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2007年12月06日

■世界は食糧不足と混乱に向かっている

北京-世界は生産する食物よりも多くを食べている、そして燃料と気候変動の理由で食品価格が何年間にもおよんで上昇している。これは社会不安を起こす危険があると、エキスパートと、新しい報告書が、述べている。

生物燃料の拡大だけで2020年までにトウモロコシ価格を3分の2以上押し上げて、油種子コストを半分も押し上げ、産業界には補助金が出るがそれは貧しい人達への税になっていく、と、国際食糧政策研究所(The International Food Policy Research Institute)が述べている。

世界の穀類貯蔵、世界中の飢饉と戦うために使われる危機対応の貯蔵、は、悪天候のため1980年代以来最低レヴェルに下がっている、と同研究所理事長、ジョキム・フォン・ブラウン(Joachim von Braun)氏は述べている。

「世界は生産するよりも多くを食べている。そしてそれはこの5、6年にわたって在庫と貯蔵レヴェルに反映している。それは続くことができない、そしてその貯蔵量が間もなく底をつくだろう」と、彼は北京の会議で述べた。

メキシコのような国は、食糧価格の急騰で暴動をすでに経験している、と、国際農業研究所コンサルタティヴ・グループ(The Consultative Group on InternationalAgricultural Research)によって主催されている同会議で発表された報告書でフォン・ブラウン氏が述べている。

「食糧価格が下がっていく日は終わっているのかもしれない」とフォン・ブラウン、「世界食糧状況」(“World Food Situation”)報告の主任著者は述べている。

「食糧、飼料、燃料への需要が急上昇しているので過酷な物価上昇になっている。…気候変動もまた食糧生産に否定的な衝撃をあたえるだろう」と彼は付言した。

価格上昇につれて商品市場への金融投資家の興味が増大するので、価格不安定に火をつけている。そして世界穀類とエネルギー価格がますます緊密に結びついている。

石油価格が1バレル90ドルを前後している状態で、これは貧しい人達には悪いニュースである。2000年以来小麦価格が3倍になり、米価格がほとんど2倍になり、彼等は「全く劇的な」衝撃を経験している、とその報告書は述べている。

農業技術への大きな投資、子供を特に支援する強い社会福祉ネット、貿易障害の排除、改善された社会基礎施設、発展途上国での融資機会、これらは食の保全を改善するのを助けることができる。

貿易の増大、グローバルな会議で多くの発展途上国の主要な要求、は、経済的利益をもたらすだろうが、多くの場合それは貧困を大きく減少させないだろう、と、報告は付け加えた。

-温暖化で、生物燃料が台頭してくる-

地球温暖化現象は2020年までに農業からの世界収入を16%減少させることになりそうである。一部の寒冷地域に於ける生産高向上の可能性にもかかわらず、また大気中のより高い二酸化炭素濃度が高くなり植物への肥沃影響があるにもかかわらず、その減少は起きそうである。

「温度の上昇による干ばつと洪水が増大する危険があるので、作物収穫の損失は差し迫っている」と報告書は述べている。

アフリカが天候パターンの変動によって特に激しい打撃を受けるだろうと、報告書は警告している。そして科学者達は、天候パターン変動には人工ガスが吹き入れられる事が重要な要因である、と、述べている。

「気候変動の効果を考慮に入れれば、サハラ以南アフリカに於ける栄養不良人口は1990年と2080年の間に3倍になるかもしれない」と報告書は述べている。

生物燃料はまた貧しい人達の栄養を脅やかしている。現在の諸国の投資計画と予想される拡大の下では、高い可能性があるとはいえ詳細な計画なしでは、トウモロコシ価格が次の10年の終わりまでに4分の1は上昇するであろう。

バイオ燃料がもっと劇的に拡大した場合は、価格はトウモロコシで72%上がり、油種子で44パーセント上昇することになりうる、と報告書が述べている。

木とわらのような工業原料を使う次世代の生物燃料が商業的に実行可能になるときでさえ、水から資金まで資源競争が続くかもしれない。

世界規模の食糧需要は、中国とインドを含む発展途上国での急速な経済成長の結果として、より高価な野菜、酪農製品、果物、肉、に向かって移動している。

しかし小規模農民がこの動向を利用するのは困難である。それは大規模小売り業者が、市場、高い安全、品質、他の要求項目、を掌握する力を強めているからである。

Author:事務局 : 2007年12月06日 13:52