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2007年02月01日

■生物燃料で標的にされるイースト菌の環境問題

高エタノール生物燃料生産のためイーストの「代謝エンジニアリング」が有毒な代謝中間体を生み出して農業への特異な脅威となるかもしれない。

エタノールを作るため植物素材を発酵させる事が、持続可能な生物燃料を作り出す手段として大いに増進されている。発酵中にエタノールを生産する事は、高エタノールレベルでイーストが成長する能力のなさによってこれまで限定されてきた。そこで非常に多くの努力が、高エタノールレベルを耐えられるイースト菌株を作ることに捧げられてきた。その菌株は高濃度アルコールを生む発酵が持続できるようにするものである。これはエタノールを蒸留して、精製するエネルギーを節約する主要な利点を持つことになる。

イーストの遺伝子操作は農作物で利用されるものよりいっそう精緻になっている。そしてイーストの遺伝子は突然変異(mutations)によって正確に変更させられている。例えば、高エタノールイーストを作るために開発された1つの方法は、制御タンパク質の「部位特異的突然変異」(site-specific mutagenesis )と言われるものである。それは、エタノール生産のため代謝のネットワークをコントロールして、高レベルのエタノールとブドウ糖に耐えるイーストをつくるためである。

遺伝子は副次的な遺伝子の損害を避けるために正確に変異させられるけれども、代謝のネットワークを変えることは、予期しない代謝結果をもたらす事になりうる。その理由は以下のようになる:遺伝子は複雑な機能があるネットワーク/経路に連結されているから、1つの遺伝子は、多くの他の遺伝子に影響を与える事なしには変えることができない。12年前に、日本の科学者達がこう報告している:発酵増加率を高くするため設計された転移イーストは、その遺伝子の多数のコピーを利用していたが、有毒な、変異誘発(mutagenic)レベルで、
代謝物質メチルグリオキサル(metabolite methylglyoxal)を累積させることになってしまった。このイーストは、非常に強いビールのためでなく、エタノール生物燃料を生産する目的であったので、毒素生産されてもそれほど問題はないように思われるかもしれない。だがその条件はそのイースト菌株が完全に隔離遮断されることである。だがその条件はほとんど不可能なことである。

遺伝子操作されたGMイーストは、土着のイーストを汚染させるか、または交配する可能性が高い。もし意外な毒素が代謝のネットワークが変化した事で生産されるなら、我々は深刻な問題をかかえることになる。パン屋のイーストは病原体ではない、だがそれは操作された遺伝子に汚染されると、病原体になるかもしれない。さらに人間の消化器官に有毒なエタノールイーストが入り込むことは決して望ましい事ではない。

もしこのイーストが一般的な環境の中に抜け出して、ありそうな事だが、土壌を汚染してしまえばどうなるだろうか。数年前に木に廃棄物からエタノールを作り出すために遺伝子操作されたGMバクテリア、「Klebsialla planticola」が、テストされたあらゆる「微小生態系」の小麦植物の成長を抑制することが判明した。エタノールの高濃度を引き起こすため設計されたGMイーストが土壌の中に放出されれば、農業と食糧生産にとって混迷をもたらすだろう。

代謝経路を操作することは非常に新しい科学企業の分野で、そして当面無くなる事は決してないだろう。有機農業の従事者と有機産物業者は、まもなく自然食品について困難な決定を迫られる事に直面するだろう。遺伝子と代謝経路が正確に加工されたDNA変更によって操作された場合、それは、有機的であると考えられるだろうか?我々は決定を迫られている。科学担当の官僚が我々に代わって裁定する前に決定を迫られている。


Sent: Wednesday, February 01, 2007 02:16 PM

Author:事務局 : 2007年02月01日 14:16