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2005年04月30日

■1957年広域疫病菌が間違って世界の研究室へ

■1957年広域疫病菌が間違って世界の研究室へ
  実験セットで送られ、漏出が心配されている

 1957年にアジアインフルエンザを引き起こしたウイルスが、偶然に米国の研究所によって開放されて、テスト用具・キットで世界中に送られてしまった。だが現在科学者達がこれを破滅させるために必死になっている。このウイルスが送られた多くの研究所から脱出している恐怖が出ている。カナダの防御体制が高い研究所のウイルスキットからこの病菌が脱出した後にこの誤りが発見されたからだ。そのような病菌の脱出は、1970年代にロシアで起きた場合のように、世界的に広がる可能性がある。このインフルエンザテストキットは、アメリカ病理学者コレッジ(CAP)によって、2004年10月と2005年2月の間に約3700の研究所に送られてしまった。アメリカ病理学者コレッジは、専門家用の団体で、病理研究所が検査精度を高めることを援助すべく、様々な細菌の未確認サンプルを送っている。このCAP実験キットは、米国シンシナティのメリディアン・バイオサイエンス社、私的な契約団体、によって作られているが、インフルエンザAの特定の菌株を制圧するためであった。この病菌は世界中のほとんどのインフルエンザを起こすウイルスファミリーに属している。しかし、この会社は、最近流布したインフルエンザAウイルスの数百から菌株を選ぶ代わりに、1957の広域疫病を起こした菌種を選んでしまった。

 これが問題になるのは、広域疫病の菌株(複数)がお互いにせめぎあって姿をくらましていくからである。1918年の記録にのこる広域疫病で最も致命的なインフルエンザは、H1タイプのインフルエンザAによって引き起こされた。この名前は、その病菌が持つ「haemagglutinin」という表面たんぱく質からきている。1918年後に、H1インフルエンザは進化して普通のインフルエンザになり、流布し続けている。


 鳥インフルエンザ

 1957年の大疫病は世界中で拡大する前に中国で始まり、約200万以上の人々を殺した。それは、別の表面たんぱく質H2を持つ鳥からのインフルエンザウイルスを持つ人間H1インフルエンザの混合によって引き起こされた。それはその時流布していたH1菌株よりずっと致命的であった。なぜなら以前に人がH2たんぱく質に遭遇したことはまったく、したがって新菌種への免疫はなにもなかった。1957年後には、人間のH1インフルエンザのすべての痕跡が消えて、H2菌株によって取って代わられた。同様なプロセスが再び1968年に起きた。その時は、別のハイブリッドウイルスが出現したが、また中国で、別の「haemagglutinin」、H3を持っていた。これがホンコンインフルエンザを起こした--これは大疫病で、世界で約100万人を殺したと考えられている。

 しかし、1968年後にそのH2インフルエンザは消えた。従って、その年の後に誕生した人は誰でもH2インフルエンザへは免疫を持っていない。そしてそのテスト・キットのウイルスが脱出すれば、その人達にとっては1957のアジアインフルエンザと同じくらいに致命的になりうるだろう。同様な出来事が1977年に起きて、1950年に分離されたものと同一なH1インフルエンザの突然の再発が伴った。そのウイルスは、ロシアで準備された生インフルエンザワクチンの「欠点がある集団」から脱出したもの、と、信じられている。しかし、幸運にも、その菌株は、その1918の前のものよりもずっと穏和な菌に発展していった。不幸にも、1957年 H2ウイルスはその種類の中でも致死性が最も高い種類だった。

 すでに病菌の脱出が起きている

 少数だがCAPの実験キットは、ヨーロッパと北米だけでなく、アジア、中東、南アメリカ、の研究所に送られていた。この実験キットの起源先は、テスト結果を評価するためにはそれらが何を含んでいたかを知らなければならない。しかし、3月26日にウィニペグのカナダ国立微生物学研究所がその菌種を確認した時に、研究所は米国疾病対策センターと世界保健機構にこれを通告した。心配な事は、その研究所は、テストキットに無関係なサンプル中にこの潜在高致死性ウイルスをはじめ発見していた。この事はそれが研究所内ですでに脱出していた事を意味している。

 インフルエンザのテストキットは、異常に危険なウイルスをもっていないと通常仮定されているので、生物学抑制のハイレベルでは取り扱われていない。しかし、ウィニペグ研究所での菌脱出は不安を起こすものである。その研究所は隔離の最高レベルを持つ設備を含んでいて、そのスタッフは研究所衛生のハイレベルを維持する事を期待されている。外の世界への脱出の最もありそうなルートは、研究所の労働者がアジアインフルエンザに罹って、それを外へ移す事である。しかし、このウイルスが人間に感染しているという兆候は未だ出ていない、と、ジュネーブの世界保健機構の主任インフルエンザ科学者、クラウス・ストー、は、述べている。しかし、通常の北部地方におけるインフルエンザの季節が今終りかかっているところなので、発症者が気づかれているかどうか、は、確かではない。もしこの出来事がインフルエンザ研究の安全の主要な再点検をもたらさないとすれば、研究所基盤で広域疫病がおきれば、(もっと警戒心を持つべき)正気を起こす唯一の事になるかも知れない、と、生物研究安全圧力団体、「サンシャインプロジェクト」、の、エド・ハモンド、が、苦言を呈している。

参照:
New Scientist Breaking News - Pandemic-causing 'Asian flu' accidentally released

Pandemic-causing 'Asian flu' accidentally released 14:21 13 April 2005
NewScientist.com news service
Debora MacKenzie

Author:事務局 : 2005年04月30日 16:41