« ■EUでのGMトウモロコシ許可の動きは、堰を切ったGMの許可になりかねない | メイン | ■絶望しているGM企業はGMトライアルを止めている »

2004年04月28日

■米国はGM禁止による過去6年間の輸出損失賠償金で、18億ドルをEUに要求している

■米国はGM禁止による過去6年間の輸出損失賠償金で、18億ドルをEUに要求している

 米国は、EUが遺伝子組み替え作物栽培の禁止を止める事、また過去6年間の輸出損失への補償金として18億ドル支払う事を要求しているこの挑戦は、ガーディアン紙が見た国際貿易組織にファイルされた書類のなかで概説されている。WTOは、その歴史で最大の訴訟、米国とヨーロッパ間の損害が大きい貿易戦争に火をつけ、国際コミュニティを分割した訴訟に直面している。米国は、昨年その提訴をスタートさせるつもりであると発表したけれども、多くは、米国がハッタリをかけ、GMでの制限のない貿易問題でEUを屈服させようとしていると信じていた。しかし、先週WTOに送られたこの書類では、EUが何らの科学的な証拠なしで1998年にWTO自由貿易規則を無視して、モラトリアムをGM産物に課したことで、EUを告発している。EUは、判決のため6月にWTOパネルが開催される前、5月の終わりまでに返答をださなければいけない。

 もしWTOが米国に有利な裁定をすれば、WTOは、ヨーロッパに列に戻るよう強制するためにどんな貿易制裁を課すべきかを決めるだろう。米国は、失なったトウモロコシ貿易の結果、年あたり三億ドル損失し、EUに対してその総額を取り返すための制裁を期待している、と、言っている。この事柄は、世界全体へ意味ある事になる。なぜなら、もし米国がEUを強制的に屈服させることができれば、どの国も、貿易制裁に直面せずにGMを締め出すことができなくなるからだ。しかし、ヨーロッパではGMに対する強い消費者の抵抗があり、いくつかの国は、個々のGMの輸入、あるいは食用に栽培を禁止する規制法を導入している。これら諸国、オーストリア、フランス、リュクサンブール、ドイツ、イタリアおよびギリシャすべてが、WTOにだされた提訴で米国によって名指しされている。米国は、その提訴において、これらの禁止のどれも合法ではありえないと述べている。これが米国の訴訟で最も強い部分になるだろう。なぜなら、貿易規則では、国が健康または環境の理由で製品を禁止することはゆるしているが、国は証拠を提出しなければならなくなっている。

 提訴の書類はこう述べている:EUは「モラトリアムへの科学的な根拠を提出できていない」、また産物個別の禁止も科学に基づいてなく、従ってWTO協定の下のヨーロッパの義務とは一致しないものである」。英国政府は、すべての機会でGMの導入をサポートして、作物の栽培は、ケースバイケースの土台で対処していると言って、これらの貿易制裁を避けることに努めてきた。この事情で、今年英国政府は環境保護の理由で、GM菜種とテンサイの栽培を禁止したが、厳密な条件下でのGMトウモロコシの栽培を許可した。WTOへの提訴は、GMトウモロコシの1つの個別種の禁止を止めそうな状態で終わった昨日のEUの農業大臣のミーティングによって影響されないだろう。

 EUは、アメリカの行動への防禦でこう反論できる。作物の未来についての決定に対して5年間の効果的なモラトリアムを設けたのは、ヨーロッパの環境への効果をテストするための作物実験栽培に時間を許すことであった。WTOの役員達は、ヨーロッパが国民の圧倒的な希望に添った事で、ヨーロッパに過酷な罰を課す事は、さらなる不評を買う事になるのに、気づいている。他方米国は、提訴を押しすすめる決意で、たとえそれに失敗しても、米国は、GM食物がラベル付けをされ、製品素性追跡可能性が義務化されるのを阻止する第二の提訴をする気構えである。これらの要件の両方とも、今月EUの法律になっていて、もし第一ラウンドで、勝利が全般的なものでなければ、貿易の「抑制」としてWTOにとって2番目の訴訟になりそうである。

 姿を現わしかかっているWTOの制裁があるので、各国の大臣はいくつかの作物を許す意志を表示するように強い圧力をかけられているが、大西洋を越えたEUスタンスへの反対は取り除いていない。切実な問題の1つはもっと広い世界の態度である。米国によると、オーストラリア、中国、チリ、コロンビア、エルサルバドル、ホンジュラス、ニュージーランド、ノルウェー、タイ、ウルグアイは、この提訴へ興味を持っている。しかし、これらの国々が何を正確にWTOに言うかは、不明瞭である。Genewatch/遺伝子監視のスー・メイヤーはこう述べている:「 これは政治的にはWTOにとって悪夢である。WTOはEUが国民の意思に耳を傾け、そしてEUがGMを導入するのにとても慎重になる権利がある事を認めるのか、その慎重さには、GMの規制過程を完全に刷新するのに、5年間をついやす事を含んでいる。あるいは、WTOは、数百万のヨーロッパ人の意向を逆なでする技術的な議論を受容するのか。どんな結果になるのかは誰にも分らない。」

参考資料
Guardian Unlimited | The Guardian | US seeks 」1bn from
Europe over GM ban
US seeks $1.8bn from Europe over GM ban
Paul Brown, environment correspondent
Tuesday April 27, 2004
The Guardian Unlimited
Guardian Newspapers Limited 2004

Author:事務局 : 2004年04月28日 15:46