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2005年09月27日

■オーストラリアでトキソプラズマ症が牧羊業に被害を起こしている

■オーストラリアでトキソプラズマ症が
牧羊業に被害を起こしている

  野性猫媒介の疫病トキソプラズマ症は家畜に感染し大量流産を起こし、
  人間にも感染しインフルエンザ様徴候を起こし、人の流産も引き起こす

農民達が結集し猫の登録法を要求している

タスマニアの農民達は、羊の多数流産を止めるために猫が登録されることを希望している。タスマニア農民と牧畜業者協会は、結集して州政府に、猫の強制登録導入を要求した。2005年8月26日、同協会の最後のミーティングでは、会員達は、同州での膨大な数の猫を削減するため、去勢やマイクロティップ埋め込みをする猫の登録の強い支持を表明した。タスマニア農民と牧畜業者協会評議会理事のニック・スチールはこう言った:個人的な射撃では、一晩で2匹から3匹までの猫を殺すことができるけれども、猫全体の人口へはたいした効果は生んでいない。根絶策が失敗したので、焦点は現在国内の猫の人口コントロールに移ってきている。

スティールさんはこう言った:「私達は多くの事を試してきた。そして現在私達は他の方法を使って猫人口を止めたいのです。 猫の頭数は長い間莫大で、それは手におえなくなってきている。今やもう都市の協議会や人々と協力して猫が引き起こしている問題に気づかせる時なのです」農民にとっての主要な問題は、トキソプラズマ症で、この病気は、噛んだり、引っかく事で家畜に感染する、多くの野性猫科動物が持っている病気である。この病気は、もし妊娠した羊の群れに感染すれば、「毒嵐し」と一部の獣医によって言われている、大量の流産を家畜に引き起こすことがある。この病気はまた人間にも感染する。その感染は庭や砂場の猫の排泄物を通して起こり、インフルエンザ似の徴候を起こし、人の流産さえも引き起こすものである。

羊毛協議会会長で牧羊業者のマーカス・マクシェイン、はこう述べている:「最悪事態になると、トキソプラズマ症は、羊の15パーセントから20パーセントまでを殺してしまう事になる。環境の観点からは、猫は土着の鳥と有袋類を食べている。誰にでも聞いてみなさい。外には膨大な数の野性猫がいるのです」州政府は野性猫のコントロールでは係わり合いを見せていず、代わりに、きつねの根絶に資源の焦点を合わせることを選んでいる。マクオーリー島から猫を根絶するのに、約20年と数百時間のマンパワーがかかった。1800年代にマクオーリー島に猫が導入された。そこの最後の猫は1999年に射殺された、それ以来、猫によって払拭されたと思われた鳥種が巣を作りに戻ってきた。

そのような小さな島でそのような膨大な挑戦があったのだから、タスマニアに野性猫がいなくなってしまうという希望はほとんどない。第一次産業省、資源管理保存水と環境部長、ジョン・ホイッティントン博士、は、こう述べている:「大規模な野性猫根絶はタスマニア本島では実現可能ではない。なぜなら野生猫はとてもよく確立されているからです。私達は、この州の野生猫を削減させるために、実用的なステップなら何でもとっています」それには、フリンダーズ島とウエッジ島での捕獲プログラムを含んでいる。

オーストラリア本土でのパラ・アミノプロピオフェノンと呼ばれる猫特定毒素の開発は密接な監視を受けている。農民で猫管理運動のグウェンドリン・アダムズ、は、猫の飼い主は自分の猫にもっと責任を取り、夜間は外出させないようにする必要がある。ネコ好きとして、彼女は、自分のパースにある敷地に来た猫を射殺するのは困難であるが、必要な課題である、と、述べた。彼女はこう言った。「私の小さな白い猫がリングテイル・フクロネズミを殺す事ができるのだと私が気づいた時、私は、猫科の生き物はたんなる野生猫ではなく、勝手に動きまわるのを許された飼い猫であるのだと気がつきました」

●International Society for Infectious Diseasesの解説
トキソプラズマ症は、ネコ科医アメリカ・アソシエーションの2005年ネコ科ズーノシスガイドラインのなかに記載されている、39の人獣病気媒体の1つである(ネコ科医療手術ジャーナル(2005) 7,243-274)。
このリストは、18のバクテリア、6の線虫類、4の原生動物、3のリケッツイアとクラミジア、(各二種類)条虫類、外部寄生虫、菌類とウイルス(恐水病と牛痘)、が、挙げられている。これらの病原のほとんどは、もし猫が所有されて、家で飼育されているならば、効果的にコントロールできるであろう。

野性猫や野良猫の環境への危害は、野生生物、特に鳥類(絶滅危機種)への影響が深刻であるが、オーストラリアに限定されている問題ではない。同様なさらに悪い状況は、猫が自由にさまようことが許されている所では、どこでも、起きていて、猫人口が高くなっている。都市エリアでは、野良猫の環境への有害な影響は、公衆衛生面に現れて、特に遊び場と砂場にいる子供達に及んでいく。猫のさまよいは、猫自身の福祉と健康へ有害であることが示されている。オーストラリアは、飼い猫の管理、登録と固体識別を含む、を要求しているが、これは全ての国にとっても正当な事である。その実行は環境、公衆衛生、猫の福祉と健康に役立つものである。


International Society for Infectious Diseases

Author:事務局 : 2005年09月27日 11:43