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2004年09月04日

■食肉産業が世界の水を「むさぼり」、農業の水が不足する

■食肉産業が世界の水を「むさぼり」、農業の水が不足する
 一キロの牛肉には9680リットルの水が必要
 「ヴァーチャルな水」の交易が提案される

 先進国のダイエットを変える事が、開発途上国が国民に食を供給できるようにするために必要であると、 農業エキスパート達が述べている:

 農業専門の科学者はこう述べている:多くの政府は、国民を説得して肉を少なく食べるようにさせる必要がある。その理由は肉の生産が水の需要を増大させているからである。科学者達は、どのように世界の人達が食を取る事が最善であるかを調査している。ほとんど水のない国は、作物を育てる代わりに食物を、莫大な水を持つ国から輸入することがよいかもしれない。そうすれば水の少ない国はその水を国内の給水や、高い価値のある水使用に充てられる、と、科学者達、は、言っている。それは「バーチャルな水の交易」であるといえる。

 世界では約8億4000万人の人々が栄養失調であり、さらに20億人が、20年以内に誕生することが予想されている。この食物を栽培するため水を見つけることは、多くの政府が直面する最大の挑戦のうちの一つである。現在では、管理された全体の水の最高90%が食物を育てるために使われている。「国際水管理研究院」International Water Management Institute (IWMI)は、一部英国政府の資金をえて、増大する世界の人口をどう養っていくかの調査をしている組織である。その主任科学者、デイヴィッド・モウルデン、は、そのリポートでこう述べている:「二十年経っても平均的には、あらゆる人に十分な食料があるだろう。突き詰めた状況は、地下水の水位が急落していて、すでに私達の河川は、限界をこえて利用されている。だが、未来については、まるで問題がないかのような風潮がある。西洋のダイエットは 肉に大きく依存しているが、すでに大きなプレッシャーを環境に課している。開発途上国で菜食を中心にした食事をする人々は一日で水を1000~2000リットルを消費するが、肉を食べる人は1日あたり約5000リットル相当の水を消費することになる。その為の水はすべてどこからか取られなければならない。」

 科学者達の間で出来てきている合意は、西ヨーロッパと北米での典型的なダイエットを環境を破壊せずに、未来の世代に与えることはほとんど不可能である、と言う事である。ほとんどの人々は経済的な余裕ができてきた時に肉と野菜のダイエットをするようになるが、それは、小麦やトウモロコシなどのような作物より多い水を必要とする。平均的には、1kgの牛肉には、9680リットルの水が必要であるのに比べて、1kgの小麦を育てるこには、1790リットルの水が必要である。IWMIは、そのリポートにおいて、こう述べている:「水供給の懸念で、人々が食習慣を変えることはありそうにない。そして、水への要求が次の20年間で最も急速に増大する多くのサブサハラ諸国では、人々は、少なくではなく、もっと多くを食べなければならない。」ストックホルムに本拠がある国際水研究所のディレクター、アンダース・バーンテル、こう言っている:「 世界の未来の水の供給は、私達が思っているより深刻な問題である。私達は、食物の栽培に向ける水の量を減らさなければならない。世界では水がとにかく足りなくなってきている。」

 このリポートの研究は、最高で24%以上多くの水が、20年後には、世界の食物を栽培するのに必要であることを示唆しているけれども、最も速く発達している国の多くでは、水道や魚への水の提供に重要である生態系を犠牲にしないでは多くの水を農業に向けることができない。「バーチャルな水」の取引を増大させるオプションが、論理的にはでてくる、と、科学者達はいう。だが、科学者達は、この案が自分の食物を輸入したい国が金を持っているという前提に依存している事を認めている。リポートは言う。「この問題は、水不足で最も打撃を受けている国が、「バーチャルな水」を買う事ができるかどうかに、かかっている。」 世界全体に食を提供する最良のオプションは、ハイテクと伝統的な水保存を、組み合わせる事である。改善された作物品種、よりよい栽培方法、およびより厳密な給水制度、は、農耕での水消費量を減らし、生産高を改善できるだろう、と、リポートは言う。干ばつ耐性種子、取水計画、足踏みポンプのような小規模畑地テクノロジー等すべては、生産高を100%押し上げる可能性を、持っている。この科学者達は、大きな食糧不足を避けるための方法として数社が掲げているGM食物の使用は検討しなかった。このリポートを作成した一人は、「世界の多くの地域では、GM食物がなくても、水の生産性を増大させる可能性がある」、と、のべている。

 考慮されたもうひとつのオプションは、都市の廃水を農夫が農業取水に応用する事である。現在の世界の人口の最高10%は、町や都市からでた廃水を利用して生産された食物を食べている、と、見積もられている。多くの都市は、20年内で今よりも150%多くの水を使う事が予測されている。このレポートはこう述べている:「これは問題でもあるが、また一つの機会でもある。それは、もっと多くの水が必要になり、農業用には淡水が少ししか使えないことになる。未来では廃水の利用は、選択ではなく、必須になる。」レポートの執筆者達はこう述べている:西洋諸国の政府は政策を変えていく必要がある:「 先進国の農業補助金は貧しい国での物価を低くさせ、農民達は[節水テクノロジーに]投資をする気がなくなっている。なぜなら投資の見返りがないからだ。人々の土地と水への権利は、人々が長期的な改良に投資するようになる為に、必要である。」

参考資料
Meat-eaters devour world's water
John Vidal
A change in diets may be necessary to help developing
countries feed their people, say agriculture experts :
Amount of water used to grow food.
The Guardian Weekly 20-4-0903, page 27

Author:事務局 : 2004年09月04日 11:10