してきた。エコロジスト達は、この減退は、英国の農夫の生産効率が増大するのに付随する自然界の生息地の喪失のせいであるとしている。

ポロック教授教授はこう説明している。「作物(生産地)内の生物多様性の低下は、大まかに言って除草剤と殺虫剤の毒性によるものではなく、効率の増加によって起こされている。私達は、除草剤と殺虫剤が使われていない草原で、まさしく同じ現象を見る事で、はっきり分かる。もし効率的な種類の葉もの作物を育てるならば、ずっと少なく種をつける他のタイプの植物ができて、自然な環境を貧しいものにしていく。」もし英国が、除草剤耐性作物の広範な商業用栽培を許せば、それは論理では、農夫が適切な広範囲除草剤を吹きかける事でしかできないが、農業効率が理論では顕著にあがるだろう。これは当然より少ない野生動物と植物への傾向が英国の地方に起き続ける事になるだろう。

ポロック教授こう述べている:「私達は次ぎの質問に答えようとしているのだ:『除草剤耐性は、農夫が取るシェアを増大させ、残される
シェアを減少させるから、環境へ悪い効果があるのか?』彼とFSE協会の他の科学者達は、農場の作物のそばで生きようとする雑草、甲虫、蜂、チョウ、カタツムリに注意を集中させている。彼はこう説明している:「これはすべて、食物連鎖網の下の部分がどう分れて、私達が切望する多様性を押しているか、に関する事である。これは、とてもヨーロッパ的な研究である、なぜならヨーロッパでは農業と景色が一緒になっているからである。」

除草剤抵抗GM作物のサポーターは、そのような遺伝子設計された植物を育てることのポジティブな環境利点を示すことができる2つの小さい研究を指摘する。1つの研究は、サフォーク州、「ブルーム納屋研究センター」の科学者達によって、今年早く公開されたもので、以下の事を示している。雑草が発芽し、育ち、種子をつけれるように、除草剤散布を季節の後期に遅らせれば、GMテンサイの畑では、生物多様性は増大できる。非GMテンサイにおいては、従来の除草剤が、雑草が発芽するとすぐに使われる必要があるので、そのような贅沢な措置は許されなくなる。

しかしながら、「GM科学レビューが」、この研究のアセスメントにおいて指摘するように、この実験は小さく、一様でなく、限界がる。例えば、この実験は、フィールド内の次に出る雑草「人口」への除草剤散布のインパクトを見ていない。一見しただけでの有益な結果は―例えばこの研究は生物多様性は、GM甜菜フィールドで高くないにしろ、同様である事を示した―どのように農夫が除草剤を使ったか、によってかわるものである。

また、こう言う事情だからより大規模な、農場スケールトライアルが極めて重要になってくるのである。そういった実験は、農夫と彼らの個々の好みと違いを考慮する目的がある。「 私達は現実の農場と現実の農民の所に行きました。彼らの間の作物管理の違いは、除草剤自体の効果と同じくらい研究の重要な部分になっています。」と、ファーバンク博士は言う。究極的には、「帰無仮説」がテストされて、今日の最も差し迫った環境問題への1つの解答が見つけだされるだろう、と彼は言う。「私達は潜在的な利点と潜在的な害をかかえている、だが、ある正式な研究を引き受けること無しには、その二つの面を評定する方法がないんです。そして、私達は今それをしようと試みているのです。」と、彼は述べている。


31 July 2003 19:48 2003  Independent Digital (UK) Ltd

Author:事務局 : 2003年08月05日 13:45