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2007年12月10日

■EUでGMコーンの禁止決定が提案されている

パリ-欧州連合環境当局者が2種類の遺伝子組み換えトウモロコシがチョウに害を与えて、食物連鎖に影響を与えて、そして川や小川の生命を乱すことになる、という結論を出して、この種子の販売を禁止する提案をした。
この種子はデュポンパイオニア(DuPont Pioneer)、ダウ・アグロサイエンス(Dow Agrosciences)とシンジェンタ(Syngenta)によって作られている。

この予備決定は最終決定権を持っている欧州委員会(European Commission)の中で回されている。一部のEU当局者はそのような禁止令に関して懐疑的である。それが強力なバイオテク産業の感情を害し、米国のような重要な通商パートナーとの緊張を悪化させることを危惧している。この種子はヨーロッパ市場では耕作のためには入手できない。

今回の決定では、EU環境コミッショナー、スタヴォロス・ディマス(StavrosDimas)氏はこう述べている:この遺伝子組み換えトウモロコシ、ある特定のチョウの種、特にモナク蝶、また他の有益な昆虫、に影響を与えることができる。例えば、今年の研究は、遺伝子組み換えトウモロコシに暴露されたマダラチョウの幼虫が「他の幼虫より異常な振る舞いをする」ことを示している。

「Dow」と「Pioneer」によって生産されているトウモロコシ種子に関するこの決定では、ディマス氏は「環境への潜在的な損害は元に戻せないものである」と述べている。「Syngenta」社のトウモロコシの決定では、彼は「この作物の栽培によって生み出されるリスクレベルは環境にとって受け入れ難い」と述べている。

遺伝子変更農作物の栽培を禁じるという欧州連合による決定は、EUの貿易圏では最初のものになり、遺伝子組み換えトウモロコシに関する継続している戦いを強めるだろう。

1998年以来、EU委員会は遺伝子改変農作物の栽培申請を承認しなかった、しかしどの申請も活発に拒絶されたわけでもなかった。遺伝子組み換えトウモロコシ産物の場合も同じであった。

トウモロコシ作物の申請を禁止することは、ヨーロッパの環境保護当局にとって大胆な新しいステップを画する事になるだろう。ヨーロッパの環境保護当局は、自動車と航空機からの排気規制で積極的対応をすでに進めているが、合衆国と怒っている産業部門との関係を悪化させるものになるだろう。

合衆国通商代表報道官、ステファン・ノートン(Stephen Norton)はこう述べている:「これらの作物は何年間も合衆国と他の国々で栽培されている。ヨーロッパの食品安全当局によって再検討されて、安全であると決定された後で、作物が拒絶された他のどんなケースも我々は知らない」

イタリアのパルマに本拠を置くヨーロッパの機関、ヨーロッパ食品安全局(European Food Safety Authority)は、欧州連合と独立して活動しているが、2005年に以下の裁定を出した:これらの産物は、人と動物の健康あるいは環境を害する事はありそうもない。しかしEU環境コミッショナーのディマス氏は、今回のドラフト(試案)決定で、他の研究がその2,005年以来、種子の潜在的な効果に関して明らかにされてきて、さらなる調査が必要になっていると、述べている。

今回の決定では、ディマス氏は最近の以下の事を示す研究を引用している:遺伝子改変された「トウモロコシ副産物を摂取する事が成長を低減させて、標的にされていない河川の昆虫の死亡率を増やした」、またこれらの昆虫は「水生生物と捕獲生物の重要な給餌生物である」、そしてこれは「予期しない生態系規模の結末」を持つことができる。

ディマス氏の報道官バーバラ・ヘルフェリヒ(Barbara Helfferich)は、委員達がまだ最終決断をしていないのでこの決定過程の詳細についてコメントすることを断わった。だが、同氏はこう述べている:科学者達作物が害を起こすことができる事を証明する決定的な証拠を発見していない場合でも、欧州連合は、「予防原則」に基づいた決定をする権利を持っている。

「委員会は、遺伝子組み換え作物の安全と科学の事では、リスクマネージャーになる権限を持っている」、とヘルフェリヒ女史は述べた。ディマ氏による今回の禁止決定は数週間以内に委員会の前に提出されるだろう、しかし日付はまだ設定されていないと、同氏は述べた。

「Syngenta」、「Pioneer」、「Dow」社を含む80のメンバーをもつ業界団体、「Europabio」報道官ナタリー・モル(NathalieMoll)はこう述べている:「彼の決定はまだ予備的であるけれども、遺伝子組み換え作物の将来認可に対して政策を劇的に変えることになりうる。その決定は「EU当局者が証明されていない科学データに基づいて産物を拒絶する先例を設定するであろう」

Author:事務局 : 2007年12月10日 13:57